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異世界に目覚めた乙女、王子との恋と陰謀の狭間で

作者: まっく

 1日目


 リナは高校の帰り道、いつも通り図書館に立ち寄った。古い本を探すのが好きで、静かな図書館で過ごす時間が心地よかった。ふと目に留まった古びた本を手に取った瞬間、意識が遠のき、気づけば見知らぬ異世界にいた。本には「選ばれし者が触れし時、運命は動き出す」と書かれていた。


 目を覚ましたリナは、小さな村の魔法使いの老人に助けられ、異世界での生活が始まった。


「ここはどこ?」リナは自分の状況を理解しようと必死だった。

老人は微笑みながら答えた。

「ここはエルシア王国だよ。君は選ばれし者なんだ。」


 リナは初めて見る異世界の風景に戸惑いながらも、村人たちの温かさに触れ、少しずつ心を開いていった。村人たちは親切で、リナに必要なものを提供し、異世界での生活を支えてくれた。しかし、夜になるとリナは奇妙な夢を見る。夢の中で誰かが彼女を呼び、助けを求めていた。


「どうしてこんな夢を見てしまうのだろう…」

リナは一人、窓の外を見つめながらつぶやいた。村の老人に夢のことを話してみたが、

「それはただの夢だよ」と笑って答えるだけだった。

しかしリナは、夢が何か重要な意味を持っているのではないかという直感を捨てきれなかった。


 2日目


 リナは村での生活に徐々に慣れてきた。彼女は村の人々と一緒に畑を耕し、家畜の世話をし、毎日の生活を送っていた。しかし、心の中では常に自分の存在意義を探していた。


「私がここに来た理由は何だろう?」


リナは魔法使いの老人に尋ねた。


「君は選ばれし者だ。何か大きな使命があるに違いない。」老人は意味深な微笑みを浮かべた。


 その夜もリナは奇妙な夢を見た。夢の中で、彼女は広大な城の中をさまよい、暗闇の中から誰かの声が聞こえてきた。


「リナ、助けて…」


その声はますます切実で、リナは再びその声の主を探したが、見つけることはできなかった。


「この夢は何を意味しているのだろう…」リナはますます混乱した。


しかし、夢の中で見た城が実在する場所であるという直感が強まっていた。リナはその城を見つけるために村の周辺を探し回ることを決意した。


 3日目


 リナは村の人々に城のことを尋ねてみたが、誰も心当たりがないと言った。


しかし、村の老人だけは


「昔、この辺りには大きな城があったという話を聞いたことがある」


と話してくれた。


「その城はどこにあるんですか?」


リナが尋ねると、老人は


「それは遠い昔の話だ。今はもう跡形もなくなっているだろう」


と答えた。


しかしリナは諦めず、城を探す決意を新たにした。


 その日の午後、リナは村の外れにある古い道を歩いていた。道は荒れ果て、草木が生い茂っていたが、リナは何かに引き寄せられるように進んでいった。すると、遠くに古い石垣の一部が見えた。


「これが…城の跡?」


リナは心の中でつぶやいた。


彼女は石垣に近づき、周囲を調べ始めた。そこにはかつて城があったことを示すわずかな痕跡が残っていた。リナは夢の中で見た城とこの場所が一致することを確信した。


 4日目


 翌朝、リナは再び古い城の跡地に向かった。彼女は前日の探索で見逃していたかもしれない手がかりを見つけるために、さらに細かく調べることにした。リナは石垣の周囲を歩き回り、注意深く観察していた。


 その時、遠くから馬のひずめの音が聞こえてきた。リナが振り返ると、そこには王国の王子エリスが馬に乗って現れた。エリスはリナを見つけると、驚いたような表情を浮かべた。


