52話 再会
「変じゃないかな?」
「大丈夫ですよ、きれいです」
あとちょっとでお母様の屋敷に着く。
僕は馬車の中で服装を整えていた。
僕が来ているのは北部軍最高司令官の軍服。
純金でできたラインが黒い軍服に映えている。
「報告によると皇妃様が屋敷の前で使用人と一緒に待っているそうです。きっと皇妃様も殿下の帰還を心待ちにしていたんですよ」
「緊張するな~」
「親子の8年ぶりの再会です。さあ、緊張はなくして楽しんできてください」
「うん!」
リールがそう言って緊張をほぐしてくれた。
「全隊停止!下馬!」
ザッザッ
先頭のエレナさんがそう言うと隊列が止まり兵達が馬から降りた。
「着いたようです。殿下」
「遂に、、、行こう!」
「整列!ベルヘルツニア帝国第五皇女にして北部軍最高司令官、我らが主、カーナ・フォン・ベルヘルツニア閣下に敬礼!」
僕が先に降りたリールに手を引かれ馬車を降りると整列した100人の護衛隊に敬礼された。
普通「殿下」と言うが北部軍としての敬礼になったため最高司令官に付く「閣下」になった。
僕は彼らに敬礼で返す。
「カー、、、ナ、、なの?本当に、、あなたなの?」
僕は敬礼をし終わって出迎え用に屋敷まで敷かれた赤いカーペットの先を見る。
そこには8年間僕がずっと求めていた人物がいた。
帝国第二皇妃、ハンナ・フォン・ベルヘルツニア。
僕の、、、お母さまだ!
「お母さま、、、お母さま!!」
僕はカーペットを全速力で走った。
腰にレイピアを下げていることを忘れるくらい体が軽かった。
僕はお母さまに向かって走り続けた。
「カーナ!!!!」
「お母さま!!!!」
僕とお母さまは8年ぶりに顔を合わせてた。
僕は体が大きくなりお母さまは少しやせていた。
だが僕たちはそんなこと気にせずしっかりと抱き合った。
「こんなに大きくなって、カーナ!!」
「迎えに来たよ、お母さま!!」
その場にいた全員が感慨に浸りリールやエレナさんは涙を見せた。
遂に、遂に来た。
また会えたんだ。
お母さまに!!!!
「やっと会えたよ、、お母さま!」
僕は涙を流しながらお母様を抱き合った。
そんな僕をお母様は何も言わず優しく撫でてくれた。
「ごめんなさいカーナ、何もできなくて」
「お母さまが謝ることはないよ。お母さまは何も悪くない」
「ありがとう。あなたは私の自慢の娘よ」
僕とお母様はしばらく抱き合った。
8年分の寂しさを埋めるために
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「皇妃様、お初にお目にかかります。殿下のお世話をさせていただいております。リール・フォン・フォークです」
僕とお母様の再会を終えて僕が涙を拭き終わるとリールが来てお母さまに挨拶する。
「あなたがリールちゃんね。カーナの母として感謝してもしきれないわ。今までありがとうそしてこれからもカーナをよろしくね」
お母さまはリールに頭を下げた。
「皇妃様!頭をお上げください!当然のことをしたまでです!」
「カーナがこんなに立派に育ってくれたのはフォーク家の方々のおかげよ。お礼として渡せるほどのものは今は持っていないけど私にできることならなんでもするわ」
「いえいえ!助けられたのは我々の方です。殿下には何度助けられたことか」
リールとお母さまがお互いに礼を言う。
それが終わるとリールがお母さまに説明し始めた。
「今回の帝都訪問は2年ほどを予定しています。目標は殿下を正式に北部在住にして皇室との関係を断ち切ることです。帰還時に皇妃様も同行していただければと思います」
「ええ、聞いているわ。もちろん私も北部に帰らせてもらうわ」
「あと今回の訪問に際して北部から殿下を支援するための貴族達が大勢来ます。それに加え大量の資金を軍から供給します。しばらくこの屋敷を使わせていただいてよろしいでしょうか?」
「もちろんよ」
「最後に紹介いたします。護衛隊隊長の第二十五軍団長エレナさんです」
リールはエレナさんを紹介した。
「お初にお目にかかります。皇妃様、北部軍第二十五軍団軍団長エレナです」
エレナさんは北部式の敬礼をしてあいさつした。
「よろしくね。軍の方々には感謝してるわ」
「いえ、我ら軍は殿下に助けられている方なので」
エレナは謙遜してお母さまに改めて敬礼した。
「さあ、外ではあれだから中に入りましょう」
「うん!」
僕たちは屋敷に入った。
「小さい屋敷だけど好きに使ってね。カーナとリールちゃんの部屋は2階に用意しておいたわ。でも部屋が足りなくて100人分の部屋は用意できなかったわ。申し訳ないけど残りの方達は隣りの屋敷が空いていると思うからそこを使ってくれる?」
「いえ、お気になさらず。我々は天幕で十分です。庭をお借りしてもよろしいでしょうか?」
「もちろん構わないけど、、、申し訳ないわ」
「いえいえ、我らは軍ですから敵が襲ってこないというだけでも十分快適です」
「そうならいいけど、、、」
お母さまは少し申しなさそうだった。
「では、隊に命令してまいります」
そう言ってエレナさんは外に出て言って隊に指示し始めた。
屋敷の裏にはちょうどいい広さと平らな地面を持つの庭があったのですぐに天幕が完成するだろう。
お母さまとは再会し、拠点も確保した。
これからは戦いだ。
絶対に勝って北部にお母さまを連れて帰ってやる。
僕はそう固く誓った。
プライベートで出かけることとなりました。
そのため次回投稿は金曜日になりそうです。
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