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探究者

「探索者だったのか。・・・・・・ただの盗人ではないとは思っていたがな」


男の低い声だった。


いつの間にか、ラズレックとアヤの背後に、黒衣の兵服をまとった男が立っていた。


気づいた瞬間、アヤは身を低く落とし、小剣を前に構えて戦闘態勢を取った。


「アヤ。お前の動きの方が、この場ではよほど不審者だぞ」


「なに? 目覚めたばかりだというのに、ここの習慣まで理解したとでもいうの」


ラズレックは顎に手を当てる。


「なるほど。言われてみれば、アヤの言うことは正しい」


男はアヤを無視するように、ラズレックだけを見ていた。

そして、ゆっくりと視線をアヤへ移す。


「緑黄石を返せば命は助ける。どうする?」


アヤは構えを解かぬまま答えた。


「緑黄石の価値は、お前たちには分かっていない」


男は、ラズレックに言う。


「お前はどうする。この者を助けるか?」


「そうだな。一緒に旅をしてくれるらしいからな。今度は助けるつもりだ」


「おおっ」


嬉しそうに呟いたのはアヤだった。


ラズレックはアヤに向き直る。


「探索者のアヤ。私と旅をするなら、緑黄石はこの男に渡してしまえ。

持っていても、お前ひとりでは、もう守り切れない。――囲まれているぞ」


アヤが視線を巡らせると、周囲のすべての道から黒衣の兵たちが歩み寄ってきていた。


アヤも状況を理解する。


「緑黄石には、多くの古代技術が記録されている。

失われた世界・・・・・・二度と見ることのできない記録。

それが、これから進むべき道を示してくれる」


ラズレックは低く唸るように言った。


「なるほど。探索者とは古代技術を探す者――あるいは次の世界を模索する者か」


そして、続ける。


「とはいえアヤ。お前は、私と旅をしたいのだろう?

私を古代技術の産物だと思ったのではないのか。

私も、お前から多くの情報を得られそうでありがたいと思っているのだがな」


アヤは右手の小剣を収め、服の下に手を入れた。

そして手のひらの上に、宝石を取り出す。


「あんたが、これをそいつに渡して」


アヤは宝石をラズレックへポンと投げ渡した。


ラズレックはアヤの右の手のひらの宝石を掴み、

そのまま背後の男に差し出した。


「我が名はラズレックという。お前の名は何という――優秀な指揮官よ」


「イルヴァーンという。偽名だがな」


「そうか。ではイルヴァーンよ。これで良いか。

それとも、この娘を殺すのか」


イルヴァーンは二人を見据え、短く言った。


「……いや、引こう。

お前が敵になると面倒だ。だが、次に会った時は命の保証はできない」


「それでよい。アヤ、武器を収めよ」


アヤはゆっくりと小剣を収めた。


イルヴァーンがすっと手を上げ、指でいくつかの合図を作る。

黒衣の兵たちは、気配ごとその場から消えた。


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