後書
連載終了を機に、作品タイトルを
『生存戦略。次の100年のための大改革 ― 農業は家業から地域インフラへ』 から
『東京のやさしい掟 ― 農業生存戦略』
へと変更しました。
本タイトルは、佐藤大輔氏の小説
『東京の優しい掟』(1996年)
へのオマージュです。
本作は当初、新しい制度に翻弄されながらも生存を目指す農業の群像劇として書き始めました。しかし執筆を進める中で、
試練は与えるが、誰も不幸にしないルール、
そして現実に実装可能な架空の制度が社会に作用し、バタフライ効果的に未来が変化していく構造が、結果として佐藤大輔氏の作風に近いものになっていると感じるようになりました。
私が『東京の優しい掟』を読んだのは約30年前のことです。三度ほど読み返した記憶があります。すでに手元に本はなく、細部は曖昧になっていますが、
未完のジオラマ、試験紙、ガムの包み紙――
いくつかの象徴的な場面はいまも鮮明に残っています。
そうした記憶と影響を正直に受け止めた結果、本作のタイトルとして
「東京のやさしい掟」
という言葉が自然に浮かび上がりました。
本作品は、佐藤大輔氏への直接的な再解釈や翻案ではありません。しかし、制度と人間、合理性とやさしさのあいだにある緊張関係を描こうとする姿勢において、確かな影響を受けています。
敬意を込めて、このタイトルを用いることをここに記します。