「君はここで何をしているの?」エリスが尋ねた。


「私はリナです。ここに古い城があると聞いて、それを調べていたんです。」


リナが答えた。


「古い城か…。君が興味を持つのも無理はない。この場所には多くの謎が隠されているからね。」

エリスは微笑みながら言った。


 その時、突然、魔物が現れた。リナは驚き、身を守ろうとしたが、エリスは素早く剣を抜き、魔物と戦い始めた。エリスの動きは俊敏で、リナはその勇敢な姿に感銘を受けた。


 エリスは魔物を倒し終えると、リナに向かって手を差し伸べた。


「大丈夫かい?」


リナはエリスの手を取りながら感謝の意を示した。


「ありがとう、エリス様。本当に助かりました。」


 5日目


 エリスはリナを王国に招き、護衛として迎え入れた。リナは王国の壮大な風景や宮殿の豪華さに圧倒されつつも、新しい生活に適応しようと努力した。


「リナ、ここでの生活には慣れた?」エリスが尋ねる。


「はい、エリス様。皆さんのおかげで何とか。」リナは答えた。


「・・・・・、それはよかった」


エリスはそう答えたが、エリスの眼差しには焦りの色が見えた。


 その日、リナは王国の宮殿を探検しながら、エリスの婚約者カイに出会った。カイは美しい容姿と冷徹な目を持つ女性で、リナに冷ややかな視線を送りながら言った。


「あなたがエリスの新しい護衛ね。どうせ長くは続かないでしょうけど。」


 リナはその言葉に不安を感じながらも、エリスへの忠誠心を強く持ち続けた。カイの存在が彼女の心に影を落とし始めたが、リナは自分の使命を果たすために努力を続けた。


 6日目


 リナはエリスの護衛として日々の業務に追われていた。エリスの婚約者の存在に心を悩ませながらも、リナはエリスとの距離を縮めようと努力した。しかし、カイの冷ややかな目線が、リナの胸に不安を募らせた。


 リナはカイの行動に不審を抱き始めた。カイは時折、エリスの知らないところで何かを計画しているような素振りを見せた。リナはカイの行動を注意深く観察し、エリスに報告することを決意した。


 その夜、リナは再び奇妙な夢を見た。夢の中で、彼女は広大な城の中をさまよい、暗闇の中から誰かの声が聞こえてきた。


「リナ、助けて…」


 リナは夢の中で必死に声の主を探したが、見つけることはできなかった。


「この夢は何を意味しているのだろう…」リナはますます混乱した。


 7日目


 リナはエリスにカイの行動について話すことにした。


「エリス様、カイ様の行動に不審を抱いています。彼女は何かを計画しているようです。」


エリスは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに冷静さを取り戻した。


「リナ、君の意見を尊重する。カイの行動に注意を払ってみよう。」


エリスの言葉に、リナは少し安心した。


 リナはエリスとの話し合いの中で、少しずつエリスへの信頼を深めていった。

エリスはリナに対して非常に親切で、彼女の意見を尊重し、共に問題を解決しようと努めていた。しかし、エリスの焦りの表情は時折見え隠れしていた。


 その夜、リナは再び奇妙な夢を見た。夢の中で、彼女は広大な城の中をさまよい、暗闇の中から誰かの声が聞こえてきた。


「リナ、助けて…」


 リナは夢の中で必死に声の主を探したが、見つけることはできなかった。


「この夢は何を意味しているのだろう…」


リナはますます混乱した。


 8日目


 リナとエリスはカイの行動をさらに注意深く観察することにした。リナはカイがエリスに対して敵対的な計画を持っていることを証明しようとした。カイはリナに対してますます冷たい態度を取るようになり、エリスとの間に緊張が走った。


 リナはカイの行動をエリスに報告し続け、エリスもカイに対して疑念を抱き始めた。その夜、リナは再び夢を見た。夢の中でエリスがリナに語りかける。


「リナ、君は私を助けるためにここにいるんだ。」


「エリス、あなただったのね。助ける....って?」


リナはその言葉に驚き、夢から覚めた。


「助けるってどういうことかしら」


リナは夢の中のエリスの言葉の真意が理解できなかったが、彼のサポートをし続けた。


 9日目


 リナはカイの行動に不審な点が増えてきたことをエリスに報告した。二人で話し合った結果、カイを直接問い詰めることにした。


「問い詰めるにしても、、裏付けとなる証拠が必要ね。。」


 その夜、リナはこっそりとカイの部屋に忍び込んだ。部屋を探索していると、カイの計画を裏付ける証拠を見つけることができた。それらの証拠から、カイがエリスの失脚を狙っていることが明らかになった。


