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効率さと残忍さ

ラズレックは、ゆっくりと隊列の先頭まで歩いた。


右手に剣、左手に槍。

腕に弓を引っかけ、背には拾った矢筒を背負っている。


ラズレックに向かってくる者には、

剣には剣で、槍には槍で、弓には弓で応じた。


一切の容赦はなかった。


ほとんどの者は、一撃で頭を割られて倒れていった。


矢は、大地に刺さっているものを抜き取り、遠方の敵を射抜いた。


やがて、誰も正面から襲ってこなくなった。


しかし盗賊団は、すぐにラズレックを避け、荷を漁り、それを守ろうとする傭兵を狙い始めた。


ラズレックは、低くつぶやいた。


「……なんという愚かさだ


 頭が死んでも理解せず、

 この場に私という圧倒的な存在がいても恐れぬ


 ただ、勝てそうな相手だけを選ぶ……」


「“効率”か。

 誰が一番うまく奪えるかを競っているだけだ」


 盗賊たちは、ラズレックが近づくと逃げ、別の荷へと群がった。


――


ラズレックは、大声で叫んだ。


「……なんだ、この不愉快な連中は!


 沈め!!」


その瞬間、大地がうねった。


人は腰まで沈み、

荷も、防壁も、すべて飲み込まれた。


さらに、その上を巨大な砂の塊が奔流のように駆け抜けた。


沈まなかった馬の上や荷の上にいたものも弾き飛ばされ、叩きつけられ、大地沈んだ。


――戦いは、終わった。


――


ラズレックは、先頭から一人ずつ商団の者を引き上げていった。


生き残っていた傭兵に問う。


「お前を助ければ、復讐するか」


「当然だ。何人殺されたと思っている」


「……ならば、引き上げぬ」


――


ラズレックは、アヤを引き上げた。


ジェスタは手当の最中に沈んだため、不満げだった。


「砂が口に入ったじゃない。

 やるなら一言くらい言ってよね」


ラズレックは聞き流し、後方へ向かった。


そこは非戦闘区域だった。


……ほぼ、全滅していた。


――


「我らも甘かった……


 これほどの戦いになるとは……許してくれ」


助かったのは、

母親が矢を受け止めて守った子ども一人だけだった。


引き上げられた子は、その場に崩れ落ちた。


――


アヤが歩み寄る。

ジェスタも後ろからついてくる。


「ラズレック。進もう。考えるな。動くぞ」


――


生き残った馬は、中央部にわずかに残っていた。


アヤは盗賊団の馬も使い、商団を組み直した。


傭兵団は、ほぼ壊滅していた。

傭兵団の生存者は、埋もれた仲間を掘り出していた。


復讐の気配が漂ったが、ラズレックは言った。


「これ以上、人の醜さを私に見せるな」


――


先頭にラズレック。

続いて案内人、アヤ、ジェスタ。


ジェスタが尋ねた。


「ねえ。埋まった盗賊たちはどうなるの?」


アヤが答える。


「ラズレックが放っておけ、だそうだ」

アヤがラズレックが言った言葉を繰り返す


「たぶん、盗賊同士で奪い合う。まとめ役の頭はいない。

 埋まった仲間を殺すやつも出る。

 その方が“効率がいい”からだとな。

 まあ、

 私たちが見えなくなるまで、大地は緩めないってさ」


「……ふうん」

ジェスタは納得していない。


「それでも、生き残るやつはいるでしょ?

 追ってくるかもよ」


ジェスタは微笑んだ。


「その時は、私の出番かしら」

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