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このダンジョンに銘を付けるなら?  作者: ふれんどりーふぁいやー
第三章 その名は各地に知れ渡る
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第三十六話 このメンバーで相談して名を決めるなら?

 以前募集した魔壊樹ゴーレムの名前をこの話で決定させて頂きます。さてさて、どんな名前になるのかな?

   


 前回のあらすじ、私の計画がダメだしされました。残念だ、でも、私は諦めないぞ!


 あと私をココに送り込んだと思われる魔導師バカの情報も少し得ました、どうやらソイツは未だ生きている様で、遭遇したら是非暴行させて頂こうと心に誓った所です。


 あれから更にフィアと情報交換を繰り返し、拠点の場所にまで戻っている所だ。


 今後の方針としては、とりあえず村の方には行ってみようと言う事になった。ここを中心に生活するにしても、やはり他者との交流が少ないのは頂けない、今の状況、人材どころか、備品に食料、世界の情報だって全く足りないのだ。常に移り変わる世間に置いて行かれない為にも、村への来訪は貴重な経験になってくれる筈だしな。


 そう発言した結果、フィアからも条件付きでならと許可が貰えた。


 よし、新たな進む道も見えてきた!妖精さん達にも報告した方が良いよね、なんだかんだでずっと一緒に行動しているし、こっちの動きも事前に伝えていれば彼らも活動方針が決めやすいだろう。


 そう思いながら、樹根の階段を昇りきる。やれやれ、ようやく休憩できると顔を上げて、目の前に飛び込んできたのは……





 ……森だった。


 …………うん、森だ。鬱蒼と茂る森だった。


 大きめの木が青々と茂っている。頭上に広がる葉っぱのおかげで日光が遮られ、隙間から降り注ぐ木漏れ日が目に優しい。


 此処に寝転がれば気持ちよさそうだなぁ……





 マテマテマテマテ、ちょっと待ってみようか。オカシイよね?朝起きた時は木なんか一本しか生えて無かったよね!?


 いやその一本がまた色々オカシイ存在ではあるんだけど、それは置いておいて。





「どういうことぉ」





 もう、他に発言が思いつきません。私の隣で茫然とした表情でフィアが固まっている。きっと私も似たような顔をしているんだろうなぁ。


 私達のブレイン的存在である彼女がこの有様なのだ、私なんかがコレの原因を思いつく筈が無いだろう、マジどうしよう……。


 だれかぁぁ!!説明プリィィズゥッ!!!





「あ、お帰りウァリィさん。今までどこほっつき歩いてたのさ?」




 混乱しきっている私の頭上から、可愛らしいが若干辛辣な声が響いてきた。ふと見上げると、木々の間から抱きかかえられる位のサイズをした物体が落下してきた。


 それは私の眼前に着地し、ちょっと不満そうな顔で私を見上げた。


 それはマスコットから一応人並みのサイズにまで成長を遂げた、我が最愛の友人一号、僕らの生意気系アイドル木妖精ようせいさんである。


 あ、そうだ!植物の専門家にしてこの状況になる前までこの場に居たであろう妖精さんならば、こうなった理由を説明をしてくれるかもしれない!!





「よ、妖精さん妖精さん!コレどういう事?なんでこんなことになってんの?」


「ん?コレって……どれ?」


「いやいや気が付かない訳が無いでしょ!?森だよ森!あからさまに昨日と、てか今朝と風景が違うじゃん!!」


「森……あぁ確かに、かなり育ったみたいだね」




 あぁッもう!!相変わらずのマイペース!成長してもこういう所は変わってないなこの妖精は!!まったっくもッ…………ん?今の言い回し、ちょっと変じゃないか?


 かなり育ったみたいだね……育った、……生えてきたとか、急に現れたとかでは無く、育った……。


 何だろう、嫌な予感がしてきた……





「……えっと、あの、妖精さん?若しかしてこの状況、妖精さんが関わってるのかなぁ……?」


「え?いや関係してるも何も、僕がコレ育てたから」





 ……………………おッ





「……お、お前かぁぁぁぁぁいッッッ!!!」


「ッうわぁッ!いきなり何!?」





 ハ!いかん、思わず叫んでしまった!


