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日々を積もらせ幸とあれ。  作者: うゆ。
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第一話『不運』

熱い、熱い、熱い、熱いーー。

背中の辺りがものすごく熱い。熱くて、熱くて、けれど今にも消えそうなぐらい意識は冷たくてーー。

「どうして、おれが、こんなことに...」

そのまま意識は闇に沈んでいってーー。


話は、ほんの一時間ほど前に遡る。


今日もまた、平凡な一日が始まる。

良くも悪くもない、普通な日常。

「おはよーございます」

誰もいない部屋でただ一人、挨拶をする。

当然のように返事は返ってこないが、彼女ーー否、少女のような顔立ちをした「彼」は、特に気にせず台所へ向かう。

特徴的な少年だ。足にまでとどく長い銀髪を特に結ばずに流し、明らかに大きさのあっていないパーカーを着崩している。

右目は赤色で左目は青色と、俗にいうオッドアイというやつである。左目には下に向いたやじるしのような紋様があり、明らかに日本男児とは思えない容姿をしている。

「買っておいた弁当はっと...あったあった」

そうして、特に不味くもない弁当を食べ終えた彼は、シャワーを浴び、高校への支度をする。

「いってきまーす」

起きた時のように、誰もいない部屋でただ一人家を出る合図をして、高校へ向かう。

今日も、明日も、死ぬまでずっと、この日常が続くのだろう。

そんなことを考えながら、通学路を歩いていた。

ーーその時だった。

「ーぁ」

突然だった。まるで火で炙られているかのように、背中に灼熱が走った。膝からアスファルトの上へ崩れ落ちた。

何があったのかと、反射的に背中を見ると、何か赤いものが噴き出している。横には刃物のようなものが落ちていて、たくさんの人の声が近づいてくる。

あ、刺されたのかーー。

遅れて理解した。意識し始めると、死が近づいてくるのが感覚でよくわかった。そして、無性に思う。

死にたくない、と。

もっと生きたいのに、身体はそれに反して動かなくなっていく。

「どうして、おれが、こんなことに...」

そのまま意識は闇に沈んでいってーー。

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