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37話 分裂

「さて、統一国が崩壊し帝国に改められたわけですが皇女様はここまでしか知りませんでしたよね?」

「うん、戦うにはそれで充分だからね。帝国建国後は帝都にいたころにお母様がちょっと教えてくれたくらいかな~」


 帝都にいたときはお母様が直接絵本とカを読んで歴史を少し教えてもらっていた。

 今思えばあれも懐かしいな~


「ではここからの歴史は新鮮ですね。」

「うん!よろしく!」

「では続けます。帝国が建国され、多くの他部族が出て行きましたがそれでも国内には大量の他部族が存在し、国内の混乱を収めるのには30年かかったと言われています。混乱を収めると独立した諸国の復讐や次なる魔災に備えてまた軍を拡大させ始めます。それを実現するにあたって他部族の権利を大幅に開放し、反乱を未然に防ぎました。」

「具体的にどんな権利が解放されたの?」

「今までフェリキア人以外は土地の所有や都市間の商売が禁止されてきましたがそれらが解放されました。他にもフェリキア人が持っていた他部族命令権などを廃止し、他部族の納得を得ました。ちなみに」これらを行ったのは「エルバ復興帝」です。今でも歴にし残る名君として記憶されています。特に他部族の子孫である平民などから人気が高いです」


 エルバ復興帝なら何度か聞いたことがある兵のみんなと夜宴会をしているとたまに耳に入ってくるのだ。


「エルバ復興帝により、平等化が推し進められ経済力・軍事力が統一国全盛期までとはいきませんが大陸1位にまで復興しました。しかし、それからは決して順調とは言えませんでした。エルバ復興帝が崩御すると後継者争いで皇族内が分裂、貴族も2分されます。その今にも内戦を始めそうな事態に油が注がれます。」

「油?」

「はい、後に領土回復主義と呼ばれるものです。この主義は軍事力を大陸1位にまで復興した帝国は正当な統一国後継国家として周辺国家を制圧し、領土を全盛期まで回復させるべきだというものです。」

「結構思い切った考え方だね。」

「この主義によって反対派と賛成派で皇族内は更に溝が深まり、修復不可能になってしまいました。そして遂に国家も分裂してしまいます。それによって現在の帝都がある南部にできた南部帝国、そして、、」

「北部帝国だね!」

「よくご存じで」

「もちろん!北部のルーツだもん!」

「そのとおりでヴェスターに代わって建設された現在の北都を帝都とし、北部全土を領土とした北部帝国が建国されます。南部帝国と北部帝国、元々の皇族は2つに分かれそれぞれの帝国を支配しました。南部では農業と貿易が、北部では軍事と採掘が盛んだったので北部には軍と技術者が、南部には商人と上級貴族が流入します。」

「それが今でも引き継がれてるのか!」

「ご名答。その時流入・流出した各業種が今の技術・軍事格差や価値観の違いを生み出しています。各業種がお互いに流出したことで両帝国は一時経済が立ち行かなくなります。北部は軍事力で、南部は経済力で何とか各業種を呼び戻そうとしましたがそれも長く続かず分裂から数年で停戦条約が調印されます。」

「何で続かなかったの?」

「南部は軍がほぼ北部側に着いたのでそもそもまともに対抗できず、北部は軍事力こそ圧倒的だったものの今と同じく農業を南部に頼っていたので継戦能力がなかったためです。」


 北部と南部の関係は数百年前も変わらないようだ。

 クルヴァを併合しておいてよかったと改めて思った。

 まあ本題は間に合わなかったけど、、、


「そこからいがみ合いながらも利害が一致し、一応平和な時代が続きます。」

「南部は軍を作って北部を攻めようとしなかったの?」


 北部は農業できる土地がないから解決はほぼ不可能だが南部は人口も武器もあるだろう。


「何度か試みはされましたが技術者が大量に北部にわたったので武器の質で圧倒的に劣っていました。防具もまともなものが旧統一国時代のものしかなかったので侵攻は絶望的とされ中断されました。しかし、そんな南部ですが相手が世界最先端の北部なのが悪かっただけで他諸国に対しては十分勝てる戦力を保有していました。皇女様、先ほど言った領土回復主義は覚えていますか?」

「うん、統一国領を奪還するって主義だよね?」

「はい、それをめぐって帝国は分裂したわけですが、詳しく言うと北部が反対派、南部が賛成派でした。」

「意外、てっきり軍事力がある北部かと思ったのに」

「まあ、北部の当時の主義としては領土回復よりも臣民の生活水準向上と内政による国力増強でしたからね。まあ、ということで統一国復活を掲げる南部帝国は周辺諸国に対し戦線を布告します。圧倒的な人口、無限ともいえる兵站、そして南部貴族特有の平民の人命軽視により周辺諸国はゆっくりですが確実に領土を失っていきました。特に沿岸国家との戦争で数百年ぶりに海に面する領土を獲得します。」

「今の南部と違って軍事に関して知識があるね」

「はい、一応指揮官は上級貴族が多かったので南部に残留しました。しかし、海岸領土と内陸の本土を接続するための戦争で歴史的大敗をして勢いが一気に落ちます。そこに有名な「統一帝」が現れるのです」

次回投稿は金曜日になります。

次回で歴史パートは終了です。


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