 落ち着け落ち着け、えっと……妖精さんの事だ、勝手な事をやるにしても何らかの理由があるはずだ!






「ハァ……えっと?そもそも何で森なんか作ったの?」


「……まあ色々理由は有るけど、一番は木材が欲しかったからかな」





 木材ぃ?一体何に使うつもりなんだこの子は?


 まさか土妖精ツーさんみたいにゴーレムとか作る気か?……いや、この子他の妖精(と言っても二人だけど)に比べたらかなり強い筈だ。なにせ進化しているからね、実力もこの間見せて貰ったし。


 だからそういう戦闘系のモノはつくらないと思うんだよなぁ、じゃあ……なんだ?


 


「えっと、木で何か作ったって事だよね?いったい何を作ったの?」





 結局なにも思いつかず、本人に聞いてみる事にした。


 すると妖精さんは私から目を背きながら頭を掻き、コレ言うべきかなぁっとでも言いたげな仕草で言葉を漏らし始めた。





「いや、べつに、ただウァリィさんが新しく部屋とか作らないから。だったら僕が丈夫なのを作ってやればいいかなって、思っただけだよ」





 …………何だこの可愛い生物!!!!


 あれか!私が家が無くなって落ち込んでるから、作ってくれたって事でいいのかな!?そういう風に解釈しちゃってもいいのかな!!?


 妖精さんマジ天使!いや妖精だけど!





「あッありがとう妖精さん!!!っでその家は何処なのかな!?何処に立ててあるのかな!!?」


「ああ、こっち」





 喜ぶ私置いて妖精さんはそそくさと移動する、それを上機嫌で追いかけるが思いのほか早く彼の足取りは止まった。


 その場所は、先日色々な意味で大働きをしてくれた、可変式のゴーレムと化した魔壊樹であった。


 だがそれだけ、件の家らしき物体はどこにも見当たらないが……?





「えっと、家は?……あッ若しかして、この樹の裏側に作ったのかな?」


「いや、もう目の前にあるよ。ちょっとまって」





 目の前にある、か。……そうか“隠れ柳”!恐らくあの時と同じで見えない家になっているのだろう。


 なるほどねぇ、まぁ妖精さんが丈夫なモノを作ってくれるって言ってたし、以前のモノと比べてかなり良くなってる事は間違いないだろうな。


 そんな事をのほほんと考えている中、妖精さんは魔壊樹の幹にまで近づいていた。そこで立ち止まると不意に手を前に出し、軽い感じで二回ほど幹をノックした。


 すると……





-----------------ガコン





 何かが外れた様な音がした。


 何事かとあたりを見回すと、変化が起きたのは妖精さんの正面、叩かれた魔壊樹の幹がゆっくりと移動していたのだ。


 そして数秒後には人間が入れるサイズにまで拡大し、そこで幹は停止した。





「さ、入っていいよ」





 今日は、……いや違うな、今日も私は妖精さんに驚かされてばっかりだ。










 中に進むと、其処は広々としたリビング、木で創られた様々な家具や小物、久しく忘れていた文化的な生活空間が広がっていた。





「うわぁ~……」





 思わず歓喜の声が漏れる、正直これ程の環境は家に帰るまで無いと覚悟もしていたのだが、正に予想の上を行く展開である。


 見回してると先程から姿が見えなかった他の妖精達の姿もあった、水妖精は柔らかそうなソファーの上でゆったりしており、土妖精は窓下の床で寝そべって何故か動く気配が全く無い、……恐らく日光浴だろうそうだろう。





「まぁ見ての通り、この部屋がリビング、隣は談話室とキッチンだね。寝室は上階に作ってある、客間を含めてとりあえず八部屋は有るから。あと下に貯蔵庫がある位かな?」





 に、二階建てなのか!しかも床下収納まで!?





