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26話 交代要員

「ではこれで通しておきます」

「ありがとう、じゃああとはエレナさんからの報告待ちだね」


 メインキープ攻略戦から一夜明けた。

 昨日はリールにベッドに押し込まれたが今日は自分で仕事するつもりだ。

 今は捕虜の移送先の決定など、いわゆる事後処理をやっている。

 でもほとんど昨日リールが終わらせてしまったから僕がやれることと言えばこれくらいしかない。


「姫様、ただいま参上いたしました」


 ちょうどエレナさんが自軍団の指揮を終えて天幕に入ってきた。


「昨日はありがとう。エレナさん」

「いえいえ、私こそ貴重な攻城戦に参加させていただきありがとうございました」


 エレナさんはちょっと戦闘狂に近い部分がある気がする、、、


「それじゃ報告お願い」

「了解しました。昨日の攻略戦で約4000名の敵兵を捕虜にしました」

「その中には指揮官級はいる?」

「はい、指揮官級は一通り捕えています。我々が部屋に入った時点ですぐに降伏してきました。自分の命が一番の連中ですから、、、」


 一般の徴兵された兵が1万6千近く死んでるっていうのに指揮官は無傷なんて、、、

 さすが王国というかなんというか、、、


「じゃあ指揮官級は即時ヴェスターに移送して一般の兵はこのままここに残して、もちろんたくさんの食料と寛大な処置を与えてね」

「了解しました。食料にも余裕があるので問題ないでしょう」


 王国と違って僕たちは捕虜の扱いには寛大だ。

 普通どこかに売り払うか、強制労働させるが奴隷制がそもそもなく、貴族から元奴隷まで能力次第で公正に扱ってきた北部ならではだ。


「ですが、指揮官級を即時移送してよろしいのですか?統治には便利だと思いますが、、」


 エレナさんの言っていることは常道だ。

 指揮官級のほとんどは地元の有力貴族だから統治をするうえで領民の心をつかむのには便利だ。

 だがここは北部じゃない。


「大丈夫だよ。見たところ貴族たちは領民に苛烈な統治をしていたようだからね」


 さっき起きたばかりだが続々と現地の統治記録が入ってきている。

 どれも驚くような重税などひどいものばかりだ。


「なるほど」

「それに王国側から捕虜返還の代わりに金をとれるかもしれないからね」

「ではそのようにいたします。北部に栄光あれ!」


 エレナさんが北部軍おなじみの掛け声とともに胸に拳を当て敬礼して天幕を出ていく。

 僕も散歩がてら片手に報告書をもって目を通しながら外に出てみた。

 外ではみんなががれきをかたずけていた。


「おっ!姫様だ!」

「姫様!」

「おはようございます!」


 通りかかった兵のみんなが挨拶してくれる。


「みんなおはよう!昨日はご苦労様!」


 僕もみんなに返事を返すと再び歩き出した。

 

「統治どうしよっかな~」


 歩きながら独り言をつぶやく。

 ヴェスターからこのクルヴァ要塞までは早馬で2日、通常の荷馬車で長くても1週間もかからない。

 統治するには問題ない距離だけど復興が大変そうだな~

 政治・軍事・経済の中心地であるこの要塞は僕からの全方位攻撃で粉々だ。

 これはヴェスターに交代要員とその増員を要請しなきゃな~

 第一軍団と第25軍団はまだ十分余裕があるがみんなもヴェスターに帰りたいだろうから適当な3軍団を連れてきて定期的に交代しなきゃな~


「まあ何とかなるでしょ!人手はいるんだし」


 僕は楽観主義だ。



ー-------------



「バークレー指揮下揮下第3・5・24軍団ただいま到着いたしました。」

「うん!久しぶり!」


 統治を考えて独り言をしゃべっていた日から2週間がたった。

 あれから三軍団の統治部隊をヴェスターに要請した。

 おじい様は手慣れたようにすぐさま編成して3軍団を送ってくれた。

 指揮官はバークレーだ。

 

「お久しぶりです先生」


 リールが挨拶する。

 僕もそうだがリールにとってもバークレーは剣や戦術を学んだ先生だ。


「姫様とお嬢様もお元気のようでこの老将うれしく思いますぞ」

「バークレーが指揮官だったら安心だね」


 バークレーは戦術だけではなく天才的な統治手腕でも有名だ。

 しかも40年も経験があるから更に安心できる。


「姫様達はこの後すぐ出発ですかな?」

「うん、あまり長居しても食料を圧迫するだけだからね。今日中にはヴェスターに向けて出発するよ」

「わかりました。ではまたお会いできるのは我々の期間終了の半年後ですな」

「そうだね。しばらく会えなくなるけど頑張るよ!」


 この2週間でいろいろと統治に向けて準備した。

 防衛、統治部隊として3個軍団をヴェスターから派遣することにした。

 3個軍団もいれば王国軍からは十分防衛できるだろう。

 兵達も家族は北部だから半年ごとに次の3個軍団と交代することにした。


「はは!では私めも頑張らなきゃですな!」


 バークレーが張り切った様子で笑った。


「ここはこれから北部軍初めての進出拠点として重要になってくるだろうから統治は抜かりなくお願いね」

「もちろんです。全力を出し切ります」


 このクルヴァ領には問題が山積している。

 ほぼ完全に破壊した城壁の復旧に耕作地の運営、領民名簿の作成。

 正直気が遠くなりそうな状況だがバークレーなら確実にやり遂げるだろうね。



ー-------------



 夕日で空が赤く染まった。


「じゃあ僕たちは帰るからあとはお願い」

「はい、お任せください。姫様とお嬢様が頑張ってくれたおかげで思ってたよりも余裕ある状態なので早く耕作地の運営に取り掛かれそうですしね」

「僕たちがやったのは初期対応だけだから、しかもほとんどリールのだし」

「いえいえ、殿下謙遜はしないでください」


 そんな功績の押し付け合いをしている間に少し暗くなっていた。


「じゃあそろそろ行くね」

「はい、道中お気をつけて。お嬢様も閣下によろしくお伝えください」

「はい、先生」

「ではまた半年後に」

「またね!」

「では」


 バークレーと別れの挨拶を交わすと僕たちは2万の兵を連れて帰路につくのだった。

機材の影響でいつもより遅れました。

すいません

次回投稿は日曜日になりそうです。


読んでくれてありがとうございました!



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