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商団の出発

ガルド・ヴェスナーは、首都行きの第三商団に枠を取ったということだった。

条件は、商団の護衛よりも娘を優先して守ること。


アヤは「問題ない」と言い、契約を完了した。




商団の出発時、召使いに連れられてカティアがやって来た。

アヤはその姿を見つけ、手を挙げた。


「カティア。よろしく。行くのは二人か?」


「いえ。私ひとりです」


カティアはそう答えると、召使いから大きなリュックを受け取り背負った。

小さな体には不釣り合いな大きさだった。


アヤが持とうかと申し出たが、カティアは首を振る。

召使いは静かに頭を下げ、そのまま去っていった。




アヤはカティアを、ラズレックとジェスタのもとへ連れていく。


「やっぱり、一人なのね」

とジェスタ。


魔術師は日常生活では異質な存在だ。

特に「火」の魔術は、怒らせれば火傷や火事を連想させるため、恐れられることも多い。




カティアは二人に頭を下げた。


ラズレックが立ち上がり、荷を預かろうと手を差し出す。

カティアは一度断ったが、ラズレックはそのまま手を伸ばし続けた。


ジェスタが口を開く。


「カティア。預けなさい。

その荷を持っている限り、あなたが一番危ないわよ。

あなたは私たちを信用しないといけないの」


しばらく迷った末、カティアは荷を差し出した。

ラズレックはそれを受け取り、肩に背負う。


アヤがカティアの肩を軽く叩く。


「たぶん、その荷物はこの商団で一番安全な場所に収まったわ」




商団長が先頭で手を挙げると、全員が一斉に立ち上がる。

第三商団は徒歩主体の商団だった。


ジェスタも荷を背負うことになり、


「荷物を背負う魔術師って……」


と嘆いていた。


カティアが「私も持ちます」と言ったが、

アヤは首を振る。


「あなたは自分の身を整えること、守ることを考えて」


「……わかりました」


ジェスタが小声で囁く。

「疲れたら、代わってね」




ラズレックは大きなリュックを背負っている。

その中にはカティアの荷物が丸ごと収まっていた。


隊列は、先頭からラズレック、カティア、ジェスタ、アヤの順。

遅れないように歩く。


行程は約二十五日。

途中、三日ほど滞在する街が二つあり、商人たちはそこで軽く商売を行う。


初日は休憩が多く取られた。体を慣らすためだ。


最初に弱音を吐いたのはジェスタだった。


「こんな旅、ずっと続けるの?」


三回目の休憩時のことだった。


アヤが答える。

「このペースが一番早いんだよ」


アヤはカティアに目を向けた。


「ブーツ脱いで、足見せて。慣れてないでしょ」


カティアが足を出すと、皮が軽く剝けていた。


アヤは手早く薬を塗り、布で巻いて痛みを和らげる。


カティアは小さく言った。


「……ありがとう」


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