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目覚め

三日目の朝。


ラズレックたちは朝早く、商団へ集合することになっていた。


ラズレックは暇をつぶすかのように、昨晩から建物の補修を続けていた。


朝日が差し込み、アヤが目を覚ます。


「おはよう」


アヤはラズレックをじっと見た。


「ラズレック。私は朝日で目が覚めた。

 どうして城壁の真横にある建物に、朝日が差し込むのかな」


そう言いながら外へ出ると――


城壁に、ぽっかりと穴が開いていた。


「ラズレック……」


子どもたちも集まってくる。


「朝日だ……」

「城壁に穴開いてる……」


そして、


「あ……孤児院、きれいになってる」


壁は見違えるように整えられていた。


子どもたちは大喜びだ。


だが、アヤとシスターは愕然としていた。


城壁を削るなど、大罪である。


ジェスタがラズレックを小突く。


「頼んだとおり、きれいになったわね。朝日も見えるし、いいじゃない」


そのとき――


多くの馬の足音が響いた。


大勢の騎士が城壁を見に来た。


「城壁に穴があいている!」

「なぜ、あんな高い位置に……」


シスターがつぶやく。


「ベルンガルド様……」


そこにいたのは、十二貴族の一人――

この城塞都市ガルディナの主、ベルンガルドだった。


「あの位置の破壊……魔術によるものか」


騎士の一人が孤児院に目を向ける。


「お前たち、どうやって孤児院を新しくした」


ラズレックが一歩前に出る。


だが、その前にジェスタが出た。


「朝日が見たくてね。きれいな建物も見たくて」


騎士が低く言う。


「今の言葉、どういう意味だ」


ジェスタは笑った。


「これくらい城壁使ってもいいよね。

 ベルンガルド様」


孤児院を見たベルンガルドは、わずかに目を細めた。


「よかろう。帰るぞ」


騎士たちがざわめく。


「これより、この孤児院は私財にて保護する」


副官が声を張る。


「撤収!」


騎士たちは困惑しながらも引き上げていった。


――帰り道。


副官が小声で言う。


「ベルンガルド様、気づかれましたか」


「ああ」


「孤児院の壁に刻まれた文字だ」


「……やはり『魔女セイレーン』か」


ベルンガルドは低く言った。


「このまま去ればよいが……。

 騎士には関わるなと伝えろ。

 そして首都へ密かに伝令を出せ


 セイレーンが帰ってきたとな」


――


子どもたちも壁の文字に気づいた。


「これ、なんて書いてあるの?」


ジェスタは笑顔で言った。


「『子どもたちよ、私は帰ってきたよ。

 ヴェルミナは帰ってきたよ』って書いたの」


「ヴェルミナって誰?」


「私」


ジェスタは自分を指差した。


子どもたちは首をかしげる。


「ここにいたことないのに、帰ってきたって変だよ」


ジェスタはくすっと笑い、手を横に振った。


すると文字はすっと消えた。


アヤが言う。


「お前……土の魔術も使えるのか」


「そうよ。私は何だってできるの」


ジェスタは子どもたちに向かって笑った。


「すごいでしょう?」


子どもたちは歓声を上げた。


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