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妹とゲームする  作者: kawa.kei


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26/27

五巡目、蠅は叩かれると落ちる。

 「へいらっしゃい!」


 店に入ると棚の整理をしていたらしい藤副が元気よく声をかけて来た。

 冷房の効いた店内は素晴らしく快適だ。 

 継征と逸子は冷えた空気を全身に浴びて外気に晒されて熱くなった体を冷やす。

 

 その間に藤副がレジへと移動。 

 もう二人が何を買うかを理解しているのでさっさとガチャを回せよと言わんばかりに待ち構えていた。

 

 「へいへい! お兄ちゃん! 今日は神ゲー引けるといいね!」

 「そうだな。 ウイニングストライカー以外ならもう何でもいいよ」


 あの地獄のような作業はもう勘弁して欲しい、そんな願いを込めて祈る。

 その間に逸子がガチャを回してカプセルを開けていた。 

 早く早くと急かす妹に苦笑しながら二回引いてレジへと持って行く。


 「ほい、んじゃ逸子から行っとくか」


 藤副がカプセルに入っていた番号札を見ながらソフトを引っ張り出す。


 「一本目。 えーっと『アポカリプス・デイ』FPSだね。 ゾンビ撃つ奴」

 「あぁ、タイトルは聞いた事があるな。 かなり前に映画化した奴だろ?」

 「え? そうなの? なら当たりって事?」

 

 そこまで有名ではないが、実写映画化していたのでタイトルは知っていた。

 ただ、映画に関してはゴリゴリの低予算で作られた所謂Z級と呼ばれるヤバい出来だったという話は聞いた事があった。 果たしてそんな映画の元ネタが良作なのかは甚だ疑問ではあったが。


 「どう思う?」

 

 意見を求めると藤副は首を傾げる。 


 「やった事ないから分からん。 ただ、パッケージの裏を見るとグラフィック的には割としっかりしてる感じだとは思うよ」

 

 受け取ってひっくり返してみると確かに発売当時の水準を考えれば出来は良いように見える。

 外れと断ずるには早いか。 その間に藤副が二本目を引っ張り出す。

 

 「ほい、二本目。 えーっと? 『ブレイブ・フェアリー~妖精勇者~』3Dアクションかな? パッケージ見る感じこっちも普通そう」


 渡されたソフトを見ると可愛らしいイラストの武装した人間サイズの妖精が魔物らしき怪物と戦っているパッケージが目に入る。 裏を見るとこちらも悪くない感じの3Dアクションだった」


 「イラスト可愛いね!」

 「まぁ、今の段階だとそれ以上の感想は出ないなぁ。 次は俺の方を頼む」


 どんな物やらと考えながら継征は引いた札を渡す。 ほいほいと番号に記されたソフトを持ってきた。


 「一本目は『フライ・ハイ』。 んー? シューティングかな」

 「マジか。 弾幕系みたいな集中を要求される奴はしんどいぞ」

 

 受け取るとパッケージには巨大な蠅が敵らしい起動要塞に突撃するシュールなイラストが目に飛び込む。 なんじゃこりゃと引っ繰り返すと、タイトルにあるフライは蠅の事らしく、侵略生物相手に蠅の戦士である主人公が戦いを挑むという内容だった。


 弾幕系ではなくパッと見た感じオーソドックスな横スクロールといった感じだった。

 これなら楽かなと思いながら二本目を受け取る。


 「『ギャング・ドミネイト』シミュレーション系かな? うーん、見た感じTPSっぽいけど分からん」


 受け取ったパッケージには巨大なビルを背景にいかにもなおじさんが両手を前に突き出し、指から操り糸のような物を垂らしていた。

 裏返すと街を支配して真のギャングの力を見せつけろと言った煽り文句が記されている。


 こちらも判断が付かない代物だった。 


 「パッケージだけじゃ雰囲気しか分からんな。 まぁ、その辺はやってから判断するよ」

 「そう? じゃあ、終わったら感想聞かせてねー」


 ひらひらと手を振る藤副に別れを告げた二人はそのまま帰宅。

 購入したソフトを並べる。 


 「で、どれからやる?」

 「前は私の番で終わったから次はお兄ちゃんでよろしく」

 

 継征はどうした物かと考える。 シューティングとTPS要素のあるシミュレーション系。

 楽な方を先に処理したいと考えて前者を選択。 


 「この『フライ・ハイ』って奴にするよ」

 「お、シューティング行っちゃう感じ?」

 「あぁ、まだ楽そうだしな」


 トロフィーの数もそこまで多くない。 どうにかなるだろう――


 ――と思っていた時期があった。


 「あー、またやられちゃったね」


 継征はプルプルと体を震わせる。 画面にはゲームオーバーの文字。

 『フライ・ハイ』。 

 シューティングゲームの中でもツインスティックという独特な操作方法を用いるタイプだ。

 

 片方で自機の操作、もう片方で射撃方向を決定するといったシステムで背後からの敵をそれで処理する。 

 その為、基本的に死角は存在しないのだがこのゲーム、最初は横スクロールかと思ったが、ステージクリア式だったらしく、四角い限られた空間内に存在する敵を全滅させると次のステージへ進めるのだ。


 画面を埋め尽くすような弾幕系ではないが難易度は非常に高かった。 

 クリアまでの流れとしてはまずは湧いて来る雑魚敵の処理。 

 固い防御に守られた中ボスの撃破。 最後に弱点であるコアを抱えたボスを仕留めてクリア。


 その繰り返しだ。 敵の種類もそう多くなく、中ボスの種類も五種。

 ボスの種類は何と三種類だ。 レーザー、弾幕、極太のビーム。

 基本的にその組み合わせとなる。 


 それだけ聞けばそこまで難しくないと思いがちだが、ボスがとにかく硬い。

 中ボスもそうだが、ボスの耐久力は異常と言っていいだろう。

 心臓のようなデザインのコアが黒いバリアに守られているのだが、しつこく弾を撃ち込むと徐々に灰色から白に変わって排除される。 


 そうしてようやくコアに対しての攻撃が可能なのだが、そのコアの耐久も高い。

 

 ――というかしぶとい。


 最初のステージの時点でおかしいと思ったのだが、進むにつれて耐久が上がっていくので10もクリアするとかなりの耐久を強いられる。 

 一応、中ボスや少し大型の雑魚を仕留めるとショットの威力や連射速度を上げるアイテムが手に入るが持続時間が5秒ぐらいしかない。 その為、強化を重ねて撃破を加速させ辛い。


 敵の種類が少ない以上はパターンさえ読めれば勝てるのでは?

 そんな継征の浅い考えは早々に打ち砕かれた。 

 敵のボスは出現する度に発射速度と耐久が強化されるので分かっていても付いて行けないのだ。


 加えて、最初は一種類だけだったボスもクリアが進めば複数同時出現といった形で難易度が上がる。

 この時点で高難易度のゲームではあるが、継征にとって許容できない仕様があった。


 ――それは――


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