表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

71/138

70話 愚かさ

「どうだ?完璧な提案だろう?是非ともに進んでほしい」


 彼は自信満々だった。

 恐らく自分の提案が蹴られるなどつゆほどにも思っていないのだろう。

 まあ、彼と取引するのは大体彼に逆らえない分類の奴らだからな。


「1つ、、、1つお聞きしても?」

「もちろんだ」

「今の北部をどのように見ていますか?」


 彼は不思議な顔をしながら言った。


「今の北部?前と何も変わっていないだろう。寒く、土地は瘦せていて全体的に貧しい土地だ。君みたいな優秀な者もたまに排出されるがそれ以外はただの野蛮人だ」

「わかりました」


 私は呆れながら息を吸いなおした。

 こいつと一緒の空間にいるだけで愚かさが移りそうだ。


「私、リール・フォン・フォークは皇室騎士団長閣下の提案を、、、」


 相変わらず自信満々だ。

 にしてもさっきから私や部下の女性情報官の胸を見ているような気がする。

 やっぱり帝都の連中は愚かで野蛮だ。


「断固として断らせていただきます」


 きっぱりと言った。

 今後もこういう引き抜きや勧誘があるだろう。

 だがそれらすべて断るつもりだ。

 どれだけ金や権力、地位を積まれようと殿下や北部が現在保有している物にはかなわないだろう。

 それに、、、

 我が忠誠は北部と殿下のみにあり主君も殿下一人だ。


「ッ!!!!!!」


 彼は目を見開いて驚いていた。

 

「、、、いまからでも遅くない答えを変えろ」

「私は答えをお伝えしました。これ以上の回答はどんなに時間をかけても私からは得られませんので」

「っ!!」


ドンッ!


 彼は私と彼の間にあるテーブルを大きく叩いた。

 

「舐めるなよ!小娘!貴様の軍の運が少し良いと聞いたから栄光を掴むチャンスを与えてやったがやはり貴様も野蛮人の娘に過ぎなかったか!」

「いくらか容認できない単語がありましたね。我々が野蛮人だと?」

「そうだ!貴様らは文化もない北部の野蛮人だ!どうせ貧相なあばら家にでも住んでいるのだろう!」


 はあ、、、、

 賢さに差がある者と話すのは疲れると聞いたことがあるが本当だな。 

 別に私は自分が殿下のような天才だともおじい様のような名将だとも思っていない。

 だがこいつはさすがに愚かすぎだ。

 

「はぁ、、、どうやらこれ以上の会話は意味がないようです。私はこれにて帰らせていただきます。先ほども言った通り軍の報告を読まなきゃいけないので」


 部屋を出ようとする我々に彼はさらなる罵声を浴びせる。


「女のくせにこの栄光ある皇室騎士団を馬鹿にしやがって!この帝都からまともな状態で出れると思うなよ!刃を交えることがあれば身分を剥奪して奴隷にでもしてやる!」

「それは脅迫ですか?まあ、そうですね。30万以上の精鋭兵を倒さなきゃいけませんができるといいですね。フフッ」


 私は最後ににやりと笑って馬鹿にして見せた。


「貴様ッ!」


ガチャッ


 私はそのまま激昂する騎士団長を置いて部屋を立ち去った。

 すれ違った騎士は何が起きているのか把握できていないようで不思議な表情を向けて来た。


「総員、エントランスの武器まで行くぞ」


「はっ!」

「はっ!」

「はっ!」


 最悪の事態も想定して少し小走りでエントランスで待つ副官の元まで行った。

 

「隊長、」

 

 エントランスに行くと副官が待っていて武器を各員に配った。

 急いで出なければ。


「行こう」

「了解です。待機組に伝令!馬を回せ!」


 副官が外で待機していた馬係に馬を来させるよう伝える。

 しばらくするとエントランスの前に人数分の馬が来た。

 帰り用に1頭余計に持ってきてよかった。


「総員、しゅっぱt、、、」

「待て!」


 愚か者め、来てしまったか。

 黙っていれば今の地位くらい保持していられるのに。


「北部の野蛮人の小娘の分際で散々この私を馬鹿にしたうえで無視して帰れると思うなよ!」

「すこし勘違いしているようですね。今回私が来たのは「交渉」のためです。断ろうが了承しようが受け手である私の勝手です。あなたは交渉相手の答えを左右できるほどの権力者でも尊い人間でもない」

「貴様!どうせ剣も振えぬくせに偉そうな口を叩きよって!」

「その言葉そっくりそのままお返しします」


 剣も振えない?

 冗談だろ、自分の方じゃないか。

 そんなたるんだ体でまともに戦えるとは思えないな。


「ッ!!!」


 彼は顔を真っ赤にして激怒していた。

 愚か者ほど狭量だと聞いたことがあるが本当だな。


「皇室騎士団!剣を抜け!護衛はコロセ!小娘は生け捕りだ!」


 マジか。

 こいつら、、、

 

「めんどくさいですね。しつこい男は嫌われますよ」

「捕えよ!!」


 さすがにここまでの凶行をするとは思わなかった。

 

「北部人よ。総員構え。我らの目的のため敵を誅殺せよ」

 

 私たちも私の掛け声で槍と剣を手に取った。

 皇室騎士団は10倍の数で突撃してくるがまったく迫力がない。

 手加減するのは癪だしこれは後処理が大変そうだ。


「突撃してきた奴だけ殺せばいい。残りは放って帰ろう」

「はっ!」

「はっ!」

「はっ!」


「皇帝陛下万歳!騎士団長万歳!」


 奇声をあげながらボンボンどもが突撃してくる。

 

「はあ、これだから南部は嫌いだ。」

次回投稿は日曜日になります。


読んでくれてありがとうございました!



もし面白い・続きが読みたいと思っていただけたらブックマークや広告下の☆☆☆☆☆でポイントを入れていただけるとうれしいです!



評価はモチベに繋がりますのでよかったらお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