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62話 

「報告!4軍全指揮官から敵拠点陥落の報告が上がってきました!」

「了解、我が軍も捕虜拘束後前進を再開、目標、王国軍新東部司令部!」

「はっ!」


 殿下が完膚なきまでにクルヴァ要塞を陥落させてから数か月、敵は戦闘地域が大幅に迫ってきたと判断し東部軍の司令部を王都により近い城に移動した。

 だが我々は2年で王国全土を平定しなければならない。

 後退した東部軍司令部を今回の遠征で落とすのだ。


「両軍団指揮官に他部隊との合流準備をするよう伝えろ!」

「はっ!」


 別行動をしている4つの部隊と数日後に進みながら合流する。

 各部隊2軍団を配置している。

 全部隊が集合すれば10万人を超える大規模部隊となる。

 途中計画される戦闘での離脱者を考慮しても9万人は確実に集まるだろう。

 

「この大規模な軍も殿下のおかげだな」


 1度に10万人という大規模な部隊を派遣するのは改革前でもしばしばあったがここまで短期間で出陣できたのはひとえに殿下の軍構造の改革があったからだ。

 我が軍は今組織構造においても世界最新なのだ。


「そういえば今日は殿下が発たれてからどれくらいだ?」


 副官に聞いた。


「明日でちょうど1か月ですね」

「そうか、、、殿下は上手くやれているだろうか?」



ー-------




「へっくしょん!」

「大丈夫ですか?殿下」

「うん大丈夫」


 こんなくしゃみ誰かが僕の噂をしているに違いないな。


 僕たちは今帝都の女性服専門店に来ている。


「どれがいいかな~?」


 僕がいつも着る服と言ったら機能性重視ワンピースと軍服・鎧くらいしかない。

 飾りがついた服を着るなんていつぶりだろう。


「これとかどうでしょうか?」


 ハンナが白のきれいなワンピースを持ってきた。

 所々が宝石で飾られている。

 ハンナは僕の財力を1度目にしているからこの普通の貴族令嬢が出入りするような女性服店くらいでは遠慮しないだろう。


「ん~腰についてる宝石が剣抜くときに邪魔になりそうな、、」

「お客様、どうかいたしましたか?」


 店員が割り入って聞いてくる。

 どうやらひときわ高そうなワンピースを手に取った僕たちを良客とみているのだろう。


「いや、なんでもありません。、、、ハンナ、自分のも含めて選んでくれる?資金は考えなくていいから」


 そう言うとハンナは目をキラキラさせて次々と服を選んで係に渡していく。

 やっぱりハンナも年頃の少女だなと思った。



ー-------



「、、、買いすぎじゃない?」


 僕たちは店を出て次の店に行こうとしている。

 護衛隊数人の手は買った服で埋まっている。

 明らかに買いすぎだ。


「そうですか?ぜんぶ殿下なら似合うと思います!」

「そう、、、か、、?」

「そうですよ!殿下ほどきれいな白髪を持っている人もそうそういませんしなんでも似合うと思います」

「手入れとか何もしてないんだけどな~」

「え!?それはもったいないですよ!明日から私に手入れさせてください!」

「まあいいけど、、、」


 ずっと戦場にいたから手入れする暇なんてなかったし髪の手入れするくらいだったら剣の手入れをしたい。

 まあ彼女がやってくれると言うならいいか。

 昨日と比べると彼女はずいぶん変わった。

 明確な希望を手に入れて全体的に明るくなっている。


「よし!切り替えて次は宝石店行こう」

「かしこまりました!殿下」


 ハンナは嬉しそうに言う。

 彼女を連れてきたのは成功だった。

 彼女以外に南部のファッションを知っている人などいない。


「彼女を連れてきたのは成功だったね」

「そうですね、殿下。我々は鎧の手入れの仕方しか知りませんから」

「ハハ、そうだね」


 リールにそう言われると改めて自分の令嬢として致命的な部分を思い出す。

 8年も戦場にいればおしゃれに興味がなくなるのは当然だが皇室や貴族のパーティーにこれから何回も呼ばれる身としては致命的だ。

 社交界デビューまでにいろいろとハンナから教わらなければ。


「着きました」


 そう考えていると先導していたハンナが宝石店に着いたと言ってくる。


「殿下の要望通り帝都貴族で一般的なグレードの店を選んでみました」

「ありがとう、ちょうどよさそうな店だよ。入ろう」

「はい!」


 さっきの服屋もそうだが今日使っている店は帝都貴族では一般的なグレードのものだ。

 昨日オークションで少し見せてしまったがあくまで僕の財力の全貌はまだ明かしたくない。

 社交界デビューまで隠しておきたいのだ。

 そのために目立たない服が必要だ。


「いらっしゃいませ、今日はどのような物をお求めでしょうか?」

「今日は色々買おうと思ってる。資金に制限はつけないから僕とこの2人に似合うアクセサリーを見繕ってくれる?」

「かしこまりました。そちらにお座りになってお待ちください」

「私はいいですよ。パーティーに出るときも護衛として軍服ですから」


 リールは断ろうとする。


「アクセサリーくらい軍服の上からでも付けられるし鎧に比べたら動きにくいなんてことないでしょ?」

「しかし、、、」

「いいの、リールはもう少し肩の力抜いていいんだよ」


 リールは帝都に来てから緊張しすぎている。

 戦場でもそうだったが帝都に王国軍以上の武力的脅威がいるとも思えないし店の中くらい肩の力抜けばいいのに、、、

 常に警戒しなきゃいけないのは僕だ。

 リールが僕の身まで1日中警戒する必要はない。


「こちら見繕わせていただいたものです」


 そんなことを考えているとアクセサリーを店員が見繕って帰ってきた。


次回投稿は日曜日になります。


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