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34話 講義




「、、、そんなことが、、、」


 先生は深刻そうな顔で僕の話を聞いた。


「我々学者団は常に皇女様の味方です。そのうえでお聞きします。皇女様はどのようなことをお望みで?」


 先生が僕の考えを聞いてくれた。

 さすが先生、冷静だ。


「僕は、、、」


 僕は冷えた講堂の空気を吸ってもう一度決心する。


「先生、僕は戦うよ。自分の力で、みんなと一緒に」


 そう言うと先生はにっこり笑った。

 

「さすが私の自慢の生徒です。そう言うと思ってましたよ」


 そういって先生は僕の頭をなでてくれた。


「えへへ、」


 僕は少し照れながら話を進める。


「それでなんだけど、、、」

「はい」

「先生には僕に政治を教えてほしいんだ」

「政治ですか、、、」


 先生は興味深そうな顔をして考える。


「戦いに勝つことはできても今はそれは長く続かないことはわかってる。だけど戦争と違って政治で勝とうとしても僕は素人だから、、、」

「そうですか、、、わかりました!このルードヴィヒ、皇女様をこの2か月で帝国最強の政治家にして差し上げましょう!」


 先生は言った。


「ありがとう!先生!」


 普通は2か月で政治家にするなんて不可能だが世界1の天才の先生が言うと納得できる。


「各専門の学者を集めて私が率います。時間は何より貴重です。早速準備してきます。明日から授業を始めますよ」

「うん!」


 


ー-------------



トントンッ


「では始めましょう。皇女様」

「うん!よろしくお願いします。先生!」


 まだ日が昇ったばかりの早朝、先生と僕は2人という人数にふさわしからぬ巨大な行動にいた。

 先生は白衣を着て教壇に立っていた。


「この台に立つのも久しぶりです。懐かしいですね」

「うん、4年ぶりくらいかな?」

「それくらいですね」


 先生は僕に沢山の本を渡してきた。

 戦術・戦略を4年前に学んだ時ほどではないがすべて分厚い。

 これを2か月ですべて看破しなければならないと思うと頭がくらくらする。


「さて授業を始めます。」


 先生がそう言うと背筋がピンとする。


「昨日私は皇女様を帝国最強の政治家にすると言いましたが政治というものは皇女様が今までいた戦場よりずっと複雑で愚かです。そのため自然と学ぶ分野は膨大になります」


 愚か、、、先生らしい


「私は帝国の政治の歴史、現在の勢力図などを担当します。しかし社交界やマナー・芸術については全くの素人ですのでそこは選抜した先鋭学者団で担当いたします」

「わかった。授業はどれくらいの比率なの?」

「そうですね、、芸術などにはダンスなども含まれているので政治4・社交界2・マナー2・芸術2ですかね」


 意外と政治が少ない。

 それだけ社交界は複雑ということだろう。


「あ、言い忘れていましたが皇女様にプレゼントを用意しているので出発するときは是非お持ちください」

「プレゼント?なに?」

「それはその時まで秘密ですよ」


 先生は少し笑顔で僕に言った。

 楽しみだ。


「じゃあ楽しみにしておくよ」


 先生は僕がそう言うと一度笑って持っていた本を教壇でトントンとそろえた。


「では始めましょうか!」

「うん!」


 先生が本を開いて石灰でできたチョークを持つ。


「まず、政治について知るうえで歴史は不可欠です」

「歴史?」

「皇女様は北部の歴史と戦史はよく知っていますよね?」

「うん、もちろん!」

「しかし、南部や帝国全体の歴史はあまり知りませんよね?」

「うん、北部と王国の歴史さえ知っていれば戦争はできるからね」


 敵である王国や仲のいいフルテッド王国、そして我々北部の歴史はしっかり知っているが言われてみれば帝国全体の歴史はぼんやりとしか知らない。


「今まで皇女様に南部を教えてこなかったのは南部を知る必要がなかったからです。北部と南部の間には近年はあまり関係はありませんから」

「だから今回必要になってから教えてくれるんだね?」

「はい、そうです。今回から半月は帝国のみならず大陸の歴史をお教えします。」

「半月か、、、」

「皇女様は優秀でいらっしゃるので半月で十分と見積もりました」

「頑張ってみるよ」

「その意気です」


 先生は少し僕を過大評価している節があるがまあ頑張ってみよう。


「さて、まずは簡単なものから始めましょう。皇女様、この大陸で一番大きく強い国家はどこでしょう?」

「それは帝国だね。でも北部を一国家とするなら北部」

「よい答えです。現在帝国は大陸中央に存在し、広大な穀倉地帯・人口・そして我々北部が提供する世界最大の軍事力で名実ともに大陸最強の国家と言えるでしょう」


 帝国は強い。

 先生から聞いて僕が挑もうとしている敵が強大であることを改めて認識させられる。


「帝国の歴史は長く、帝国の歴史を学べば大陸の歴史が大体わかります。今回からは帝国の始まりを学んでいきましょう」

「帝国の始まり?」

「はい、皇女様も大体は知っていると思います。フェリキア人のことです」

「あ~帝国の祖先のことね」

「はい、ちょうどいいですしおさらいしていきますか」

「うん、お願いします」


 そして、先生は帝国の歴史について話し出す。


次回投稿は金曜日です。


読んでくれてありがとうございました!



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