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怪我するたびに知らない世界に飛ばされる俺、「あれっ?またどっか行くんか!?」歴史の戦略で現代世界を最強にしてしまう。  作者: じゃれにぁ
第二章  未来の英雄達との出会い

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第五話 小学校編──“気づかぬ強さ”と“海の底の声”

いよいよ小学生。彼の登場です。少しだけ前に進むのかなぁ。

康一が小学校に上がった頃、

家の暮らしは相変わらず楽ではなかった。

けれど、康一は気にしていない。

いや、気づいていないと言った方が近い。

朝は新聞配達。

学校が終われば海へ向かい、

テトラポットの隙間に引っかかったテグスを拾い、

市場でもらった雑魚を餌にして釣りをする。

釣り竿は自作。

リールは壊れかけ。

でも、康一の手にかかれば、

どんな道具でも魚は寄ってきた。

「康一、また釣れとるんか。ほんま器用な子やな」

市場のおばちゃんは笑って頭を撫でる。

康一は照れくさそうに笑う。

「家で食べる分だけでええんや。売るほどはいらんで」

その言葉に、

おばちゃんは胸がきゅっとなる。

――この子は、ほんまに気づいてへんのやな。

学校では、

康一のぼんやりした優しさが、

時にからかわれる原因になった。

ランドセルを隠されても、

「どこ置いたんやろ」と本気で探す。

机に落書きをされても、

「誰か間違えて描いたんかな」と笑う。

それがまた、

子どもたちの“いたずら心”を刺激してしまう。

けれど康一は、

誰かを恨むことも、

悲しむこともなかった。

胸の奥に、

いつも“黄金色の気配”があるからだ。

――大丈夫や。

――見ているで。

じいちゃんの声のような、

もっと古い誰かの声のような、

温かいものが、

いつも康一を包んでいた。

順はそんな康一を見て、

何度も歯を食いしばった。

「……康一、なんで怒らんのや。

なんで泣かんのや……」

康一は首をかしげる。

「怒るほどのこと、あったか……?」

順は言葉を失う。

――この子は、ほんまに“強い”んや。

そう思った。

■海──

その日も、康一は海へ向かった。

夕暮れの潮風は冷たく、

テトラポットの影が長く伸びている。

「今日はアジ、釣れるかなぁ……」

鼻歌まじりにテグスを結び直し、

餌の雑魚をつける。

海は静かだった。

けれど、どこか“ざわついて”もいた。

波の音の奥に、

かすかな声が混じっている。

――おいで。

康一は首をかしげる。

「……じいちゃん?」

違う。

もっと深く、

もっと古い声。

――おいで。

――あなたは、もう知っているでしょう。

胸の奥が、黄金色に揺れた。

その瞬間、

足元のテトラポットが濡れて滑った。

「あっ……」

視界が傾き、

空と海が反転する。

冷たい水が近づく。

風の音が遠ざかる。

けれど康一は、

不思議と怖くなかった。

――ああ、またどっかへやん。

そんな感覚だけがあった。

意識がふっと軽くなる。

海の底から、

白金色の光がゆらりと浮かび上がる。

――康一。

――あなたは“巡り人”の子。

その声を聞いた瞬間、

康一の意識は、

静かに、深く沈んでいった。

■海の底──

意識が沈んでいく。「また変な夢か」

海の冷たさは感じない。

ただ、光と闇がゆっくりと入れ替わるような、

不思議な静けさだけがあった。

――康一。

呼ばれた気がして、目を開ける。

そこは海ではなかった。

砂も水もなく、

ただ果てしない“青黒い空間”が広がっている。

遠くに、

巨大な影が立っていた。

人の形をしている。

だが、普通の人ではない。

その影が、ゆっくりと近づいてくる。

「……誰や……?」

康一の声は震えていない。

怖さよりも、

“知っている気がする”感覚が勝っていた。

影が光の中へ入る。

そこにいたのは――

黒い衣をまとい、

鋭い眼光を持つ男。体全体を被う漆黒の乾いた力強い黒。嫌な感じはしない。

その背後には、

無数の兵の影が揺れている。

男は康一を見下ろし、

低く、響く声で言った。

「小さき巡り人よ。

よくぞここまで来た」

康一は息を呑む。

「……あんた、誰なん……?」

男はゆっくりと名乗った。

「余は、嬴政。

後に“始皇帝”と呼ばれる者だ」

康一の胸の奥で、

黄金色が強く脈打つ。

「……なんで、俺の前に……?」

始皇帝は目を細める。

「お前の中にある“光”が、余を呼んだ。

巡り人の力は、時を越え、魂を越え、

必要とする者を繋ぐ」

康一は理解できない。

けれど、胸の奥の光が言っている。

――この人は、敵ではない。

始皇帝は続けた。

「余もまた、かつて“声”を聞いた。

国をまとめるため、

争いを終わらせるため、

人の世を越えた力に触れた」

康一は目を見開く。

「……あんたも、巡り人なんか……?」

始皇帝は首を振る。

「違う。

余は“選ばれなかった者”だ。

だが、光の気配を知っている。

だからこそ分かる」

そして、康一をまっすぐ見つめた。

「お前は、強い。

だが、その強さに気づいていない。

それが、いずれ大きな試練を呼ぶ」

康一は黙って聞く。

始皇帝は続けた。

「覚えておけ。

“優しさ”は時に、

最も残酷な武器となる」

康一は胸が痛くなる。

「……俺、誰も傷つけたない……」

始皇帝は微かに笑った。

「だからこそ、お前は巡り人なのだ」

その瞬間、

空間が揺れた。

遠くから、

美里の声が聞こえる。

――康一!

――戻ってきなさい!

光が差し込み、

始皇帝の姿が薄れていく。

「待って!

まだ聞きたいこと……!」

始皇帝は最後に言った。

「いずれまた会おう。

“光の子”よ」

そして、

世界が白く弾けた。

現実にもどされた。

三日月が微笑んでいるように見えた。

康一の鈍感力。これが原点です。

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