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6話 奇襲

ザッザッザッ


「全軍速度そのまま!前進継続!」


 ここは要塞から歩いて数時間の地点、王国との小競り合いが続く大森林に差し掛かったくらいだ。

 北部軍は今越境してきた王国軍を撃退するために行軍している。

 重装歩兵10万、軽装歩兵2万、弓兵3万、重装騎兵3万で構成される大軍だ。

 僕たち三人は行軍中の指揮は軍団長に任せてリールと馬で話しながらゆっくり移動している。

 今乗っているこの馬は去年おじい様からもらった黒い軍馬だ、他の軍馬より一回り大きくて速いため気に入っている。


「こんなに来なくて大丈夫なんだけどな~」


 正直募集した時にはこんなに来るなんて思ってもなかった。

 来ても1万くらいだと思ったのに、、、


「18万って、、、」

「当たり前ですよ。殿下の初陣ですからこれでも足りないくらいです」

「、、、全軍でも出すつもり?」

「殿下がお望みなら」

「そうですぜ!2万も要塞に残してきちゃったんですから」


 ベルトンが横から割り込んできた。

 みんな親ばかすぎるんだよな~


「ってベルトン先頭じゃなかったの?」

「いや~先頭は話し相手もいなくて暇だったんでね~」

「暇って、、、行軍中に楽しみを探そうとしないで、、、」

「姫様、人生楽しまないと損ですぜ!」


 ベルトンが清々しい笑顔で言ってくる。


「まったく、、、あなたの人生は勝手ですが殿下に悪影響は与えないでくださいね」

「はいよ~」


 この二人を見てくるとどっちが年上かわからなくなってくる。


「そういえば偵察隊からは何か報告は?」

「今のところ敵影は確認できないとのことです。敵は全軍で正面から向かってくるかと」

「うーん、、、」

「どうかされました?」

「いや、敵は数で劣勢なのは知っているだろうしなんで撤退か特殊な戦術を選ばないんだろう?」

「今回の我が軍の総数は秘匿していますよ。敵は我が軍を多くて3万程度と思っていると思います」

「それでも王国も政治的な内紛で例年どうりに大群は派遣できないと思うから、、、まあ、どこかの誰かさん達が姫の初陣だと騒ぎまくって18万の大軍率いてるなんて思わないでしょうけど、、、」

「今のところ敵の大規模な動きは確認できませんし考えすぎでは?」

「そうだといいんだけどね、、、」


 敵軍は何故何もしてこないんだ?

 普通ならもう敵の進軍妨害とかに出会ってもいいのに

 何かがおかしい、、、


 次の瞬間何か視線を感じた。

 

 ガサッ


「全軍!密集陣形!歩兵を前に!荷馬車を守って!」


 僕が叫ぶと各隊長に伝わっていきすぐに近くの軍が密集陣形になった。


「殿下何が起こってるんですか!」

「敵襲だよ!」

「しかしどこにもいませんよ」


 そう、この時敵は誰一人として見えなかった。 


「とにかく陣形の中に入ろう!」


 急いでベルトンとリールとともに一番近くの陣形に入った瞬間


 カキンッ!


 何かが僕の鎧にあたった。


「弓兵だ!姫様を守れ!」


 リールがとっさに近くの兵に命令する。

 あたったのは矢だった。

 幸いただの矢がオリハルコンの鎧を破れるわけもなく、傷もつけられずはじかれて僕の後ろの馬車に刺さった。

 次の瞬間王国の伏兵が初撃を防がれてしょうがなく突撃してくる。


「敵襲!敵襲!」


 各隊長が手慣れた様子で敵の突撃に備える。


「全身鎧の小娘を狙え!」


 敵はこちらに向かって一直線に向かってくる。

 おそらく僕が総指揮官だとばれている。


「くそっ!会話を聞かれていた!だが、、、」


 左手を挙げて振り上げた。


「それがどうした!1撃目で仕留められなかったそっちの負けだ!近衛隊!敵を踏みつぶせ!」

「了解!北部に栄光を!」



 僕が号令をあげると僕たちを囲っていた近衛隊が素早い動きで陣形を変えて突撃してくる敵兵に対して逆に突撃した。


 それからは一方的な結果だった。

 数では近くの部隊とそこまで変わらなかったが歴戦兵が多い近衛隊との練度の差は歴然で数十分経つ頃には王国兵の屍の山がきずかれていた。



ー-------------



「敵の伏兵はこれだけのようです」


 一通り後処理が完了し、リールが伏兵がこれ以外居なかったことを報告してくる。


「少ないね」

「ですね、、、おそらく殿下の鎧が敵にばれていたようです」

「これ目立つからね」


 ファスターが作ったオリハルコンの鎧は仕上げとして全身が真っ黒に塗られていた。

 これは僕が要望したことだ。


「敵もやっぱりこの大軍を予想してなかったみたいだね」

「まあ18万なんて普通は出てこないですからね。指揮官の殿下さえ倒せればワンチャンあると思っていたみたいですが王国兵が練度でこちらに勝てるわけありませんしね」

「そういえば結局敵は何人だったの?」

「確認できているだけで約20000です。すべて殲滅しました」

「ふ~む、、、指揮官は?」

「敵将は戦死したようです」

「ちょっと死体見に行こう」

「いいですが何故?」

「とにかく来て」


 僕たちは敵将の死体と荷物が置かれている仮の集積場に来た。


「これが敵将です」


 若い騎士の死体があった。


「持ち物は?」

「こちらです」


 リールが少し大きめの袋を持ってきた。

 

「ん?なんだこれ」


 かばんには大量の藁と小枝があった。


「偽装用の草木でしょうか?」

「いや、それにしては多いね」


 草木、、、若い騎士


「それにしても2万の総大将がここまで若いとは殿下は別にして異例ですね。それだけ王国の人材が不足気味なのでしょうか?」


 確かに若い、、、優秀だったのかな?それにしては結構指揮が下手だったような気がするけど。

 

「、、、そういうことか!」

「どうされました?」

「リール、今すぐ隊列を再構築して!あとのろしを上げて」

「殿下、敵は壊滅ですよ?それにのろしは今回使っていません。味方には通じませんよ?」

「味方じゃなくて敵に合図を送るんだよ。」

「どういうことですか?敵はこれが本体では?」

「敵の本体は別にある」

「、、、え?」

「それに今回の王国軍は思っていた以上に優秀そうだよ」

次回投稿は4/3(日)になります。


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