「どうして.....」


 リナはエリスのもとへ急ぎ、発見した証拠を報告した。


「エリス様、大変です!カイ様がエリス様に対して陰謀を企てていました。」


 エリスは驚きつつも、すぐに状況を飲み込んだ。


「そうか...。わかった。カイを呼んで、直接話を聞こう。早く終わらせよう」


 エリスとリナは証拠を持ってカイの部屋を訪れ、彼女を問い詰めた。


「カイ、これはどういうことだ?私に対する陰謀とは...。」


 カイは二人を冷ややかな目で見据えながら、答えた。


「エリス、あなたには理解できないでしょうね。でも、私にはそれなりの理由があるの。」


 10日目


 事態は急速に動き出した。


 リナとエリスはカイの計画を阻止するために立ち上がり、宮殿内で対決することになった。


 リナは現代知識と異世界の魔法を組み合わせ、エリスと協力してカイの陰謀に立ち向かった。


 激しい戦いの末、リナとエリスはカイを打ち負かすことに成功した。


「エリス様の剣技、素晴らしかったです! まるで相手の行動が読めているみたいな動きで感動しました!」リナのエリスへの気持ちは特別なものに変わった。




 カイの野望は潰え、王国に平和が戻ったのだった。


 エリスはリナの活躍を称え、彼女に心からの感謝を伝えた。


「リナ、君がいなければ、私はカイの陰謀に気づくことすらできなかっただろう。本当にありがとう。」


 リナもまた、エリスとの絆の深さを感じていた。


「いいえ、エリス様。私はエリス様と共に戦えて幸せです。これからも、王国のために尽くしていきたいと思います。」


リナは喜びに満ちた表情で、エリスに感謝の言葉を伝えた。


「エリス様、これからもずっと一緒ですね。」


リナは幸せそうに微笑み、エリスとの未来に希望を感じていた。

しかし、エリスの表情には曇りが見られた。


「ああ、そうだね。でも、今はもう行かないと。またな、リナ。」


エリスはリナに別れを告げると、一言も発することなく、その場を立ち去った。


リナは少し寂しそうにしていたが、再会を信じて前を向くのだった。


彼女はエリスとの思い出を大切に心に刻み、平穏な日々を送ることにした。


リナは村に戻ると、村人たちに話を聞かせた。


子供たちは興奮して彼女の周りに集まり、リナは笑顔で子供たちに語り聞かせた。


「いつかまた、エリス様と一緒に何かできたら嬉しいな。」


リナは村人たちに囲まれながら、心の中で呟いた。彼女はエリスとの再会を心待ちにしていた。


・・・


エリスは一人になると、深い溜息をついた。


彼は宮殿の奥へと歩みを進め、誰もいない小さな部屋へと入った。


部屋の中央には、妙な雰囲気を放つ台座が置かれていた。


「くそっ、10日もかかるなんて...。全然上手くいかなかった...。」


エリスは苛立ちを隠せずにつぶやき、台座に浮かぶ「リセット」の文字に手を伸ばした。


「リナに『ここでの生活には慣れた?』なんて質問するんじゃなかった...。あの質問が、最短ルートへの分岐点を見逃す原因だったんじゃないか...。」


エリスは後悔の念に駆られていた。


「次は、リナにもっと適切な質問をして、最短ルートに進めるようにしないと...。」


次の瞬間、エリスの目の前の光景が歪み、意識が遠のいていった。


気がつくと、彼は始まりの地点に立っていた。


エリスは覚悟を決めて、再びリナとの出会いに臨んだ。




・・・・・・・




「リナは高校の帰り道、いつも通り図書館に立ち寄った。古い本を探すのが好きで、静かな図書館で過ごす時間が心地よかった。ふと目に留まった古びた本を手に取った瞬間、意識が遠のき、気づけば見知らぬ異世界にいた。本には「選ばれし者が触れし時、運命は動き出す」と書かれていた。」

お読みいただきありがとうございました!

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