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3話 模擬戦

「殿下起きてください」

「ん~ヤダ」

「今日はおじい様との模擬戦ですよ」


 若い女騎士が話しかけてくる。

 彼女はリール・フォン・フォーク、ブランおじい様の実の孫で北部軍の近衛隊隊長。

 あと僕のお目付け役。

 ん?てゆうか今模擬戦って言わなかった?

 

「そうだった!急がなきゃ!、、、ってもう昼じゃん!」

「やっと気づきましたか、、そうですよもうすぐ始まります」

「何でもっと早く起こしてくれなかったの!」

「何度も起こしましたよ、あとこれ持ってきておきました」


 そういって僕の練習用の鎧を差し出してきた。


「リール!ありがとう!」

「はぁ早く着替えてください行きますよ」

「あっちょっと待って!」


 僕はリールに尊敬のまなざしを向けながら鎧を着ている。


「よしできた!行こう!」


 片腕の防具をつけながら部屋を飛び出す。

 

「あ!そういえばまだ朝ごはん食べてない!」

「しょうがないですねこれどうぞ」


 リールが焼き立てのパンをくれた。


「ありがとう!」

「これで最後ですよ。そろそろ早寝早起きを身に着けてください」

「善処します」

「本当ならいいんですけどね、、」


 宿舎を出て昨日晩ご飯を食べた中央練兵場に向かう。


「頑張ってください姫様!」


 方々から応援が聞こえる。


「ありがとうみんな!」


 小走りで練兵場に向かう。

 ヴェスター要塞は築城以来何度も増改築が繰り返されていて今では帝国最大の要塞だ。

 最初見たときは一つの町のようだと思った。

 まあ世界最大の軍の本拠地だから当然だが最初見たときは一つの町のようだった。

 そのせいで移動だけも一苦労だ。


「時間どうりですな」

「何とかね」


 何とか時間どうりに練兵場についた。

 練兵場にはおじいさま以外にも軍団長たちや非番の兵達でごった返していた。


「な、なんでこんなお祭り騒ぎになってるの!」

「そりゃあ我らが姫と指揮官の模擬戦ですからね!」


 いつの間にか現れたベルトンが言う。


「ははは!皆も6年見守ってきた娘の初陣前の最後の模擬戦は気になるでしょうな」


 おじい様がきて言う。


「じゃあルール確認を」


 おじいさまが言う。


「リールお願い」

「はい、今回の模擬戦のルールは簡単です。相手から武器を落として無力化するかどちらかが降参す    るかのどちらかで終了です。使う武器は自由、刃はつぶしてあるのでご安心を」

「じゃあ早速始めましょう」

「うん!」


 おじいさまは大きく四角い盾と短い槍、そして予備の短剣を取った。おじいさまはそれで数かずの 

 戦績を築き上げている。

 僕はおじい様と同じの短剣と短めのレイピアと腕に着けられる小さな盾を選んだ。

 力では勝てないし、小柄だからそれを生かしてスピード勝負に持ち込む。だから鎧も比較的軽装

 だ。

 一応槍も使えるが一対一のこの戦いではこっちのほうがいいだろう。


「じゃあ審判は俺がやります!」

「頼んだよ!」

「オウ!」


 ベルトンが審判を引き受けると僕とおじい様は練兵場の中央に立った。


「両者構えて!」


 ベルトンが言うと僕はレイピアを、おじい様は槍と盾を構えて背中を丸めて極限まで体が出る面積

 を小さくした。

 練兵所に集まった数千の兵が静まった。


「始め!」


 ベルトンが合図とともに手を振り下げた。


「さあ訓練の成果を見せてください!」


 おじい様はどっしりと構えてる、、、先には動かないつもりだ。


「なら!」


 右側に走り始めて加速する。

 おじい様は年は取っているけどまだまだ猛将として現役だ。

 小柄な少女の僕が力で勝てる相手ではない、ならスピードで勝つ!


「そう来ますか」


 おじい様が重い腰を上げて距離を維持するように反対側にゆっくりと離れる。

 おじい様はあくまでも守りに専念するつもりだ。

 スピード勝負の僕からすれば時間をかければどんどん不利になっていく。


「そうはさせない!」


 レイピアを一度鞘にしまって腰から短剣を抜く。

 つかではなく剣先を軽く持っておじい様をかすめるように上に投げる。


「そうはいきませんぞ!敵を目で捕らえつ続けるのは戦場では基本です!」

「やはりね」


 おじい様に聞こえないように小声で言う。

 やはりおじい様には読まれている。

 もし短剣をよけたり盾で防御しようとしていたら目を離した瞬間レイピアでつくつもりだったけ

 ど、、、しょうがない、これで行こう!

 レイピアを抜いて左腕の盾を先頭に突撃を実行する。

  

「強行突破ですか、王国の雑兵には通用しますが私には通じませんぞ!」


 おじい様はこちらを見たまま短剣を盾で防いでいる。

 僕はそのままレイピアで突撃する。

 懐に入る前に槍でレイピアの軌道を変えられた。

 おじい様はさらに有利な状況を作り出すために盾を投げてあいた手でレイピアを掴んで引き込もう

 としてくる。

 これに引き込まれたら体制が崩れてそこを槍で突かれる、、、そうなるとおじい様は思ってる!い

 まだ!


「そうはいかない!」


 そう叫ぶとレイピアを手放して奥へ投げた。

 

「何を!」


 おじい様は困惑している。

 おじい様は武力・知力・経験において圧倒的強者だが弱点がある。

 圧倒的な経験の多さを誇っているため初めてのことは想定していないところだ!


「これでどうだ!」


 そういうと同時に右手でおじい様の鎧を掴み左手を上へ伸ばした。

 

 ガシャ!


 次の瞬間おじい様の首には刃がつぶれた練習用の短剣が触れていた。

 おじい様は盾と槍を落として手を上げた。


「まいりました。見事です。まさか短剣はおとりではなく後で使うためだったとは。」


 そう、短剣を投げたのは牽制でもおとりでもない。

 レイピアの突撃で意識をそらした後飛んできた短剣で首を狙うためだった。


「うおー!」

「すげえ!閣下に1対1で勝ったの初めてだぞ!」

「すげえ!」 


 方々から歓声が上がった。

 そうするとおじい様が寄って来て僕の腕をつかんで高々と上げた。


「今回の勝負殿下の勝利!」

「ありがとう!」

「何を言っているんですか?これは殿下自身でつかんだ勝利ですぞ。正直勝てると思っていたのです

かな。」

「これで初陣も心配せず送り出してくれる?」

「そうですな、これだけ実力を見せつけられれば誰も心配はしないでしょう。あと、、」

 

 そう言うと突然おじい様とリールがこちらを向いて膝をついた。


「リーナ・フォン・ベルヘルツニア皇女殿下、、、いえ我らが北部の姫に改めて忠誠を!」

「忠誠を!」


 周りの兵も同様に膝をついて忠誠を誓ってくれた。

 どうやら僕のほうもしてやられたようだ。


読んでくれてありがとうございました!



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