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5話 入軍の儀

数日後


「殿下、準備は完了しました。あとは着替えて時間を待つだけです」

「了解、ありがとう」

「ついに来ましたね」

「うん、この儀式が終われば一人の兵士として遂に認められる」


 ファスターから装備を受け取ったあと数日間は初陣の準備に駆られていた。

 そして今日は待ちに待った初陣当日、まだ朝日も昇っていない。

 初陣の前に正式に北部軍に入ることになっている。

 今までは名目上客人として要塞にいたがこれからは仲間として居られる。

 あと入軍にあたって北部式の儀式を受ける。

 北部式の精霊の儀式だ。


「それにしても南の貴族どもから抗議がいくつか来ています。皇族が軍に入るのは異例ですからね」

「追放しておいて勝手だけどどうせ何もしてこないよ。彼らがいるのは南だから」

「ですね」


 トントン


 扉がノックされた。

 

「どうぞ」

「姫様おはようございます」

「おはようベルトン」

「閣下からの伝言で、そろそろ最終確認が終わるそうです」

「じゃあそろそろ着替えていかなきゃね」

「じゃあ俺は外で待ってます」


 ベルトンが出て行ったあとリールが儀式用の衣装を持ってきた。

 儀式の衣装は古代の巫女の服だ。

 真っ白で一枚の布から作られている。


「この衣装は我々フォーク家からの贈り物です。これまでありがとうございました。そしてこれから

 は仲間としてよろしくお願いいたします」

「ありがとう、なんだか感動するね」

「殿下が来てから6年、もう殿下は我らの主君であり家族です。改めて北部へようこそ」


 涙があふれかけた、でも儀式の前だから何とか抑えよう。

 僕は丁寧に衣装に着替えた。


「では行きましょう!」

「うん!」



ー---------------------------



「総員敬礼!北部へようこそ姫様!」


 儀式の場所につくと大勢の兵が祭壇までの道を作っていた。

 みんな胸に拳をあてて北部式の敬礼をしている。

 儀式の場所は要塞の裏にある森の精霊の祭壇、滝つぼから広がった池の中にある。


「みんなありがとう!」


 今回の僕の儀式には要塞にいたほとんどの兵が参加している。

 こじんまりとした感じでよかったんだけどなあ、、、

 まあ賑やかな分いっか


「主役の登場ですね、では始めましょう」

「はい、おじい様」


 おじい様は前線の総司令官として儀式の司祭役を務めている。

 おじい様が祭壇の中央に立った。


「これよりカーナ・フォン・ベルヘルツニアの入軍の儀を始める!」

「行ってらっしゃいませ殿下」


 儀式用の礼服を着ているリールに背中を優しく押された。

 靴を脱ぎ池の中に入っていく。

 祭壇は雨期の時は沈むようになっていてちょうど今は雨期だから腰まで沈んでいる。

 そのため衣装は水を吸っても重くならないように薄く作られている。

 祭壇の前に着くと司祭役のおじい様に頭を下げた。


「精霊の代行者として問う!北部の土地に忠誠を誓うか?」

「誓います」

「精霊の名のもとにその力を振るうか?」

「振るいます」

「いかなる敵もあなどらず敬意をもって討伐するか?」

「討伐します」

「共に戦う同胞の背中を支えるか?」

「支えます」

「最後に、自らも大切にし守護するか?」


 この文は本当はないはずの文だ、きっと帝都から睨まれている僕をきずかっておじい様が付け加え

 てくれたのだろう。

 兵達も知っていたようだ、後でみんなに感謝しなきゃね。


「それが精霊の意思ならば」

「では表を上げよ!」


 顔を上げておじい様のほうを向く。

 おじい様が北部軍の軍旗を持ってきた。


「北部に口付けを」

 

 軍旗に口を付け改めて忠誠を誓う。


「北部に栄光あれ!」


 僕が最後に叫ぶと周りの兵達も続く。


「北部に栄光あれ!」

「北部に栄光あれ!」

「北部に栄光あれ!」

「北部に栄光あれ!」

「北部に栄光あれ!」


 おじい様が宣言する。


「これにて入軍の儀を終え、カーナ・フォン・ベルヘルツニアを我らの同胞と定める!」


「おー!」

「うおー!」

「姫様に栄光あれ!」

「我らが姫!」


 各所から歓声が上がる。


「あらためて殿下、よろしくお願いいたします」

 

 おじい様が入軍した僕にあらためて言った。


「うん!これからもよろしく!」

「では参りましょう、これからが本番です!」

「そうだね!初陣は勝利で飾るよ!」


 これから本番の初陣が待っている。

 儀式が緊張しすぎて忘れかけていた。


「殿下、おめでとうございます。これで本当の意味で仲間ですね」

「ありがとう!そうだね、これからよろしく!」


 祭壇のある池から上がるとリールが一番に話しかけてくれた。


「早速ですが殿下準備を、さっきちょうど偵察隊から王国軍が国境を越え森林に入ろうとしていると

 報告がありました」

「了解!初陣は華々しく飾れそうだね!」

「そうですね!」


 僕に報告をした後リールが池の前の見渡しのいいところに立って叫んだ。


「ここにいるすべての同胞に次ぐ!王国軍が先ほど国境を越えた!我らが姫の初陣を勝利で飾りたい

 ものは槍を持ち殿下に続け!」


 儀式に参加していた大勢の兵に出陣を告げた。


「いくぞ!お前ら!」

「俺らが先陣だ!」

「いや、俺らだけで十分だ!」


 軍団長達も意気込んでいる。


「みんなの士気は問題なさそうだね」

「当たり前です、私が言わなくても殿下のためなら数万の隊列ができてますよ」


 それは過大評価な気がするけど、、、

 

「さあ行きましょう、敵と勝利が待ってます!」


 リールに言われ要塞に戻ってファスターから届いた鎧に着替えるのだった。

読んでくれてありがとうございました!



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