「っく、空調は?」


「壁は生きた木材だからね、植物の呼吸により新鮮な空気が常に充満してるし、熱や臭いなんかも取り除いて快適な環境を維持するよ。それに窓は“隠れ柳”の木材を再利用したモノで、此方からは丸見えだけど外からは窓枠も判別できない不可視の窓穴さ」


「……水道は!」


「上水は川の水を根から汲み上げて貯めてる、同じく根から取り出してる大地の栄養素と相俟って味や健康にも貢献してるよ。下水の方は裏側の地中に貯めることになってる、この樹は大概のモノは分解して栄養にしちゃうから土壌汚染の心配は無いだろうね、寧ろその上に畑でも作ればよく育つんじゃない?」


「火気の扱いは!?」


「土妖精に頼んでレンガのオーブンや暖炉を作ってもらった、樹自体にもある程度の熱耐性があるし、調理や暖房程度なら問題なく使用できる。あ、因みに食器の類も一通り作ってくれたみたいだよ?あとキッチンに鍋とかも置いてあったな」





 ……なッなんという至れり尽くせりな生活環境!巧も感涙する劇的リフォームではないですか!!





「パーフェクト!パーフェクトだよ妖精さん!!」


「……そりゃどうも」





 あぁそっけない、でもそんな君が大好きだ!


 ありがとう妖精さん達!このお礼はいつもの如く料理にて返させてもらうよ!……まぁ調味料はあんまり持ってないから、主に塩味なんですけどね。





「いや~しかし、随分と便利になったなこのマジュゴレ君」




 まさか巨大ロボ(木製)が家になるとは思わなんだ、あの吹けば飛んでばかりの貧弱なハウスとは比べ物にならない頼もしさだ!まぁ、吹いていたのは嵐級の大災害だったから倒れるのも無理ない話ではあるんだけどね。


 そんな如何でも良い考えに耽っていると、……なんか変な視線を感じた。


 怪訝に思い、周囲を見渡してみると、何やらフィアと妖精達から嫌に熱い視線を送られていた。


 どッどったの皆さん?なんか、何言ってんだコイツ?みたいなオーラが漂ってますよ?





「……ねぇウァリィ?その、さっき言ってた、マジュゴレってなに?」


「え?……魔壊樹のゴーレムでしょ?名前長いし、ただ略しただけだよ?」


「……何そのセンス?シンプルにも程が有るんじゃない?せっかく作ったんだからもっとカッコいい名前付けてよウァリィさん」





 『マキさん』とか『ツーさん』とか付けていた奴に言われたくねぇよ!!


 ……まぁ、進化前そのときの妖精さんとは正確も大分違うみたいだし、ネーミングセンスも変わってても可笑しくは無いんだけど。


 でもそこまでダメだしすること無いんじゃね?解り易くていいじゃないのマジュゴレ君。




「うん、私も微妙だと思うわ、自分で勝手に呼ぶ分には良いけどさ、一応新たに発現・創造された未知のゴーレムなのよ?……もうちょっと、良い名前は付けられ無かったの?」





 さらに追い打ちかけられた!?


 えぇい!人のセンスを馬鹿にしよってからに!だったらお前らで考えて見ろ!





「っそ、そんなに言うなら、二人はどんな名前つけるのさ!」


「「……え?」」





 そう投げかけると、明らかに二人は狼狽し始めた。ほら見ろ!大衆が賛同する様な良い名前なんて、早々付けられるものじゃないんだよ!





「ん?なんだウァリィ、戻ってきていたのか?」





 ふと、後ろの方から声がかかった、振りかえった先に居たのは可愛らしい容姿の小さな女の子、自称……というか恐らく本物、闇の眷属であらせられるリベラちゃんである。


 というか、リベラと会ったの今日は初めてだな。朝食の時には既に出かけてたみたいだったし、なにか用事があったのか?





「リベラ?朝から居なかったみたいだけど、何かあったの?」 


「ん?あぁいや、……大したことでは無いぞ。……それよりお前たちは何をやっているのだ?二名程なにやら唸っているぞ?」





 む、なんか話逸らされてね?


 ……まぁ今は良いだろう、こっちの話を進めさせて貰う。




「……うん、ちょっとこのゴーレムに名前を付けようって話になってね。何が良いか三人で考えてたんだよ」





 私がそういうと、リベラは一瞬きょとんとした眼になり、その後腕を組みながら目をつぶり続けた。


 恐らく何か考えているのだろう。





「……ふむ、名前、かぁ、そうかそれは良いな。……ふ、喜べウァリィ!この新造のゴーレム!!この我が名前を付けてやろうではないか!!!」





 思考が終了した後、恒例のカッコよさげなポージングと共に、リベラが突然そんな事を言い始めた。なッなんだろう?何時に無く、いや何時も以上にやる気満々だぞ!?


