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20話 台所事情

「このシチューおいしいね!」

「これは最近栽培され始めた芋が入っているそうです」

「芋?ああ、開発されたやつね」


 僕は今リールと一緒に少し早めの夜ご飯を食べている。

 リールとは普通時間が合わないことは多いから一緒に食べられて少しうれしい。


「そうです。これで少しでも食料生産量が増えればいいんですが、、、」

「今は不本意にも南部からの輸入に頼ってるからね、、、」


 そう言って僕は気のスプーンにのっている新種の芋を見た。

 これは最近開発された寒さと空気が薄いのに耐えられる芋だ。

 北部の学者達が長年時間をかけ交配させやっと完成した。

 今は南部の輸入品に食料はほとんどを頼っている。

 北部の土地はやせていて寒いから当然と言えば当然なのだが食料を弱みとして南部に見られてしまっている。

 これで少しでも北部が自立できればな~

 そう言ってまだ熱々のシチューを口に放り込んだ。


「南部の貴族どもはまた値上げしてきましたそうです、、、」

「え?それはさすがに法外すぎるんじゃないの?もともとでも世界平均の3倍の値段だったのに、、、」

「今の北部はこの芋以外ほとんど何も採れませんし、周りも同じく鉱物以外何も採れないフルテッド王国と敵国である王国だけですから、、、今は従うしかありませんね」


 リールがそう悲しげに言っている。

 悔しい、、、いつか北部もたくさんの小麦がとれるようにしたい。

 

「そういえば王国の食料事情はどんな感じだっけ?」

「王国は国土のほぼすべてが平地でそのすべてが山脈からの雪解け水で肥沃なので結構な生産量らしいです」

「へー以外、農業は軍事と違って意外に優秀そうだね」

「まさに我々と真逆ですね」

「ハハ、、」

 

 リールが結構な自虐ネタを言ったところで少し気になった。

 莫大な人口を自力で支えられるほどの食料生産量なら北部も支えられるのでは?


「ちなみに食料自給率は?」

「正確にはわかりませんが密偵の市場調査では約300%となっております」

「へー結構すごいね、、、」


 ん?今300%言わなかった?


「300%!!!」

「は、はい、、どうされました、殿下、、、」


 300%、、、

 王国の人口の三倍を支えられる量、、、

 もしそこを手に入れられたら北部の消費量なんて蚊がさした程度にも思わないだろう、、、

 僕は椅子を蹴って勢いよく立ち上がった。


「リール!」

「はい、何でしょう?」

「今すぐに軍団長2人を集めて!」

「了解しました。でも何故?」

「そんなの決まってるよ、僕たちのお腹を満たすためだよ!」



ー-------------



「急にどうしたんですか?姫様?」

「ごめんね、急に集めちゃって」


 本陣をそのまま野営地にした野営地の天幕には今回出陣した軍の指揮官がそろっていた。

 総指揮官の僕、第一軍団長ベルトン、第二十五軍団長エレナさん、近衛隊隊長リール。

 全員が僕の招集命令で会議用の天幕にそろった。


「さて、全員いるようだし本題に移ろう」

「本題?」

「今回は明確な目標は定めずに出陣してきたよね?それがどういうことかわかる?」


 そうだ、今回の出陣はおじい様から明確な指示も敵も定められていない。


「行けるところまで行っていい、ということでしょうか?」


 エレナさんが言った。


「その通り!そして、これからの方針は明日発表するって言ったよね?」

「はい、それがどうかいたしましたか?」

「あれは今撤回する。そして今ここで命令を下す!」


 全員の背筋が伸びた。


「全軍前進!目標敵東部防衛の要、グルヴァ要塞!」

「待ってました!今すぐに準備します!」


 ベルトンが立ち上がって喜ぶ。

 もともと進軍を推奨していたから当然だろう。

 

「私も賛成です、弱っているうちに少しでも敵の傷口を広げた方がいいでしょう。ですが何故今お決めになったのですか?」


 エレナさんが賛成とともに疑問を投げかかてきた。


「食料のためだよ」

「食料?兵站は十分ですが、ヴェスター要塞からの補給も絶えず行われています」

「その食料じゃないよ」

「どういうことですか?」


 エレナさんの頭の上にはてなマークがさらに増える。


「今僕たち北部は食料の面で南部の奴らに搾取されていると言わざるを得ない。でも意外と近くに豊かな農地があったんだよ」

「、、どこにあるのですか?」


 エレナさんが思いもよらない話で唾をのむ。


「王国東部、クルヴァ地方だよ」

「っ!!!」


 エレナさんがきずいたみたいで驚いている。


「今まで北部はその黄金の農地を遠くから見ることしかできなかった。王国がヴェスター要塞を構え、更に僕たちが防衛に徹していたからだ。でもそれはこの2年で終わった」


 この2年で北部軍は強くなっただけでなく方針も大きく転換した。

 今まで防衛に徹していたが、今回から積極的な攻勢をかけ早期の講和を目指し始めたのだ。


「僕たち北部軍はこれからヴェスター要塞を落としその周辺一帯を北部のものとする。南部の醜悪な貴族どもに法外な値段を払うのも頭下げるのもこれで終わりだ!」

「よし!ならなおさら頑張らねえとな!」


 ベルトンが意気込む。


「姫様に勝利を」


 エレナさんが胸に手を当て敬礼し、賛成の意を示した。


「リールはどう?」

「私はそもそも殿下について行くのみです」


 リールも賛成してくれたようだ。

 これで指揮官全員が賛成してくれた。


「じゃあ行こう!北部よ!前進せよ!」


 僕は大きな声で宣言するように命令を下した。

読んでくれてありがとうございました!



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ー-------------


GWのため少しの間執筆活動をお休みさせていただきます。

そのため次話投稿は5月8日になります。


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