追われる理由
アヤは、ティオの母親にたずねた。
「……追われているのか?」
ティオの母親は、少しうつむいてから話し始めた。
「……あの子は、空を飛べるでしょう。だから、盗賊にそそのかされて、商家の家の窓にロープをかけろって言われたんです」
「言われた通りに、あの子が窓にロープをかけたとき……中にいた人に見つかってしまって……」
ラズレックが静かに問いかけた。
「……何も取っていないのだな、ティオ」
「取ってないよ!」
ティオは慌てて首を振った。
「ロープを窓と木に結んで、ブランコを作るつもりだったんだ!」
母親は続けた。
「でも……商家の人たちは、盗賊の仲間だと思っているみたいで……それで、ずっと追ってくるんです……」
ラズレックは首をかしげた。
「……なぜ、逃げるのだ。正直に話せばよいのではないか」
すぐにアヤが口をはさんだ。
「ラズレック。許してもらえなかったらどうするのさ」
「みんなが、あんたみたいに話が通じるわけじゃないんだよ」
そのときだった。
草むらが揺れ、二人の男が姿を現した。
ラズレックは、現れた瞬間――
二人の膝の上まで、地面に沈めた。
「うわっ!?」
「な、なんだこれは!?」
動けなくなった男たちに、ラズレックは静かに言った。
「……お前たちが、この子を追っていることはわかっている」
「だが……許してやることはできぬのか」
アヤも続けた。
「この子は、そそのかされたんだよ」
「まだ善悪の区別もあやふやな子どもだ。目くじら立てるほどじゃない」
「それよりさ……あんたたちの主人、盗賊に狙われてるらしいよ。こんなところで追い回すより、そっちを守ったほうがいいんじゃない?」
男の一人が叫んだ。
「な、何を言っているんだ!」
すると、もう一人の男も続けた。
「違う! 俺たちは……この空を飛べる子に、助けを願いたいだけなんだ!」
「だから……話をさせてくれ!」




