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聖者の行進  作者: mukina
幼少期編
2/3

第一話 借金

遅くなりました。

お楽しみ下さい。

「行ってきまーす! ほら!早く!」


「ちょ、待ってよ!」


のどかな農村の道を、二人の子どもが駆けて行く。


「フィオ待って!速すぎだよ…」


「リィスが遅いのよ?今日の授業の先生は遅刻に厳しいんだから!」


「フィオが起きるのが遅かったせいじゃないか…」


「何か言った!?」「いえなにも」


幼年学校に入って6年目。二人はもうすぐ上級学校に入る年齢になろうとしていた。

二人は田んぼの畦道を抜けて、農家のお年寄りと挨拶を交わしながら学校に向かった。



「おはよーフィオちゃん。リィスくんも」


「おはよう。間に合った~」


「おはよう。フィオ、明日はもっと早く起きてよね」


二人が席に着くと、教師が教室に入ってきた。


「おはようみんな!出欠とるぞ。いない奴は?」


「先生、マムレがいません」


「ん?何か連絡受けてる奴いるか?」


誰も返事をしない。


「うーん。そうか。皆、自分が休む時はちゃんと誰かに伝えておけよ!授業始めるぞ。まずは…」


********


放課後。


「ねぇリィス」


「何?」


「マイレ、どうしたのかな?なにも言わずに休むなんてこと、これまでにあったっけ?」


「うーん…無かったけど…」


「しかも昨日、マイレの様子、おかしかったよね?」


「…そうだったっけ?」


「ちゃんと見てなさいよ!…何だか落ち込んでるみたいだったわ。大丈夫かしら」


「んー。様子でも見に行く?ていうか最初からそのつもりで話始めたんでしょ?」


「うん。よく分かったわね」


「そりゃ付き合い長いし」


二人が話していると、プリントを持った担任が近付いてきた。どうやら話を聞いていたようだ。


「その仲のいい二人に頼みが「いいですよ。届けますよプリント」……頼む」


担任の方に見向きもしないリィス。可愛げ、もとい子どもらしさがこれっぽっちもない。


「ほら、行くわよ!」


「はいはい」


リィスとフィオがマイレの家にちょうど到着した頃。

そこでは、なにやらトラブルが起きていた。


「オイコルァ!!いつカネ返すんだテメェは!」


「すいません…。来週には必ず…」


「そのセリフ何回目だと思ってんだ?もう20日も過ぎてんだよ。20日だぞは・つ・か。まともに働いてる人間ならクビだぞ?あぁ!?んな事も分かんねぇのか?」


「すいません本当に…。ウチは農家なので、収穫時期にならないと収入が無くてですね…」


「なに言い訳してんだカス!借金返せねえ奴に人権なんてねぇんだよ!!」


「その事はお借りするときに、考慮して返済計画を立てさせてくださいと言ったはずなんですが…」


「うるせえ!!ああ言えばこう言いやがって!黙れ!!」


チンピラ風の男は、中年の男性を殴り始めた。


********


「…ねえリィス。あの男何なのかしら。あっ!殴り始めたわ!アルビスおじさん身体弱かったはずじゃ…」


二人はマイレの家の近くの茂みに隠れて、一部始終を見ていた。


「まずいな…」


チンピラはマイレのアルビスを殴り、倒れたところで腹を蹴り飛ばした。

「もう見てられないわ!」


フィオはたまりかねて飛び出そうとするが、リィスが腕を掴んで引き止めた。


「何?早くあんたもついて来なさい!!チビでもいないよりマシだわ!!」


「俺はまだ成長期入ってないし、今だってフィオと俺の身長あんまり変わらないじゃんか。…

じゃなくて、あのチンピラ止めるならもっと上手いやり方があるから引き止めたの」


********


チンピラがアルビスを何発か蹴ると、家の中からマイレが飛び出してきた。


「やめて!お父さんをいじめないで!!」


「あぁ?」


「げほっ…。来るなと言ったはずだぞ…。危ないから中で待っていなさい」


「そんなことしてたら、お父さん殺されちゃうじゃない!」


マイレはチンピラを睨み付けてこう言った。


「お父さんに手を出さないで!!お金なら必ず返すから!殴ったって蹴ったってお金はでてこないわ!!家には本当に銅貨1枚無いんだから!!」


「…じゃあ仕方ねえな。お前を連れて行って人質にするか。…来週俺が来たときにカネが用意出来てなかったら娘を売るぞテメェ」


「ふざけるな!!」


「うるせえ」


チンピラはアルビスに一際強い蹴りを入れて、フィオを羽交い締めにしようと手を伸ばした。


その時。


「アルビスおじさ~ん」


何処からか、村長の息子のリィスがこの場に走ってきた。


「あぁ!?何だまたガキか?」


「こんにちはー。で、おじさん。頼まれてた人を呼んできたよ。自警団の団長さん」


とリィスが言うと、フィオが屈強な顔でひげ面の男の手を引いてやって来た。


「ほら、おやっさん!!あの男がアルビスおじさんを蹴った奴よ!!」


「何だと?」


ひげ面の団長はチンピラに近付いていく。顔に傷のある団長の顔は、表情も相まって、非常に迫力がある。


「オイ、お前」


「なっ…何だよ」


「俺の仲間に暴力振るうってのがどういう意味になるのか分かってやってんだろうな?あぁ!?」


「うるせえな!!おいアルビス、来週は必ず用意しろよ!!」


完全にビビったチンピラは、そう言い残して帰っていった。


本作の設定をチラッと。


リク…村長レキの息子


フィア…村長レキの養女


自警団はマッチョな村の男衆で組織されています。

団長は天○の城ラピ○タの主人公の親方を思い浮かべていただけると、イメージしやすいと思います。

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