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第一話   この指導方針に文句を付けるなら?

第一話というか、これじゃあプロローグの続きですね。大筋は出来ているのですが文に起こすのはむずかしいです。質問等あれば受け付けます。

 前回のあらすじ、私のゲーム機が隠された真の力を発揮して、何も無い世界に空と大地を取り戻した。……ギャグで行ってみたけど、あながち間違っていないなぁ。


 紆余曲折あったが一応状況は進展する、この突拍子もない状況に人外様が介入しているだろうという、全く知りたくなかった真実と共にですが。私は現状、某燃え尽きたボクサーの如くベッドに座って真っ白に項垂れております。この状況、呆けている場合では無いのだろうが、多少途方にくれるくらいは許していただきたい。



≪第三層工程終了、全行程確認、初期設定登録≫



 放心している私の手元から、全ての元凶が声を上げる。そう、私が握りしめているこのゲーム機こそが、こんな異常事態を引き起こしている原因なのである。BIOTOPビオトープ PLANTERプランター Ver1.8 、バーションがなぜか中途時半端だがそこは置いておこう。直接的にしろ間接的にしろ、このゲームが起動した結果何も無い空間が緑豊かな草原へ変貌したのだ。間違いなくコレは私を誘拐した存在が用意した何かだ。


 いっそ怒りにまかせて叩き壊してしまおうかとも考えたが、唯一の情報源であるこの機械を壊してしまうのは下策の極み、コレを棄ててしまうなんてとんでもない。

 そう考えながらも恨めしく、ゲーム画面に目を向ける。すると其処には私の目を釘付けにするには十分な言葉が綴られていた。



≪簡易説明展開、閲覧推奨、是/非≫



 説明、その一文にわたしの目は食らいつく。

 

 こんな視た事があるはずもないイミフ空間にひとり放置されている私にとって、もっとも足りない物は情報である。というかこの閉鎖された空間(周り草原で開放的だけど)では誘拐した存在からしか情報を得るなど出来ないだろう。


 しかし、此処に来てそれはようやく現れた。現状に私を押し込めた犯人からの説明、つまり相手が私に何をさせたいのかがようやく解るのだ。




「“是”に決まってる!!」




 その叫び声に反応したように、ゲーム機は激しい稼働音を立てる。勿論ボタンには一切触れていない、音声を認識して勝手に起動したようだ。余りの音と振動に思わず落としてしまったが、ゲーム機は変わらず轟音を鳴らしている。音声認識に耐衝撃完備とか、無駄に高性能である。


 このまま変形でもしてしまいそうな勢いだったが、数秒後には先ほどとは打って変わって静かになってしまった。やはり落とした事がいけなかったのかと、怖々と近づいてみる。


 覗きこもうとした矢先、ゲーム機から光が浮かび上がる。そこに現れたのはSF作品でお馴染み、夢の空中ディスプレイであった。



「もう何でも有りだな……」



 多少あっけにとられながらも、最優先事項である現状の説明とやらを確認する。内容は以下の通り。




≪この世界はあなた自身です、エネルギーを使い自由に世界を作り替える事が出来ます≫


≪世界はエネルギーを増やすことで拡大し、消費量に応じて様々な恩恵が得られます≫


≪エネルギーは生産・奪取・譲渡により増減し、尽きると世界は消滅してしまいます≫




 ……以上である。



「……三行!!??」



 簡易説明にも程がある。


 というか先ほどの異常な稼働音はなんだったのか、変わった所と言えばせいぜい文字にひらがなが増えた事と、空中表示が出来るようになった程度である。もっと他にやるべきことは沢山あっただろうに。


 

「もっとヤル気出せよぉぉ!!!!」



 魂のツッコミをいれた後、私は盛大に脱力した。


 そしてまた途方に暮れる作業に戻るのである。








 この時、重要なフレーズに私は気付いていなかった。



 ≪この世界はあなた自身です≫

 ≪世界は消滅してしまいます≫


 

 この説明文を言葉通りにとらえるなら、“私=世界”であり、エネルギーとやらが尽きてしまうと世界わたし消滅するしんでしまうという事を。






さりげない鬱展開に気付いていない柾さん。まぁこの場合知らない方が幸せですよね。

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