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余白
翌朝。
浦木は統計資料を開いていた。
本年度の農業総生産量は増加。
生産額も増加に転じる見込み。
記者会見用には十分すぎる数字だ。
だが資料の端に並ぶ注記が気になった。
・メガソーラー発電終了地増加傾向
・原状回復未完了案件あり
・自治体単独での対応困難
太陽光。
十数年前に作られた設備が役目を終え始めている。
撤去費用。
土壌回復。
管理責任。
地元農家とJAだけでは処理できない量だ。
「余った土地」がまた生まれる。
しかも今度は誰の土地かはっきりしていて管理義務だけが残る。
浦木は資料をめくった。
外部資本の直営農場。
稼働件数が急増している。
農地は集まり、人は雇われ、作物は契約で消える。
効率は高い。トラブルは少ない。
だが地域との接点は薄い。
規制の見直しを求める声が上がり始めていた。
外部資本規制の緩和。
名目は「雇用対策」。
本音は別だ。
(穴が、見えてきたな)
制度が守ったのは農地と作物と量。
だが、誰がどう使うかまでは決めていない。
その余白に誰かが入る。
浦木はペンを置いた。
(問題は、これからだ)




