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防壁の外

「盗賊団って、結構激しいのね……」


ラズレックの後ろにいるジェスタの声は、妙に冷静だった。


アヤは両手に小剣を構えている。

ラズレックは、防壁を二重にしていた。


ラズレックはアヤに言った。


「すまない。後ろについてきていた旅人たちを見てきてくれないか。

 質問好きの子どもがいたはずだ」


「ラズレック……間違いなく、もう……」


「それでもだ」


「……わかった」


アヤはそう言って走り出した。


――


ラズレックは、戦闘の最中に避難所を作り上げていた。


彼の周囲には、安全な壁が張り巡らされている。

中央に集められていた、武器を持たぬ者たちは、その中で守られていた。


ジェスタは、周囲の者たちを手招きしていた。


「見事ね。でも、外が見えないわ。どうなっているのかしら。

 音まで聞こえにくいし」


ラズレックは壁を三重にしたところで言った。


「ジェスタ。皆を、ここから出すな」


「わかってるわよ。出るわけないでしょ」


「……頼んだぞ」


――


ラズレックは土の防壁に吸い込まれ、外側へと浮かび出た。


そこでは、まだ激しい戦いが続いていた。

盗賊と傭兵団は拮抗している。


地面には無数の矢が突き刺さっていた。

人も馬も、多くがすでに倒れている。


「……ラズレック」


アヤが戻ってきた。

肩には深い傷を負っている。


「後ろの者たちは……矢で全滅だった」


「……すまぬ」


ラズレックは低く言った。


「中に戻れ。あとは、私がやる」


――


ラズレックは、戦闘の中心へと歩いていった。


「盗賊どもよ」


低く、よく通る声だった。


「我らが感謝祭見たさに、この商団にいたのは事実だ。

 襲われる覚悟も、していた」


一瞬、間を置く。


「だがな――」


「逃げる時間を与えよう。

 同時に、挑む時間も与える


 逃げる者は追わぬ。

 挑む者には、相応に応えよう」


矢が放たれた。


しかし、ラズレックには刺さらない。


「その程度では、通らぬ」


剣が振るわれる。


キン、と乾いた音が響いた。


「……傷一つつかぬ。

 他に挑む者はおらぬのか」


――


荷を漁っていた盗賊が叫んだ。


「あとは、あの防壁の中だ!

 そこに《フォースクリスタ》があるはずだ!」


半球状の防壁へ、盗賊たちが突っ込んでいく。


ラズレックは、そのうちの一人を首根っこで掴み上げた。


「フォースクリスタとは何だ」


「至高の宝石だ……!

 古代魔術で作られた……四大陸の主になれるって……」


「売れば……俺たち全員、一生遊んで暮らせる……」


――


「……それだけのために」


ラズレックの声が震えた。


「これだけの命を奪ったのか!」


怒りとともに、防壁が変形する。


無数の槍のように突き出し、盗賊たちを貫いた。


――


ラズレックは、掴んでいた男に問う。


「命じたのは誰だ」


男は震えながら指差した。


馬に乗った数人の男たち。


ラズレックは、静かに指を向けた。


手を上げ――


そして、振り下ろす。


次の瞬間、首が弾け飛んだ。


「防壁の中には、非戦闘員と負傷者がいる


 そこへ踏み込むなら――覚悟しろ!


 容赦せぬ」


ラズレックは、確かに怒っていた。

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