7話 開戦
「、、、なんで、、こんなことに、、、」
私は王国軍東部司令官のブルノン・フォン・エーベルト。
10年近く帝国軍と対峙して領土を奪いあってきた。
敵ながら帝国の北部軍は精強だ。
世界最大にして人種・身分が混合の実力主義の世界最新・最強の軍だ。
そんな軍に対して無い知恵を絞って国庫に血を吐かせながらも対等にやってこられたのだ。我ながらそこそこの歴史に名を刻む名将だと思っている、、、
こんな上の連中の都合でやってる戦争なんて早く終わらせたいと思っていた。
「チャンスだと思ったのに、、、」
半年前に帝国軍が溺愛してる皇女の初陣があると報告を受けたときは天からの恵みだと思った。
皇女さえ排除すれば、、、できるなら捕虜にできれば人質にして帝国からある程度の領土をかすめ取って即時終戦もできると思った。
半年かけて周到な準備を重ねて計5万の大軍を用意した。
急ごしらえではあるがいつもより良質な装備も用意した。
たとえ溺愛された姫だとしても11歳の小娘だとゆうことに変わりはない。
せいぜい1・2万の軍で適当な駐屯地を襲うくらいのことしかしないだろうと思っていた。
というか普通はそうするはずだ。
だから共に戦ってきた息子のベークに敵と同数の2万を任せてかつ奇襲で列の中心だけを囲んで確実に皇女を拘束しろと命じた。
成功したらいったん下がってのろしを合図に本体の3万が合流して殲滅するはずだった。
もし失敗してものろしが上がっていないことを確認して息子とともに撤退して損害を減らす確実な戦術だった、、、
「はずなのに、、、何故、、目の前に18万の大軍勢がいるのだ!」
成功ののろしが上がったから合流地点で待っていたらやってきたのは息子ではなく皇女ではないか!
18万など王国軍すべて合わせても遠く及ばないぞ!
北部軍ほぼすべてではないか!
「なぜ、、、なぜこんなことに」
カーナ視点
「姫様、リール嬢からの報告で全軍配置が完了したようですぜ」
ベルトンが報告してくる。
今軍が駐屯してる平原の隣の森で一人考え事をしている。
でももういかなきゃ
「了解、今行くよ」
「馬は用意してます」
「ありがとう、じゃあ行こうか」
僕たちはリールが待つ本陣に向かった。
少し馬を走らせると広大な雪原が見えた。
そこには18万の仲間とおそらく何が起こっているのか見当もつかないであろう3万の王国軍が対峙していた。
「ごめん、少し考えてて遅れた」
「大丈夫ですよ、敵は我が軍の6分の1です。動こうにも動けませんよ」
「こうなってくると敵の司令官がかわいそうだね」
「殿下の才能を見誤った罰ですよ」
リールが少しSっぽい笑みを浮かべる。
ちょっと怖いな~
「それにしても驚きましたよ、敵の戦略を読んで成功ののろしをわざと上げるなんて私はてっきりあれが本体かと」
「敵の司令官が若すぎると思ったからね。あと僕を真っ先に狙ってきたから相当情報が漏れていることが分かったね」
「すいません。今後はもっと要塞の出入りの身分確認を充実させます」
「別にリールの落ち度ではないよ、我が家は巨大すぎるからね。数十万を養うためには少しの隙は許容範囲だよ」
「ありがとうございます」
「じゃあそろそろ始めますか!」
「はい!いつでもご命令ください!我ら北部軍18万は殿下のもとに!」
「軍団長のみんなもよろしく」
「はっ!」
「はっ!」
「はっ!」
「はっ!」
「はっ!」
「はっ!」
「はっ!」
後ろに待機していた軍団長たちが答える。
「早速軍団長はそれぞれの軍に戻って戦闘陣形に移って作戦は話しておいた通りに」
軍団長たちが18個の軍団にそれぞれ帰っていく。
「殿下、話しておいた通りにとは?」
「ああ、リールには話してなかったね。まあ見てて、せっかくだからリールにはここから僕の初めての指揮を見守っててほしいんだけど、、、」
「殿下がお望みなら」
「ありがとう!じゃあ始めよう!展開して」
「了解しました!陣形を戦闘態勢に移行します」
リールが近くにいる伝令隊に合図するとその伝令隊が各軍団に走り出した。
「それにしても敵司令官はずいぶんと堅実な手を打ってきてるね」
「おそらく敵司令官はエーベルトかと」
「あ~、東部司令官か確かに敵ながら賞賛すべき名将とは聞くけど」
「その名将も殿下に当たったのが運の尽きでしたね。お、そろそろ陣形展開が完了するようです。」
18万を超える大軍は一糸乱れぬ動きで各々の持ち場にゆっくりと移動している。
あまりの数に荒れ狂う波のように激しく地面が揺れている。
敵軍は処刑台に送られる道中のような雰囲気で動けずにいる。
「全軍!止まれ!」
数万の足音が寸分の狂いなく一斉に止まる。
「殿下、予備隊含め全軍展開完了です」
隣にいる若い騎士が言う。
「報告!王国軍右翼が突撃陣形に移行!」
伝達兵がはっきりとした声で報告してきた。
「了解、全軍団長に通達!全軍亀甲陣形に移行!全進準備!」
「始まりますね」
「ええ、さあ勝ちに行きましょう!」
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