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怪我するたびに知らない世界に飛ばされる俺、「あれっ?またどっか行くんか!?」歴史の戦略で現代世界を最強にしてしまう。  作者: じゃれにぁ
第一章 幼き日々

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第四話  祖父との別れ。その正体とは

空想的なお話が続きますが幼少期あと少しだけお付き合いください。

宜しくお願いします。

康一はもう6歳になろうという寒い朝だった。

雲が緩やかに流れ、もうすぐ冬が来るよと告げているようだった。

”時が来た”。 というかその時が来てしまった。

いつもは朝早いじいちゃんが起きてこない。

いつもとは少し違う靄のような、霧の様な姿に見えた。

兄妹は皆気づいていた。順も来ていた。

康一が“黄金色の霞”に触れた瞬間、

哲春が叫ぶように飛びついた。

「……あんにゃん! 触ったらあかんて!

じいちゃん、起きるかもしれんのに……!」

その声は、

“起きてほしい”という願いがそのまま漏れたような、

幼い必死さに満ちていた。

康一は静かに言う。

「じいちゃん、もう起きてこうへん。

でもな……まだここにおる。これはいつもの夢とかとちゃあうでしっかり起きとるでな。」

哲春は首を振り続ける。

「うそや……うそや……

あんにゃん、そんなこと言わんといて……

俺、信じたら……ほんまに、おらんなってくやん……」

涙がぽたぽたと畳に落ちる。

哲春の青は、濁って、震えて、崩れそうだった。

美咲は布団のそばで、

おじいちゃんの手を握りしめていた。

「じいちゃん、つめたい……

あんにゃん、なんでつめたいん……?」

康一は答えられない。

美咲の白が、しぼんでいくように揺れていた。

順は、康一の背中を見つめながら、

歯を食いしばっていた。

「……康一。

あんた、泣かんの……?

なんで泣かんの……?」

その声は震えていた。

怒りでも呆れでもなく、

“悲しみを共有したいのにできない”苦しさから出た言葉だ。


■火葬場──黄金色が“本来の姿”を取り戻す

炉の扉が閉まった瞬間、

康一の胸の奥に、

これまで感じたことのないほど強い“黄金色”が溢れた。

それは光ではなく、

声でもなく、

ただ“存在そのもの”が押し寄せてくるような感覚。

康一は思わず息を呑む。

――皆の事は、いつも見ている。

ナギさんやヒミちゃんに言われたようにあなたには使命があるから大変でしょうけどよろしくね。

耳ではなく、

心臓の奥に直接響く声。

康一は震える声でつぶやく。

「……じいちゃん……?」

順が驚いて康一の腕をつかむ。

「康一、どしたんよ……!

なんでそんな顔して……!」

哲春は泣きながら叫ぶ。

「あんにゃん!

じいちゃん、まだおるんか……?

ほんまに……?」

美咲は煙に向かって手を伸ばす。

「じいちゃん……

あんにゃん、連れて行かんといて……」

三人の声が重なる中、

美里だけが、静かに空を見上げていた。

その瞳は、

康一と同じ“黄金色”を映している。

美里は小さくつぶやく。

「……お母さま……」

康一は驚いて母を見る。

「母ちゃん……今、なんて……?」

美里は微笑む。

涙をこぼしながら、

どこか“懐かしい者”に向けるような微笑み。

「康一……

じいちゃんは、ただの人やない。

ずっと昔から……

この国を見守ってきた人なんよ」

順が息を呑む。

「美里さん……何言うとるん……?」

美里は首を振る。

「ごめんね、順ちゃん。

今はまだ、分からんでええの」

そして、

空へ昇る黄金色の煙に向かって、

静かに頭を下げた。

「……お母さま。

どうか、見守っていてください」

その瞬間、

黄金色の光がふわりと揺れ、

まるで応えるように輝いた。

康一は胸が熱くなり、

涙が止まらなくなる。

「じいちゃん……

俺、ちゃんと生きるで……

みんなと……母ちゃんと……」

光はゆっくりと空へ溶けていった。

美里は子どもたちの頭をそっと撫でた。

「……あんたらは、強い子や。

だから、何も心配いらん」

その声は、

いつもの優しい母の声なのに、

どこか“太陽のような力”が宿っていた。

順は震える声で言う。

「美里さん……

なんでそんなに強いん……?」

美里は微笑む。

「母親はな、

子どもを守るためなら、

どんな闇にも負けへんのよ」

その言葉は、

まるで“本当の意味”を隠しているようだった。

康一だけが、

その奥にある“眩しい白金色”を感じ取っていた。

火葬炉の扉が閉まり、

低い音が響いた瞬間だった。

康一が胸の奥で“黄金色の声”を聞いたその時、

美里の視界にも、

ふっと世界が反転するような感覚が走った。

潮風の匂いも、

子どもたちのすすり泣きも、

火葬場の冷たい空気も、

すべてが遠のく。

代わりに――

眩しいほどの白金色の光が、

視界いっぱいに広がった。

その光の中で、

誰かが微笑んでいる。

優しく、

懐かしく、

胸が痛くなるほど恋しい顔。

――美里、よくここまで守ってきたね。

その声を聞いた瞬間、

美里の膝が震えた。

「……お母さま……?」

自分でも驚くほど自然に、その言葉が口からこぼれた。

順が振り返る。

「美里さん……今、なんて……?」

美里は答えられない。

言葉にした瞬間、

光が消えてしまいそうだったから。

白金色の世界は、

ほんの一瞬だけ開いた“扉”のように揺らぎ、

ゆっくりと閉じていく。

光の向こうで、

イザナミが微笑んだ。

――皆の事は、いつも見ている。

あなたたちの成長を、楽しみにしています。

その声が消えると同時に、

美里の頬を一筋の涙が伝った。

康一が驚いたように母を見る。

「母ちゃん……今、光が……」

美里は微笑む。

泣きながら、

どこか“太陽のような強さ”を宿した微笑み。

「……大丈夫や、康一。

じいちゃんは、どこにも行かへん。

ずっと、見てくれとる」

その言葉は、

“母”としての声であり、

同時に――

”巡り人”としての記憶が滲んだ声でもあった。

順も、哲春も、美咲も、

その意味を理解できない。

けれど、

美里の背中から放たれる“光の気配”に、

誰もが息を呑んだ。

まるで――

母親の姿をした太陽が、

そこに立っているようだった。



生きとし生けるものとは言いますがつらい別れは、ありますね。

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