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3年後-完了報告

浦木は、夜の庁舎で一人、キーボードを叩いていた。


食料安全保障室。

照明は半分だけ点いている。


机の上には印刷された資料が積み重なっていた。

備蓄米制度、飼料米制度。

三年前に始めた設計の最終整理だ。


——制度転換完了。


そう書くのは簡単だった。


備蓄米は用途別に整理され数量は明確になった。

飼料米は「新型飼料米」として一本化され食用転用可能性を前提に設計された。


作付けは取り合いになっている。


補助金目当てではない。

収量、品質、転用性。

すべてが見える作物として農家に選ばれ始めていた。


新型飼料米向けの品種開発も進んでいる。

耐倒伏、耐病性、デンプン特性。

「食える飼料米」は、もはや実験段階ではない。


鶏、豚向けの飼料配合はほぼ確立した。

輸入トウモロコシへの依存度は下がり、

為替変動によるコストの振れ幅も抑えられている。


浦木は一息ついた。


(ここまでは、想定内だ)


次の資料に目を移す。


不採算農地の活用状況。


山羊と羊が急増している。

多くは放牧。

管理目的が主で肉は副産物。


経営者の国籍は様々だった。


技能実習、永住者、二世。

宗教と食文化が静かに需要を作っている。


高齢者を中心に農地の譲渡も増えていた。

「続けられない」から「任せる」へ。


特区で始まった制度は次年度から全国対象に切り替える予定だ。


耕作放棄地は減った。効率は上がった。


米の生産量は再び余り始めている。


浦木は、カーソルを止めた。


(成功したな)


そう思った。

そして同時に胸の奥が少し冷えた。


成功した制度は次の問題を生む。


それを彼は知っていた。

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