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74話 陣営加入

「公爵の支持、確かに受け取りました。ともに歩んでいきましょう」


 僕が公爵の支持を受け取ると公爵は満面の笑みを浮かべた。


「はっ!我ら一同!喜んで!」



ー-------



「改めてよろしくお願いします。中立派、、、いえ、僕の陣営の皆さん」


 公爵の支持を受けてお茶会は陣営に入った貴族達への作戦説明に変わった。

 公爵が支持したため他の中立派貴族も続いて支持を表明したのだ。


「まず、僕の陣営に入っていただいた皆さんには陣営の全容を明かすこととしましょう」

「全様、ですか?殿下の支持者は軍だけでは?」


 公爵はまだ北部での僕の厚い支持を知らない。

 北部でも軍しか僕を支持していないと思っている。


「殿下は北部全土で圧倒的な支持を受けています」


 リールが言う。


「圧倒的とはどれくらいでしょうか?」

「リール、あれを」

「はっ」


 僕がそう指示するとリールは書類の束を持ってきた。

 

「皆さま、これをご覧ください。情報保全のため写しはありませんので慎重に」


 今回陣営に参加した貴族たちが書類の束を見る。


「これは?北部貴族全員の名前が書いているようですが」

「この方々は全て殿下の支持者です」

「っ!!!」


 それを聞くと公爵は驚いた。

 それもそのはず、公爵は僕のことを今まで軍の支持しかなく社交界では力のない存在だと思っていた。

 それの実態は帝国国内最大の派閥を形成していたのだから。


「本当ですか!?」

「はい、社交界での支援をするために北部から多数の貴族がすでに出発していてすでに第一団は帝都に到着しています。そしてヴェスターと北都からの軍資金輸送も順調で帝都内に多数の拠点を確保、マンフレート邸には1中隊、500人の精鋭兵も到着しています」


 それを聞いて公爵は改めて驚愕した。

 旧貴族は南部最強とも呼べる広大な情報網を持っている。

 そんな彼らにとって帝都は庭だ。

 そんな帝都で500の兵と多数の北部貴族が集結していたなんて誰が考えるだろう。


「改めて殿下の側に着いたのは正解だと思いましたね」

「もうすぐある僕の社交界デビューでそのそれらを社交界に公開するつもりです」

「殿下を取り込もうと考えていた他の陣営は慌てるでしょうね」

「だね、特に貴族派陣営は大騒ぎでしょうね。あの陣営は私兵で軍事力を蓄えている。正規軍である北部軍の支持を得ている陣営ができるのは彼らにとって最悪の事態だ」

「ですね。我々旧貴族も殿下の社交界デビューには参加する予定でした。このまま参加してもよろしいでしょうか?」

「うん、お願いします。北部貴族と一緒にその場で支持表明をしてくれると助かります」

「かしこまりました」

「当日僕は最後に会場入りする予定です。その時に財力・軍事力・貴族支持のすべてを示すつもりです」

「そこで今まで隠していたすべてを打ち明けるということですね」

「そうです」


 公爵は感心したような顔だった。

 その後もお茶を飲みながら今後について入念に会議を重ねた。



ー-------



「では僕たちはこれで」


 僕はそう言って席を立った。

 もうすでに窓から差し込む日は赤く染まっていて日が沈みかけていることを表している。


「はい、この度はありがとうございました。我ら一同殿下の勝利に貢献できるように全力を尽くします」


 公爵と他旧貴族は深く礼をした。

 今回の陣営加入には他の旧貴族も納得しているようだった。

 恐らく僕が圧倒的な勢力を抱えているのが大きいだろう。


「ありがとうございます。では」

「あ、馬車までお送りします」

「ありがとうございます。」


 公爵がお茶会の部屋から馬車まで案内してくれるようだ。

 公爵の屋敷は改めて見ても見事な物だった。

 小さな照明など細部まで細かく整備されていて公爵家のこだわりが垣間見える。

 公爵のような旧貴族は長く屋敷などを継承し続けていることが多い。

 きっとこの屋敷も何代もわたってきたのだろう。


「そういえば公爵」

「はい」

「この屋敷には奴隷が見当たりませんが使っていないのですか?」


 この屋敷に来てから奴隷は1人も見ていない。

 普通貴族の屋敷には大量の奴隷が働いている。

 奴隷は財力を示すことができるからだ。

 公爵ともなれば数百人単位でいてもおかしくない。

 この屋敷はいくら小さいと言ってもそれなりの品位を持った大きさだ。

 数十人いても何ら違和感はない。


「奴隷は好きません。制度自体好まないのです」

「といいますと?」

「全ての人は再起のチャンスが与えられるべきです。当家は長年帝都を監視し続けてきましたが中には栄華を誇った者が没落し奴隷として再起を許されなかったことも見ました。私はそれが直単に嫌いでしてね。我が領では奴隷制を禁止しています」


 南部の貴族からその言葉を聞くとは思わなかった。

 

「意外です。南部の貴族は全員奴隷制に肯定的だと思ってきましたので」

「そう思うのも無理はありません。奴隷制を全土で完全に廃止している北部の方からすれば未だ主産業を支える制度として残っている南部は野蛮に見えるでしょう」

「公爵以外にも領地で廃止している貴族はいますか?」

「います。我ら旧貴族は一貫して奴隷制に反対です。特に今日集まって殿下の陣営に入った者達は全員領地で奴隷制を廃止しています」

「それは素晴らしいですね。いつかは北部と同じように南部全土で実力により身分が決まる世が来るといいですね」

「ですね。あ、着きました」


 そんな話をしていると馬車に着いた。


「今日はありがとうございました」

「こちらこそお越しいただきありがとうございました。また近いうちに是非」

「はい、また近いうちに」


 別れの挨拶が終わると僕は馬車に乗った。

 僕に続いてリールが乗り込むと馬車を取り囲む護衛隊の隊列はゆっくり進みだした。


「全隊!進め!」


 今日は充実した一日だった。

次回投稿は金曜日になります。


読んでくれてありがとうございました!



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