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76話 ドレス

「改めて見てもすごいね~」

「はい、やはり上級理事は素晴らしいですね」

「うん、先生はやっぱりすごい。でも少しやりすぎな気もするけど、、、」

「殿下の社交界デビューです。これくらいがちょうどいいですよ」


 今僕たちも前には先生からのプレゼントがある。

 2週間前に初めて見たがやはり異常なほどに美しい。

 美的センスなど皆無な僕だがそれだけはわかった。


「このドレスを見れば帝都の連中は驚愕するでしょうね」

「うん」


 この先生から送られてきたドレスは北部の富と技術の象徴とも呼べる。


「リール、ドレスの説明をお願い」

「はい、同封されていた上級理事からの説明を読み上げます」


 そしてリールは現実離れした説明を読み始めた。

 

「このドレスはヴァルド研究部・ヴァルド駐留北部軍・フルテッド王国王室・ヴェスターの鍛冶職人の総力をつぎ込み完成したプレゼントです。本来ならば殿下の14歳の誕生日にお渡しする予定でしたが今回の件を受け早めにお渡しします」


 14歳のプレゼント、、

 先生の粋なことをする。


「フルテッド・北部で産出された大量のダイヤモンドを加工し鎖帷子のように編み下地が作られています。芸術性を確保するため、鎖帷子は極限まで細分化されています」


 実物を見てもそれが現実化疑うほどだ。

 鎖帷子のような粗さは感じられず普通のレースと見分けがつかない。


「その下地の上に小さく板状に加工したダイヤモンドを並べ、装飾されています。ダイヤモンドは一点の衝撃に弱く、それに対応するため特殊なガラスで全体が薄くコーティングされています」


 よく見てみるとコーティングされているのがわかる。

 先生のことだ、弓を至近距離で打たれても傷一つつかないのだろう。


「装飾もダイヤモンドのみで作られ、左胸のフォーク家と北部軍の紋章が特徴です。ダイヤモンドと接続部のオリハルコンのみで作られていますが殿下がいつも使う鎧より軽くなるよう設計されています」


 恐らくフォーク家の紋章は急ぎで作られたのだろう。

 僕がフォーク家に認められ一員になったのは帝都行きを宣告された翌日だからだ。


「やっぱり何度聞いても信じられないね」

「はい、どんな美しい宝飾品でも荘厳な宮殿でもこれにはかなわないでしょう」

「これみんなに見せた?」

「いえ、各貴族方には今日殿下が着ていくのが初お披露目です」

 

 帝都貴族だけじゃなく味方の北部・旧貴族も今日初めて見る。

 きっと驚くだろう。


「始めよう。武器はこれ以上ない最高の物が揃った。あとは僕たちが使うだけだ」

「はい、始めましょう」


 僕とリールがそう言うと待機していたマンフレート邸のメイドが僕の着付けを始めた。


「こちらへ」


 メイドが鏡の前へ誘導してくる。

 僕は鏡の前に立った。


「始めます」


 メイドがそう言うと着付けが始まった。

 普通貴族令嬢などの着付けには3人ほどのメイドがつくが僕の場合はドレスが複雑かつ特異なので6人のメイドに囲まれている。

 メイドたちは最初に僕の服を脱がした。

 僕はいつも通り軍服を着て来た。

 軍服は実用性に全てを振っているため簡単に脱げる。

 

「この制服はどういたしましょう?」

「それは新しい僕の部屋に」

「かしこまりました」


 今日のパーティーが終われば僕もこの屋敷に引っ越す。

 荷物を先に送っておくのにちょうどいい。

 メイドたちは軍服を脱がし終わるとその下の下着も脱がし始めた。

 下着も軍で配給される物だ。

 こうして考えてみると僕はいつものワンピース以外は男物しか着てないな。

 下着も脱ぎ終わるとメイドたちがドレス用の下着を持ってきた。

 

「やはり殿下の体は美しいですね」

「何言ってるの」


 リールが急に変態じみたことを言ってくる。

 

「あ、いえ、普通戦場で長く過ごしていると傷の一つや二つ付くので」

「あ~そういうこと」


 確かに考えてみればそうだ。

 戦場にいれば跡が残る傷の一つや二つ付くだろう。

 だが僕の体は傷一つない。


「傷がないということは一度も重大な攻撃を身で受けたことがないということです。殿下の強さ様様ですね」

「そんなことないよ。オリハルコンの鎧に覆われてるのもそうだけど僕はそもそも指揮官が望まないのに仕方なく剣を握る状況の時点で敗北は確定してるって思ってるからね」

「実に殿下らしい考え方ですね」


 会話が終わるとメイドたちが僕に下着を着せる。

 下着を着終わると短刀をリールが持ってきた。

 ドレスの下に隠し持っておく用の短刀だ。

 いくらパーティーとはいえ敵陣であることに変わりはない。

 他陣営が刺客を差し向けてくるかもしれない。 

 最低限の武器は持っておいた方がいいだろう。

 

「こちらは私がいつも使ってるものです。2年前に作られました。刀身全体が高純度のオリハルコンでできています。特殊加工もされていますので刃こぼれもあり得ません」

「ありがとう、終わったら返すよ。じゃあこれを右腰に付けて」


 リールに貸してくれたお礼を言うとメイドたちに命令する。

 短刀を付け終わるとドレスが運ばれてくる。

 鎧とはいえ全てオリハルコンとダイヤでできているこのドレスはドレスにしては異常な重さだ。

 メイドが二人がかりで運んでくる。

 ドレスの後ろの金具を解いて着る。

 着てメイドたちが手を離すと重さが伝わってきた。

 

「確かにドレスにしては重いね」

「大丈夫ですか?」

「うん、鎧に比べれば軽すぎるくらいだよ」


 北部ではこれの何倍も重い鎧を着て武器を持ち全力で戦ってきたのだ。

 これなら何時間でも着てられる。

 ドレス本体が着終わるとメイドたちは各種装飾品を持ってきた。

 腕に付けるブレスレットに首のチョーカー、胸のブローチなど様々だ。

 左胸のフォーク家と北部軍の紋章以外にも別の特徴があった。

 合計32個の装飾品にはそれぞれ数字が刻まれているのだ。

 これは先生によれば北部軍の各軍団からの物らしい。

 

「みんな力入れてくれたみたいだね」

「そうですね。報告によれば各軍団殿下の気を少しでも引こうとしてどんどん予算が膨れ上がったそうです。他の軍団には負けられないと思ったんでしょうね」

「はは」


 それを聞いて少し怖くなった。

 いったいこの装飾品たちはいくらするんだ。


「それ合計で王国の国家予算の13年分に相当するそうです」

「、、、は?」


 それを聞いてその場の全員が固まった。 


 

投稿を1日忘れていました。

申し訳ございませんでした。

明日は予定通り投稿します。


ー-------


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