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38話 近代

「統一帝、、、名前だけなら聞いたことあるよ」

「有名ですからね。特に帝都では有名です。統一帝は南部帝国皇帝として即位しました。領土回復主義にのっとって戦争を立て続けに行っていた南部ですがそれにも限界が来ます。統一国時代に蓄えていた装備が尽きて、戦争が継続不可能になったのです。そこで統一帝は南部に取引を持ち掛けます」

「取引?」

「はい、内容はわかりやすく行って3つです。南部は領土回復主義を捨てる・南部は北部に対し、無償で穀物を提供し続ける。そして、南部と北部は2つの皇家が統治する統一帝国として合併する。というものです」

「、、、少し今の南部に似てきたような気がする」

「はい、この時から南部は戦争と無関係になったため思想が堕落していきます。さて、この条件は穀物の調達に莫大な資金を投入してきた北部にとっても悪くないものでした。」

「受諾したの?」

「はい、帝国が分裂し数百年、遂に緩やかではありますが統一国家として復活します。南部・北部ともに一人ずつの皇帝を出し、共同で統治します。そして、両皇家は数百年かけて徐々に交わり家も統合させることで同意しました。」

「確かにそれだと両方のアイデンティティを両立できるね」

「はい、、、しかしそう簡単にはいきませんでした。統一から数世代、家の統合が済まないうちに北部皇家が断絶します。理由として当時北部にあった最低限の人口で効率的に国家を運営する知性主義が挙げられます。」

「代わりの皇家は選出されたの?」

「そこなのですが、普通皇家が断絶すれば新しく近い血筋から選出されますが南部の皇家がそれを許しませんでした。」

「、、、権力欲しさね」

「その通りです。南部はすぐさま北部に南部の貴族を大量に配置し、北部貴族は領土を失いました。平民にも重税がかけられることとなり、奴隷制も復活しました。しかし、それを許すはずがない組織があります」

「軍ね」

「はい、軍のほとんどは北部出身ですし装備もすべて北部で作られます。軍はすぐに技術と金を死守した学者団・北部貴族と合流し、ここから北部復権内戦が始まります。軍は実戦経験のない南部の騎士団を圧倒的な練度と装備の質でなぎ倒し、南部帝都、すなわち現在の帝都を包囲します。しかし、それは南部に読まれていました」

「南部は残る兵力で北部の住民を大量に拉致、誘拐しました。その数数十万人と言われています。南部はそれを人質にし、終戦を勧告します。軍は泣く泣く受け入れます。南部貴族の撤退と高度な自治権を何とか勝ち取りますが皇家の再興は許されませんでした」

「そこからは今まで何もなかったの?」

「そこから北部は少しの混乱期を経て自治領の確立が始まります。皇女様、今の北部はどのような体制かご存じですか?」

「もちろん!自治領なんだよね」

「その通りです。現在北部は南部貴族にない強力な自治権を保持しています。帝国中央からの命令の拒否権・独自の軍の所持・総督を元首とする一政府としての外交参加が認められていますが今回のように皇族や南部貴族に対する命令権は北部にいてもなお皇帝が持っています」

「、、、まあ、しょうがないね」

「我々が不甲斐なかったからです、、、申し訳ありません」


 先生は謝罪した。

 先生もみんなも北部には何の罪もない。


「先生は悪くないよ。皇帝、、、僕の父親が悪いんだよ」

「、、、歴史はここで終了です。必要な歴史はこれで予習できたはずです。しかし、私個人から少しよろしいでしょうか?」


 先生はほんとたたみこっちを見た。


「なに?」

「皇女様、あなたはこれから理不尽のさらされることとなるでしょう。」


 先生はまじめな面持ちだった。

 

「私は遠く離れ、危険なことがあっても助けには入れません。そんな私が指図するのは無責任かもしれませんが、しかし、これだけは約束してください。たとえ、理性をなくしても友を傷つけないということを」


 先生は意外にも当たり前のことを言った。

 

「私は様々な歴史を学んできました。その過程で「挑戦者」にもたくさん出会いました。しかし、彼らの最後はどれも悲惨です。自らの考えを優先するあまり一番大事だった友さえ見えなくなっていくのです。」


 先生は僕の目をまっすぐ見て言った。

 先生はなぜか悲しそうだった。

 でも先生の言うことだ。

 心に刻もう。


「わかったよ先生、僕は友達や家族は傷つけない。もちろん帝都に友なんていないから好きにさせてもらうけどね!」


 先生は元気そうな僕を見て先生は微笑んだ。


「さて、疲れたでしょう。予習も済んだことですしお昼食べに行きましょう」

「うん!行こう!」


 先生はわずかしか残されていない戦争前夜の時間をかみしめるように僕を食堂へエスコートした。


 そうして瞬く間に北部最後の時間が流れていった。

毎度遅れてしまってすいません。


今回で第一章は終わりで次回から第二章に入ります。

カーナの帝都での戦いが始まるわけですが、第二章の準備とプライベートでが忙しく1週間とちょっと投稿を休ませていただくことにしました。

なので次回投稿は6/26の日曜日になります。

時間が空き、申し訳ありませんがよりいい物語を作りたいと考えていますので今後ともカーナをよろしくお願いします!


読んでくれてありがとうございました!



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