第二話 この状況で料理をする時に気を付けるなら?
第二話にしてやっと生産です、ようやく動きが出てきました。
前回のあらすじ、渡井柾は真っ白に燃え尽きました。
説明書(笑)をみてから状況は全く進展していない、いい加減なにかしらの行動を示さねばなるまい。そう思い考察を始めてみたが、一向に思考が定まらず、最終的に私がたどり着いた答えは。
「腹が減った。」
この有様である。そういえば朝食なんぞ食べている場合でも無かったし、太陽が真上に近いことを鑑みるにもうすぐ昼なのである。この絶望的な状況でも三代欲求の前には無力、腹を満たせば少しは前向きに考える事も出来るだろう。
まぁ周囲に野草しかない事を思い出し、現在再び絶望してるんですけどね。
食料を探そうにも、ここで下手な行動は危険だ。此処から移動してみようにも当てもないし、周囲を見渡す限り建物どころか木すら存在しない。改めて周囲を見るとこの周辺は地平線が見えそうなくらい真っ平らなのである。
というわけで、現状での移動は論外。しかし、このままの状況が続けば草食動物になれれば時が来てしまう。脱草食系を目指して、何かしらの対抗策を考えねば。とはいえ此処には何もない、あるとすれば、今腰かけている愛寝具ベッキー、それと……
「手段があるとすれば、コイツだよなぁ。」
そうぼやきつつ眼前に掲げ上げたのは最早お馴染み携帯ゲーム機、先ほどの説明書(失笑)の事もありあまり信頼は出来ないのだが、何もしないより増しだろう。若干の不安もあり、今までは下手に触れないようにしていのだが、空腹は人をアグレッシブにするようだ。
何か変化はないかとゲーム機を覗きこむ、そこに映っていたのは相変わらずの三行だけで、“進む”も“戻る”も存在しなかった。やけくそ気味にいろいろボタンを押してみても、全く変化が見られない。いっそ叩けば動くのではないかと考え始めた時、コレがどうやって動いたのかを思い出した。
「……食べ物ください」
とりあえずダメ元でぼそっと呟いてみる、すると待ってましたと言わんばかりにゲーム機は超稼働した。多少びっくりしたがある程度予想していたので、今回は下に落とさずしっかりと手元に固定している。
暫く経つと音も成り止み、三行説明書のときと同じく空中映像が表示される。
≪オブジェクトクリエーター 消費系リスト(カテゴリー:食品)≫
本当にそれっぽい物が出てきた。やはり人間に大切なものは度胸、何でも試してみるものです。そのタイトルの下を見ると、線により区切られた表の様な物があり、どうやらコレが件のリストの様だ。
その内容に目を向ける、そこには十数の項目が表記されていた。
≪ 名称 (品種1/品種2) :消費コスト≫
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≪ ワイルドエッグ ( 食品 / 生物 ) :コスト1 ≫
≪ リトルベリー ( 食品 / 植物 ) :コスト3 ≫
≪ 岩塩・小 ( 食品 / 鉱物 ) :コスト5 ≫
≪ ・ ≫
≪ ・ ≫
≪ ・ ≫
特に何も考えず、一番上に有りコストとやらが低い物を指さしてみる。その瞬間リストから地面に向けて光が放たれる。
≪創造完了、残存エネルギー9999≫
その言葉と共に光が差した場所に現れたのは、スーパーで市販されていそうな真っ白な卵だった。
「……これ、本物?」
とりあえずソレを手に取り、重さや質感を確認することにした。手の上で転がしたり、平たい所で回したりした結果、それはほぼ間違いなく卵であると結論付けた。最早どうやって出現させたかはツッコむまい、私の頭ではどう足掻いても答えはでないだろう。
それよりも今はこの卵についてだ。
ようやく食料の確保に目処が立ったのだ、その喜びと共にコイツを食してやらねば卵も浮かばれぬと言うものよ。そんな考えが頭で繰り広げられて、私は思ったより餓えていたのだなと実感した。
「さあ卵!我が血肉となるが好いわぁ!!」
おかしな発言は気にしない方向でお願いします、下がりきったテンションを無理やりにでも上げていかないと、モチベーションを保てないのだ。一体誰に向かっての懺悔なのやら、と心の中で呆れながら卵を割ろうと指に力を入れた。
その時、私は大切なことを忘れていたことに気が付いた。
「……器がねぇ」
さもありなん、先ほど出したのは卵だけなのである。他にも卵を料理するなら鍋やフライパンも必要、それ以前に竈だって存在しないのだ。何かで代用するにしても、まず火を起こさねば話にならない。
「火を起こせって言っても、どうやって……」
そう呟いた瞬間、ベッドに放置していたゲーム機がギュュルギュルと唸り声をあげた。この展開はもしや……
≪オブジェクトクリエーター 道具系リスト(カテゴリー:日用)≫
予想通り、大急ぎで覗きこんだ画面から新しいリストが現れてた。よく見ると、その中に火打石らしき項目がありその欄だけ点滅している。しかし火打石とはアナログな、ライターやマッチを出してくれてもよかっただろうに。そうぼやきながら、私は食事に必要な備品の検索を始める。
このゲーム機の性能を考えれば直ぐ終わるだろうと思っていたのだか、意外と目当ての物が見つからない。再検索をしたり代用品を探したりと、結構な時間を費やすこととなった。
「私は何時になったら食事にありつけるんですかね?」
私の言葉に受け答えするかのように腹が鳴る、どうやら私の朝食はもう少し後に成るようだ。
因みに、出してすぐに食べられそうな木の実系の食べ物を出せば速かったのでは、という考えに至るのは料理が完成した後だった。
初めての生産物が卵で、しかも食すためとかロマンも欠片もねぇ。次回からはもっと意味のある生産を始めます。