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53話 行動開始


「そういえばお母さま」

「ん?なに?」


 今僕は僕・リール・お母さまで円卓を囲んで遅めのお昼を食べている。


「この屋敷皇族が暮らすにしては狭いような気がするんだけど、、、ちょっと古いし」

「ああ、そのことね。実はこの屋敷は第一皇妃が用意した物なの」

「え?いくら第一皇妃でも皇族の住むところは決められないはずだよ」


 今お母さまは第一皇妃の監視下にある。

 僕たちが100人で屋敷を囲んでいるため直接的な干渉はないだろうがお母さまが社交界に出たり財産を持つことを第一皇妃は許さないだろう。


「実は命令自体は皇帝から出たの」

「え?皇帝から?」


 意外だった。

 報告では皇帝は中立の立場を貫いていたはずだが、、、


「数年のうちに皇太子を決めなければならない。それは知ってるわよね?」

「うん」

「そのせいで現在帝都は3つの陣営に分かれているのも知ってるわよね?」

「うん、第一皇子と皇后が率いる正統派陣営・第二皇女と第3皇子が率いる改革派陣営・第4皇女と第一皇妃が率いる貴族派陣営でしょ?」

「そうよ、この3つの勢力は拮抗していて決着はつきそうにない。だから皇帝は数年前から極秘に貴族派陣営によってきているの」

「申し訳ございません。私の諜報不足でした」


 僕たちの知らない情報が出てきてリールが謝る。


「リールちゃんが謝る必要はないわ。私もこの前まで知らなかった最高機密だもの」

「こうなったら少し作戦を修正する必要がありますね」

「そうだね。僕たちの陣営設立にも影響するし」

「陣営?」


 お母さまには伝達途中で情報が漏洩することを考えて陣営設立については伝えていない。

 ここは僕たち以外誰もいないし伝えてもいっか。


「お母さま、実は、、、」




ー----------




「そうなの、、、」


 お母さまに陣営設立のことを伝えた。


「私はもちろん応援するわ、でも今の私にできることはほぼないけど、、、」

「大丈夫だよお母さま、北部から支援が来ているから資金は大丈夫だしあと1週間もすれば北部貴族達の第一団が到着する」

「そうなら安心ね、、、あなたも大きくなったわね。仲間を作って強くなって」


 お母さまは感慨深そうな顔で僕を見た。

 僕は誇らしかった。


「殿下、こちらをどうぞ。我々使用人一同からです」


 そう言って執事がパイを持ってきた。


「もしかして、、、爺?」

「はい、お久しぶりです」


 何とその執事は追放される前からいた爺だった。

 もともとの使用人は全員排除されたと思っていたが意外だ。


「何とか生き残った彼らはここに残れるようにしたのよ。あの時の襲撃で討ち死にした兵達はいないけど、、、」

「そうだったんだ、、、」


 だが、少しでもあの幸せな日々に近づいていることを自覚できてよかった。


「では、出来立てですので早めにお召し上がりください」

「うん!いただきます!」


 僕はそのパイをゆっくりとかみしめるように食べた。

 パイ自体は普通のパイだが今までで一番おいしかった。




ー----------




「ご馳走様!」

「よく食べるようになったわね」


 お母さまは嬉しそうに言う。


「うん!」


 さて、、、

 いつまでも感慨に浸ってはいられない。

 行動を開始しなければ。

 戦いに勝利し、お母さまと一緒に家族の待つ北部へ帰還するのだ。


「よし!リール!」

「はっ!」

「行こう!」

「喜んで!」

「じゃあ行ってきます。お母さま」

「もう始めるの?日も暮れかけているし明日でもいいんじゃない?」

「時間は何よりも貴重な資源だから、行ってきます。」

「わかったわ、気を付けてね。リールちゃんもよろしくね」

「はっ!」

「いってらっしゃい」

「うん!行ってきます!」


 僕とリールはお母さまに挨拶すると屋敷を出た。

 屋敷を出ると庭に天幕を設営している護衛隊が見えた。

 まだちょっとしかたっていないがすでに大きな天幕が規則的に設営されていた。


「姫様!」


 エレナさんが僕たちにきずいてきてくれた。

 

「ご苦労様、早速で悪いんだけど数人でついて来てくれる?これから街に出るんだ」

「了解です。では設営もほぼ完了しているので私と数人でお供します」

「ありがとう、じゃあ行こう。目立たないように外套と馬を用意してくれる?」

「かしこまりました。隊員にも外套を羽織るよう指示しておきます」

「うん、お願い」


 エレナさんは素早く部隊を編成し、持ってきた物資の中から外套を取り出した。

 北部軍の紋章が入っているが隠密にも使えるように黒で目立たないようになっている。

 馬も数頭連れてきて鞍を用意してくれた。


「部隊の準備完了しました」

「じゃあ行こう」


 僕たちはそれぞれの馬に乗り、屋敷の敷地を出た。

 貴族街では地味な黒い外套は逆に目立つが数人の小規模な隊だったため何もなく貴族街を出た。


「殿下、まずどこに行くんですか?」

「まあ無難に一番近い商会街で拠点をいくつかそろえよう」

「かしこまりました。では地図覚えているので私が先導します」

「了解」


 リールが僕に代わって隊の先頭に出た。

 今回は拠点を手に入れる。

 お母さまの屋敷も拠点として使うが第一皇妃の兵が四六時中外から監視している。

 誰にも知られず行動する用の拠点をいくつか用意しておいた方がいいだろう。


「姫様、撒けました」


 リール直属の近衛隊でも先鋭の兵だ。

 今回の護衛隊に参加している。

 彼と数人は僕達より少し前に屋敷を出て第一皇妃の尾行を撒いていた。

 僕が来たことで第一皇妃はかなりの数の兵を僕たちの監視に投入している。

 僕たちの屋敷外の行動も監視するつもりだ。

 まあ、戦場で王国兵に四六時中監視されてた僕達には何のダメージもないが、、


「着きました。商会街です」


 先導していたリールが止まって言った。

 そこには日が傾きかけているというのにギラギラと輝いている通りが見えた。

 商会街だ。

次回投稿は火曜日になります


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