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90話 お遊び

「はぁ、、、」


 まさかここまでだとは、、、


「ひどすぎる」


 ひどすぎる。

 程度が低すぎる。

 こんなの決闘どころか今日剣を学び始めたやつの模擬戦にも届かない。

 余りにもくだらなすぎる。


「こんなの決闘じゃない。まったくもって白熱していない」

「そうなのですか?私には白熱した戦いに見えますけど」


 ハンナがそう言う。

 まあそもそも戦いと言うものを見たことないならそう思うのも無理ないだろう。

 

「ハンナ、僕からしてみればこれは子供の騎士ごっこだ。とても戦いとは呼べない」

「ですがみんな熱狂してますよ?」

「南部人にはこれが白熱して見えるのだろうね。北部人にはひどすぎる決闘もどきだが」

「殿下がそう言うならそうなのでしょうが北部ではどんなものなのですか?」

「そうだね、、、」


 北部の決闘か。

 

「北部はまず決闘は軍か北都の名によって執り行われる。あと最低2回の実戦を経験しなければ決闘はできないことになってるんだ。だから決闘は死と隣り合わせで行われる」

「決闘なのに死ぬことがあるんですか!?」

「むしろ決闘だからだよ。模擬戦と違って自分が所属し忠誠を誓う軍か北都の名を借りて行われるんだから手を抜くこと自体最大の侮辱だからね。まあだいたいはどちらかが降参して終わるけどそれでもほどんどが重傷を負って終わる」

「確かに、、それを普通としてとらえていたら南部の決闘はお遊びに見えても仕方ないですね」

「それにそもそもの戦闘技術が違いすぎいる。この程度なら10人相手でも北部人が余裕で勝つよ。北部に行ったら見てみると良い」


 そんな話をしている間にフィールドでは第2、第3試合が始まっていた。

 第2試合では両方がレイピアを使っていた。

 

「あ~あんなにレイピアを雑に使って、、、」


 レイピアは本来突き刺すための武器なのに選手たちは刃で相手の斬撃を受け止めている。

 そのせいで少し刃は曲がっている。

 そもそも使っているレイピア自体質が悪いようだ。

 

「もういいや。リールが出てくるまで興味ない!」


 こんなひどい戦い見るに耐えない。

 

「エレナさん、何か食べ物頼んできてくれる?」

「了解しました。私もちょうど落胆したところだったので」


 僕と同じく見るに堪えないと思っていたエレナさんは席を立って廊下にいる係に食べ物を注文しに行った。

 


ー-------



「姫様、持ってきましたよ」


 しばらくしてエレナさんが帰ってきた。

 手には果物やスイーツ、串肉など様々な物を持っている。

 僕とエレナさんは最前列の一つ後ろのソファー席に座ってひどい戦いを見てたまったストレスを発散するため串肉にかぶりついた。

 本来ならば15人用のボックス席を僕たち3人と数人の兵で使っているから席は余っている。

 ハンナは相変わらずひどい戦いに見入っている。


カキンッ!


 フィールドに大きな金属音が響く。

 決着がついたようだ。

 今回戦っていたのはフルプレートを着た騎士と短剣のみの剣闘士。

 騎士の方が勝った。

 北部では決闘に鎧は禁止されている。

 南部ではいいらしい。


「にしても降参早すぎでしょ」

「そうでしょうか?」


 ハンナが聞いてくる。


「早いよ。北部だったら最低でも腕に槍が刺さらないと降参はしないよ」

「それってめちゃくちゃ重症なんじゃ、、、」

「確かに重症だね。でも北部での決闘は人生に1,2回あるかどうかっていうくらい重いものだから簡単には降参できないよ忠誠を誓う相手の名を借りてるしね」

「人生に1,2回ですか、、、確かにそれなら腕くらい安いと思う人もいるかもしれませんね」

「それにこの前の僕がやった改革で北部全土で高度医療が基本的に無償で受けられるようになったしその後の療養期間も元の収入を軍か北都が保証するからけがのことは南部より重く受け止めてる人はいないね」


 そうだ。

 この前の改革では一部北都も参加している改革がある。

 退役軍人はもちろんのこと北部に住む人の医療を保証するのは統治する側として義務だ。

 いままでも資金面では保証されていたが医者の効率的な配置ができてなかったせいで一部医療の質が落ちていた地域があった。

 それをこの前の改革で改善したのだ。


「全員が保証されるんですか!?」

「まあ金はあるし医者に至っては一部都市に集中してただけで人口をカバーできる十分な数がいるしね」

「南部や諸外国ではそもそも首都以外に医者もいないのに、、、」

「医者がいないってそれどうするの?」

「普通は都市まで患者を連れて行くかそれが無理なようなら教会に連れて行きます」

「教会か、、、」

 

 どうせ適当に祈ってるふりするだけで何の効果もないのだろう。


「いつかは教会とも争うかもね」

「教会とですか?」

「うん、他陣営を教会は少なからず支援してるしいつかはね」

「そうですか、、、」


 ハンナは少し複雑な顔をしていた。

 確か教会の思想は公国でも蔓延しているし子供のころから教えられてきたのだろう。

 まあ一連の出来事でもう神なんて信じてないと思うがそれでも複雑だろう。


「そういえば北部はよくそんな数の医者を確保できますね」

「ああ、北部には医療学校があるから」

「医療学校?」

「うん、ある一定の成績をそれまでの教育課程で収めれば北都にある医療学校で学べる。3年間専門的な知識を学んだら2年間仮の医者として北都の医者の下で現場を学んでそれを終えると正式に医者になって開業が許可されるんだ」

「じゃあ身分関係なく医者になれるってことですか?」

「もちろん。学費と生活費は全額北都が保証するし入学するために必要な成績は北部人全員が受ける教育で獲得できる。だから人口の割には毎年結構な数の医者が排出されるんだよ」

「すごいですね」

「まあ先人たちに感謝だよ。これは僕が生まれる前からあった制度だしね」

次回投稿は火曜日になります。



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