表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このダンジョンに銘を付けるなら?  作者: ふれんどりーふぁいやー
第二章 名を捨てて実を取る
PR
39/53

・外話・   暴走する偶像崇拝者の旧情より

この話、正直メチャクチャ書き辛かったです。視点を違う人にするだけでここまで難しいとは思いませんでした。予想をはるかに超えて投稿が遅れてしまい申し訳ありません、もうコイツ視点では二度と書かん!!


 


「いいか?神官たるもの嘘を付いてはいけない。嘘をつく事は自らの魂を汚す行為だ、お前も神に仕える国の民ならば良く心がけておくんだ」





 物心が付き始め、信徒として教会に通い始める前、父から受けた初めての教えがこの言葉だった。





「アナタちょっと宜しいですか?たった今、エリーさんと言う方があなたに会いたいと連絡が入ったのですが、彼女とはどの様な御関係なのですか?」


「え!?あ、あ~その人は多分この間お世話になった……外交官、だったかな?」





 ……その言葉を発して数秒後、父は簡単に嘘を付いた。



 今思えば私が他人の嘘を見破れる力が始めて発動したのがこの時だった、まぁ最初は父のあからさま過ぎる態度の変化から読み取ったんだと思って気がつかなかったのだが。



 だが、生活を続ける内に、その力は浮き彫りになっていく。





「良いですか?あなた方の事は神が常に見守っておられます、故にあなた方は神の使徒に相応しい働きを行わなくてはなりません。神は善行には福を、悪事には罰を与え、神聖なる神への僕へと導き我々を正すのです」





 神を讃える神父の言葉、この神父は素晴らしい言葉を吐いている筈なのに、その言葉の一つ一つが嘘だ偽りだと頭に訴えかけて来る。警笛の様に鳴り響くそれは、まるで私の存在をも否定さている気分になる。


 幼いころの私はそれが許容出来なかった、故に私は神父に問う、何故嘘を付いているのかと。だがその結果、疑われたのは私の方だった。私の発言は神の言葉を疑っているモノとされ、真実を言っている筈の私が非難され、正しい事を言った筈の私が謝罪を求められた。



 そして私は、嘘を吐いた。真実の言葉は全く届かず、周囲に屈服し嘘を吐いた。



 それ以降、私は極力発言を控える事にした。嘘を強要する彼らに対しての小さな抵抗、だが歳をとるごとにそれが難しくなる。そして同年の者達が嘘を簡単に用いるのを見て、私も周囲に合わせて嘘を吐く事になった、そして回数を重ねるごとに罪の意識なんて全く感じなくなっていった。



 更に数年が経ち、私は父に連れられて当時の聖教国の首脳達による会合に連れて行かれた。そこに来て私は更に驚愕する事となる。神に仕える国のもっとも神の教えを体現されていると言われていた上層の人間は、誰一人として神を信じていなかったのだ。


 あぁ、私は誰を信じれば良いのだろう、誰がこの愚昧な私を導いてくれるのだろう。





「良いか?これからお会いする方は、癒しの子神の写し身だ、くれぐれも粗相のない様に」





 そんな迷える私に妙な話が転がり込んだ、現在我が国の姫が新たな世話役を募集しているそうだ。そもそも父につれて来られた理由がその関係で有り、知らぬ間に私に白羽の矢が立てられていたのだ。


 姫の存在は当時から話だけは聞いていた、私の曾祖父が行った魔導術の後遺症により不老の存在になった最後の王族、そんな経緯もあり代々私の家系の者が姫様の世話役を撒かされているらしい。


 なんでも多少なりとも人形技師の魔術に関わりがある人物が良いそうで、年が近く昔から書庫に籠りその手の知識は多かった私が……といった経緯との事だ。



 話を聞いた当初、正直あまり会いたいと思えなかった。どうせ他の奴らと同じだ、聞こえの良い言葉を表層に並べるだけの、平気で嘘をつく大人たちの同類だろう。だが否定した所で悪い結果にしか繋がらない事が目に見えていた為、二つ返事で了承した。


 もはや私も周囲の大人たちと同じだ、偽りの信仰心しか持ち合わせていない。そんな私が現代に生きる神とやらと会う事になるとは、これはどんな皮肉なのか。


 そんな事を内心考えながら、私は礼拝堂の扉を開き、件の人物と対面した。






「初めまして、私はシャインスラット・クリス・クラスティ・アフィリシアです。あなたがブルリック・イルトリートですね?お会いできてとても嬉しい、どうかよろしくお願いしますね」





 ……そこには、紛う事無き神が居た。


 嘘ばかりの世界に、幼くも神々しさが溢れ出る圧倒的なまでの清らかさがそこにあった。そして心の真偽が解る私だからこそ気が付いた事が合った、彼女の言葉に一切の嘘偽りが無かったのだ。彼女は心の底から、私と会えた事を喜んでいた、私とこれからも友好を深めたいと望んでいるのだ。


