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75話 開戦準備

「殿下、そろそろご準備を」


 部屋で出発を待つ僕に入ってきたハンナが言う。

 リールは目的地で待っている。


「はあ、憂鬱だな」

「そんなこと言わないでください。せっかくの晴れ舞台です。たとえそこが戦場だとしてもおしゃれしなきゃ」

「わかった」

「さあ、行きましょう」


 ハンナに手を引かれ部屋を出る。

 お母様の屋敷は護衛隊とわずかな使用人しかいなくなっていた。

 旧貴族たちを陣営に取り込んで数週間、いろいろと準備してきた。

 その過程でお母様はマンフレート邸に引っ越した。

 使用人も全員ここからは撤収しマンフレート邸にいる。

 あとは今日を無事に終えて僕がマンフレート邸に引っ越したらそれで完了だ。


「今日は予定で埋め尽くされてますから急ぎましょう」

「うん」


 ハンナの言う通り今日は休みなく予定が入っている。

 

「殿下に敬礼!」


 玄関を出ると馬車までの道に護衛隊が並んでいて敬礼をしてくる。

 号令を出したのはリールの副官だ。

 僕は敬礼し返してそのまま馬車に乗った。


「行きましょう。リール様が待っています」

「そうだね。行こう」


 馬車に乗るといつもとは違い僕の指示を待たずに馬車は動き出した。

 護衛隊に今日の隙間のない予定を伝えているからだ。


「ハンナ、今日の予定を呼んでくれる?」

「はい、かしこまりました。」


 ハンナには最近僕の側近として事務と戦闘術を学ばせている。

 将来的にバーレル公国の大公となるのだ。

 損はないだろう。


「今日は第一にマンフレート邸に向かいます。そこでリール様と合流、そのままマンフレート邸でドレスの着付けをします。それが終わったら第一会議場にて北部貴族と旧貴族の方々がお待ちなので作戦確認を行います」

「貴族は予定通り全員集まっている?」

「はい、リール様から先ほど全員集合していると通達がありました」

「了解」

「作戦確認を終えましたら護衛の軍の最終確認です。そこからドレス以外の装飾品を付けていただきます。ご要望通りドレスの下に忍ばせる短刀はそこでつけます。レイピアと槍はリール様にお預けください」

「しょうがない、、わかった。本当はレイピア下げていきたかったんだけどね」

「社交界デビューでドレスで武器を携帯していたなんて非常識と思われますよ」

「うっ」


 ハンナに正論を言われてぐうの音も出ない。

 ハンナに頼み込んで何とかドレスの下に短刀を忍ばせてもらえることとなったがそれも一応非常識だ。


「殿下の身なりの最終確認が終わりましたら各貴族が順々にマンフレート邸を出発します。最後に総督閣下の馬車が出発されます。それから半刻ほど経ちましたら殿下の乗る馬車の出発です。リール様は先頭の馬に乗って指揮を執ります。パーティー内での護衛はリール様一人です」


 僕の社交界デビューである皇室主催のパーティーには護衛は皇族でも1人しか許されていない。

 まあリールと僕がいれば十分だろう。

 会場にはおじさんや現役軍人である北部貴族もいるし。


「予定は以上です」

「わかった。ありがとう」

「遂にですね」

「うん、遂に僕たち北部皇族派陣営が表にでる。開戦ののろしだ、、、始めよう」

「はい、救っていただいたこの身、殿下のために」

 


ー-------



「殿下入門!」


 門番の兵がそう言うとリールとその部下の近衛隊の兵が屋敷から出て来た。

 2500人の兵を帝都へ移す過程でリールの正式な部下である近衛隊の兵も招集してある。

 王国との戦線に影響がない程度で少ないがそれでも一騎当千の近衛兵がいるのは嬉しい。


「リール、状況は?」

「全て予定通り進行しています。北部貴族、旧貴族共に全員集合しています。今日のパーティーは賑やかになりそうですね」


 マンフレート邸のエントランス前に馬車が止まると僕は馬車を降りた。

 僕は馬車を降りるとリールに進行状況を聞いた。

 予定通り進行しているようでよかった。


「中で着付け師が待っています。行きましょう」

「うん」

「私は馬車の準備をしますので少し遅れます」

「わかった。お願い」


 僕たちはマンフレート邸に入った。

 ハンナは馬車の準備で残るらしい。


「リールは何着ていくの?」

「私は軍の正装に軽装の部分鎧を着ていく予定です」

「いいな~僕もドレスなんて着たくないし」

「しょうがないですよ。帝都で戦う以上帝都のマナーに従わなければなりませんし」

「北部では軍服でよかったのに」


 ヴェスターで北都から赴任してきた連絡官を歓迎するために何度かパーティーに出たことはあるがあれは軍服だったしラフな感じだった。

 何気にちゃんとした南部のパーティーに出るのはこれが初めてだ。


「こちらです」


 しばらく廊下を歩くと目的の部屋に着いた。

 マンフレート邸は皇宮に引けを取らない程に巨大だ。

 未だほとんど構造を理解できていない。


「ここか、、、」


ガチャッ


 ドアを開けて入った。

 

「ここで待て」

「はっ」


 リールの命令で近衛隊の兵は外で待った。


「これが先生のプレゼント、、、」

「すごいですね」


 着付けのためにその部屋に入ると中央に用意されているドレスに目を取られる。

 そのドレスは明らかに他のドレスと違った。

 Aラインドレスに分類されるそのドレスの生地は全てダイヤでできていたのだ。


次回投稿は日曜日になります。


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