 そう言えば、私に対しても色々と名前を(本人の意思に反して)付けられたなぁ。……もしかしてこの子、名前を付けるのが好きなのか?


 多少うろたえている私を全く気にせずに、リベラは名前を考える作業に没頭していた。小さな声でブツブツと何かを呟いている、どうやら次々に考えては却下するのを繰り返している様だ。


 そして、候補が決まったのか、リベラは大きめの声でそれを発表した。

 




「……ツリーアーム!“ツリーアーム・ゴーレム”などどうだ!!?」




 ……お?結構良く無い?樹で出来ていてデッカイ腕も特徴的だしね。でもちょっと気になる事があるなぁ……





「名前が長くてちょっと呼び難く無い?」


「……ウァリィ、アンタ、名前を決めるの呼び易さが基準な訳?」





 いや!呼び易さは重要だろう!呼びやすい=覚えやすいだよ!?つまりは世間にも浸透し易くて、誰も彼もが気安く呼んでもらえるって事だ!私の考えるフレンドリーなダンジョンのメインシンボルにはそういう解り易さは必要な筈だ!


 だから、その呆れた様な顔で私を見るのはやめて貰えないか?





「はぁ、ならさっきみたいに略して愛称でも付ければ?そうねぇ、ツリーアーム……“トゥアーム”なんてのは如何かしら?」





 お!良いじゃないですか!ツリーアームなんてちょっと気取った名前から若干の可愛らしさある愛称になったぞ!何より呼び易いしね!……“トゥアーム”!!


 もうこれで良いんじゃないかな?よし皆にも聞いてみようか!





「うん、これで良いんじゃないかな?みん「いや待て!!」……へ?」





 私の発言は、予想外にも提案した本人によって遮られた。


 何事かと思い彼女の方を向くと、……何やら爛々と目が輝いていた。





「他にも良いのが思い浮かんできたぞ!!“武装する木”では若干迫力に欠ける!ここはダンジョン!実力を兼ね備えた様々な愚者が己が欲望を満たす為に襲来するのだ!そんな奴らに畏怖の念を植え付ける為にも、もっと凶暴で力強さの有る名前にしなくてはな!……“ギガントフォレスト・ザ・マテリアルブレイカー”なども良いな!いや住居にもなったのだ、いっそ“精霊要塞エレメンタルフォートレス”なんてのもありか!!!だが待て!?いっそ大衆の裏をかいて…………!!!!」





 ッちょ、おまッ!?うおォォいッッ!?


 出る名前がドンドン物騒な名前になってるぞ!?しかも先のアームって武装の方かよ!


 い、いかん!このままでは我が迷宮の代名詞が破壊兵器として世間に扱われかねない!!止めなくては!!!





「さあまだまだ行くぞ!!他には……!!!」


「……ハッ、いッいや待ってリベラ!もういい、もういいから!!もう暴走すんな!!おい二人とも!ぼさっとしてないで止めろ!!」


「「……あ、りょッ了解!」」





 その後も凶悪そうな名前が出る事出る事、いい加減収拾が付かなくなりそうなので、全員の力を合わせ強制終了させました。


 結局彼女が最初に出した『ツリーアーム』で決定、今後からもそう呼ぶ事になった。これからもよろしくなトゥアーム!


 ……でも、やっぱりマジュゴレ君も捨てがたいと思うのだが…………



 というわけで、今回募集した魔壊樹ゴーレムの名前は……


 利久酒 様の考えてくださった、“トゥアーム”に決定いたしました!


 どうも有難うございました!ダンジョン内の皆が納得しそうな名前をと、色々考えた結果、此方を採用させて頂きました。本来は“ツリーアーマー”を短縮させての名前だったのですが、都合上ちょっと改変させて頂きました、どうかご了承おねがいします。


 今回の名前決め、実はかなり悩みまして、候補が四つくらい出来ちゃいました。その候補の名前も今回使わせて頂いております、名前を応募してくださった皆さん、本当にありがとうございました!


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