 その言葉を送られた私は、自然と目から水が流れ出た。






 それからの私は姫様のお世話を身を賭した、これこそが私が生まれてきた理由なのだと、この一時を感じる為にこそ私が生まれてきたのだと信じて止まなかった。姫様も私に対して、直ぐに心を開いてくれた。その寛大にして清らかな御心に触れているだけで、私は形容できない程の喜びに心を奪われた。



 そんな素晴らしき姫様と交流を重ねて気が付いた事が合った、それは彼女の理想と現在の国家現状、それは圧倒的なまでにギャップのあるものであった。彼女の理想は自らと信者達の交流を行い、共に話し歌い笑いあいたいと言うどこまでも慈悲深く愛に満ち溢れた素晴らしきものだったのだ。


 おかしい、この国における最後の王族であり我々の神である彼女の言葉が、何故他の信徒たちに届かない?なぜ彼女は隔離されているかの如く城内に籠っているのだろうか?


 不審に思い少し調べて見たが、真相は予想以上に簡単に見つかった。というか姫様自身が既に知っていた様で、優しく微笑みながら私に語り始めた。




「う~んと、もう何十年前だったかな?私の中には心を惑わす妖精が宿っているみたいでね、それが原因で沢山の人が私の周りで喧嘩をし始めたの。その過程で私が怪我をした時、あなたの曾お祖父さんに治して貰ったのが始まりかなぁ。おかげで私は凄く元気になったんだけど、なんだか私の中の妖精も凄く元気になったみたいでね、ある程度耐性がある人じゃないと理性すら保てなくなっちゃうんだって」

 




 …………そんな、そんな理由だけで姫様の声が遠ざけられているのか?たかがそれだけの理由で、姫様がこんな所で幽閉されているのか!?

 

 



「そんな顔しないで?最初はちょっと寂しかったけど、いつも付き人は付けられていたしそんなにじゃ無かったよ。今では君みたいな年の近い友人もいるしね、無理言って政務のオジサンに頼んだ甲斐があったよ。……ねぇブルリック?私みたいな子は、他にもいたりするのかな?もしアナタが外でそんな子たちに出会ったら、私の時みたいに優しく接して上げてね?その子すっごい喜ぶと思うから」





 そういって、姫様は私に真実の言葉で私を慰めてくれた。寂しくないと言うのは真実だ、だが私にとってそれは物悲しい、神である彼女がこの様な現状に満足されている事自体がおかしいのだ。もっと大々的にう止まれていなければならない筈だ、この様な狭苦しい室内では無く大空の下で信徒に崇められる存在でなければならないのだ。


 この時より決意したのだ、私は彼女を解放して見せると。


 そう決意してからの20年間、私は必死に学び、成果を出し続けた。そして最終的には政務官の地位にまで上り詰め、姫様の教えに仇名す愚者を、分相応の地位までに叩き落した。


 全ては姫様の為に、我等の神より真実の言葉を信徒に伝える為に。





「なんだか最近たくさんの人が私に話を聞きに来るね、これもブルリックが色々とかんばってくれていたおかげなのかな?凄いね政務官さん!」


「いえ私の力など微細な物です、全ては姫様のお力です」





 目的に必要な権力も得た、町では姫様を称える熱心な信者が増え、国中が一つにまとまって行くのを感じた。姫様を慕う彼らの言葉には嘘偽りは無い、姫様に送る彼らの声援は真実だ。


 私はこの光景を見て涙した、あぁこれこそが神の力、姫様の声により……虚偽にまみれた信仰者の心が正しく纏められたのだ。


 これこそが、私が……姫様が描いた理想の世界だ。











 しかし、その理想的な世界は、予想もしない崩壊を見せた。











「失礼します姫様、お約束の品をお持ちしました。……姫様?…………姫様ッ!!?」



 …………そこにはイスに腰掛けたまま、人形の様に静かに目を閉じている姫様が、一切の微動もせずにそこに存在していた。



 死んでいる、一目見てそう確信した。



 その考えを強制的に払拭し、知りゆる限りの知識で姫様の容体を確認する。しかし結果を目の当たりにする度に、彼女の死が更に確かな物に変わっていった。


 認めない、認められない、認めたくない。



 先日約束したばかりなのだ、交易商から美味しい紅茶が送られてきたので一緒にお茶をしようと。次の日に行う筈だったのだ、お茶に会う菓子を私が用意するのに姫様から言い渡されて。いつも通り姫様のちょっとしたお願いを聞いた


 姫様は嘘を仰られない、だからまだ生きている筈だ、きっと目を開ける筈なのだ。助ける方法を探さなければ、曾祖父の資料はどうだ?足りぬなら他の魔導術は?何でも良い!探すんだ!彼女を助けられる方法を!!





「姫様……必ず、必ず救って見せます!!」





 たとえ、どんな犠牲を払ってでも!!






以上、政務の過去話でした。彼なりに色々と悩みを抱えていた様ですが、やはり最初から狂信者的な素養があったようです。……というか明らかに姫様に洗脳されてんじゃね?


次回に二章での詳細を書いてから、そろそろ第三章を書き始めます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