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65話 作戦本部

「全軍!殿下に敬礼!」


ザッ!


 500人の選抜兵がマンフレート邸の正面で均等に並び敬礼してくる。

 それに対して僕も敬礼で返す。


「閉門完了!」


 後では鉄製の門が音を立てて閉まる。


「殿下、では行きましょう。みなが待っています」

「そうだね。行こう!」


 馬車の扉が護衛隊の兵によって開けられるとリールが先に馬車を降り僕の手を引く。


「お待ちしておりました。殿下、我ら北部貴族連合の忠誠は殿下のものであります」


 長髪の青年が馬車を降りる僕に向かって敬礼してきた。


「堅苦しいのはなしでお願いします」

「では、改めましてよろしくお願いします。殿下」

「こちらこそ、フォルトさん」

「はっ!」


 青年は改めて胸に拳をあてて敬礼した。

 

 母譲りのきれいな顔立ちと髪、父譲りの並外れた頭脳、まさに彼が約束された天才と言う物だろう。

 彼はフォルト・フォン・マンフレート、エグナーおじさんの一人息子だ。

 彼は数年前から帝都に帝都における北部勢力の長として来ている。

 この見事な屋敷を日々拡充しているのも彼だ。


「さあ、どうぞ。他の者も待っています」


 そう言われ彼の後ろに並ぶ北部貴族達に案内された。


「殿下、我らは支援を惜しみません」

「忠義を尽くす時が来ました」

「我らは殿下とともにあります」


 一人一人に挨拶すると一人一人が忠義を改めて誓ってくる。

 全員ヴェスターによく来ている顔見知りだ。

 ここにいる貴族は北部貴族では一般的な実力派貴族だがその持つ財力は凄まじい。

 世界中に持ち前の外交能力と優秀な人材で鉱物製品の販路を広げ世界中から北部に財を集めている。


「心強く思うよ、みんな」


 実際彼らが来たことで安心した。

 彼らの一人だけでもいれば財力においては誰にも負けない。

 それに北部貴族は領軍の制限がなく中には僕達正規軍の数個軍団と同じ規模の領軍をそろえている者もいる。

 

「さあ、皇宮側がのぞいていないとも断言できませんし中に入りましょう」

「そうだね。行こう」


 高い塀に囲まれていて屋敷の人員には味方しかいないが外部の商人も一部入っている。

 慎重すぎるということはないだろう。


 僕たちは屋敷に入った。


「そういえばリール嬢、将軍閣下はお変わりありませんか?」

「はい、おかげさまで」

「むしろどんどん若くなってるような気がするくらいだね」

「そうですね、殿下」


 フォルトさんが屋敷の長い廊下を歩きながら言ってきた。


「将軍閣下は最高司令官の座を殿下に譲ってもなお前線に出ていると聞きますし元気なのは確かなようですね」

「ですね。むしろ少しはおとなしくしてほしいのですが祖父は戦場のほうが落ち着くとのことです」


 おじい様は北部軍最高司令官の座を僕に譲った。

 だけどおじい様の膨大な経験は頼りがいのあるものだから今も実質指揮官として全軍を指揮している。

 実際、僕が帝都にいる間は最高司令官に復職している。


「そういえば王国への大規模侵攻を開始したとか」

「はい、ちょうど昨日に第一段階が開始したと思います」

「マンフレート家として戦勝をお祈りしています」

「ありがとうございます」

「着きました。ここです」


 そう言ってフォルトは扉の前で立ち止まった。

 

ガチャッ


 開くとそこには大広間が広がっていた。

 2階分の大きな空間が吹き抜けになっていて天井には大きな天窓があった。

 マンフレート家の財力をそのまま投影している。


「ここで少し会議したのちに昼食を取りましょう。殿下のために用意しております」

「ありがとう、早速始めましょう」


 そうして僕たちは会議を始めた僕たちの戦いに勝利するために。



ー-------



「では第2軍からの報告です。敵要塞を半日で陥落させ事後処理部隊を残してこちらに向かっているとのことです」

「了解した。第3軍は?」

「第3軍は敵中規模都市を同じく半日で陥落させこちらに向かっています」

「最後に第4軍は」

「第4軍は一番の戦果をあげています。敵の補給拠点・要塞・小規模都市を数刻で同時陥落させ今も途中の敵駐屯地を制圧しながらこちらに進軍しています」

「了解した。報告は以上で大丈夫だ」

「はっ!北部に栄光あれ!姫様に勝利を!」


 そう言って伝令兵は胸に手を当て敬礼した。

 殿下のあの演説以降この合言葉が北部軍の敬礼の様式になっている。

 新兵も参戦させているから少し心配していたが皆うまくやれているようだ。

 帝都にもそろそろ北部貴族連合の第一陣が着いたころか。

 私もこうしてはいられないな。


「よし行こう」


 そうして私は先ほど報告を受けていた天幕から出た。


「トレビュシェット配置急げ!」

「重装歩兵隊列形成完了!」

「前進!敵出城を制圧せよ!」


ドカンッ!


 外ではちょうど敵関所に攻城をかけているところだった。

 ここは王国軍新司令部があるウルヴィア城の少し手前の関所だ。

 ここで他の部隊と合流してウルヴィア城に向かうする手筈になっている。


「ブラン閣下!」


 重装歩兵の部隊が敵の出城を制圧している様子を見ていると副官がしゃべりかけて来た。

 この副官は私の主席の副官だ。

 この出城制圧の指揮官でもある。


「ああ、どうした?出城は落ちそうか?」

「はい、出城はすでに大半を制圧。全部分制圧もあと少しです。勝敗が決したと判断したため報告に来ました」

「わかった。報告せよ。」

「はッ!敵の関所前に展開していた部隊はすでに全滅、出城も今制圧中のやつで最後です。トレビュシェットも配置を開始していて組み立て完了した物から関所本体に自由投石させています」

「了解した。関所本体はまだ地上攻撃はするな」

「かしこまりました。ですがよいのですか?ウルヴィア城から援軍が来るかもしれません」

「ウルヴィア城よりもこの関所の方が城壁が低い。ここで敵の数を減らせるならそれも良し。関所本体は半日後くらいに他部隊が到着してから全軍で行う。そのままウルヴィア城まで進んで包囲する」

「了解しました。他部隊の指揮官にも伝えますか?」

「ああ、頼む」

「はッ!」


 そう言って副官は伝令隊の天幕に向かった。

次回投稿は日曜日なります。

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