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1話 北部

1週間前



「ふわぁ~」


 思わずあくびがでる。



 僕はカーナ・フォン・ベルヘルツニア、大陸中央に位置するベルヘルツニア帝国の第五皇女だ。

 6年前に帝都を追放されてから親戚のフォーク家の要塞に身を寄せている。

 フォーク家は隣国、ファーレン王国との戦争で最前線のこの要塞を任せられている北部屈指の軍人家系だ。



 コンコン


 部屋のドアが鳴る。

 

「どうぞ~」


 ドアが開き、兵士が入ってくる。


「姫様、これから偵察に行くんですけどきます?」

「行きたい!」

「そういうと思ってました!じゃあ正門で待ってます」

「わかった!」


 この兵士はベルトン、歴戦の古参兵で今は軍団長の頼れるおじさん、あとたまに他には秘密で偵察に連れて行ってくれる。

 

 僕は急いで軽装な服に着替える。

 

「よし!」


 着替え終わると僕は部屋から出た。

 その後宿舎から誰にも気付かれないようにこっそりと出てベルトンの待つ正門に行く。


「お~い!」

「おッ来ましたか!気付かれませんでしたか?閣下にどやされるのはごめんですぜ。姫様は一応皇女なんですから」

「もちろん!私の隠密舐めないでよね!」

「まあこうして11歳の子供を前線に連れて行ってる俺が言えることではないんですけとね。さあ行きましょう!」

「うん!」


 僕とベルトンはそれぞれ馬に乗って城門を出た。

 要塞から少し離れると山脈と山脈の間に広がる大森林が見えた。


「それにしても最近は王国の動きがなくて不気味ですよね~」

「確かに、この前まで小競り合いいっぱい起こってたのにすっかりおきなくなったね~」


 この山脈と山脈の間は帝国と王国の国境で唯一通行可能な地域、ここをめぐって帝国と王国はもう10年も戦争している。

 それを守るのが我々北部軍ってわけなのだ!

 北部に追放されてからはフォーク家の要塞で暮らしている、最初は受け入れられなかったけど今では兵士のみんなにかわいがられている。

 だからこうして偵察に秘密でついてこれる、、、怒られるけど


「そろそろですぜ!」


 馬で2時間ほど行くと王国との小競り合いが多いエリアについた。


「ここからは歩いていきましょう」      

「うん!」


 僕たちは馬を隠せるのに都合のよい木に繋いで見つからないよう歩いて行った。

 すると数分もしないうちに王国の前哨基地が見えてきた。

 茂みに隠れて様子をうかがう。


「先週に比べて物資の量が増えたみたいですね」

「だね、増員かな?」

「たぶんそうでしょうね、、、って今王国兵こっち見ませんでした?」

「、、、そっそんなわけ、、、」


 王国兵が大声を上げる


「敵襲!敵襲!」


「、、、見つかりましたね」

「これってやばいんじゃ、、、」

「、、、」

「ちょっと、なんか返事してよ!」


 するとベルトンがいたずらな表情を浮かべて、、


「逃げろ~!」


 真っ先に走り出した。


「ちょ、ちょっと!」


 慌てて僕も走り出した。


 ザクッ


 ん?僕の横に矢が刺さった。


「ギャー!」

「へへっ早くしないと死にますぜ」

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」



ー---------------------------



「ハァ、ハァ」


 あれから何とか逃げ切って川辺で疲れ果ててお昼休憩をしている。


「久しぶりにいい運動になりましたね!」


 こいつ、、、


「いや~わざと音立ててよかった」

「ちょっとなにしてんの!」


 この時ベルトンの偵察についていくのはしばらくやめようと思った。


「そろそろ帰りますか!」

「そうだね」


 僕たちは繋いでおいた馬にまたがり急いで要塞に帰り始める。


「そういえば姫様の初陣ってもうすぐでしたよね」

「うん、1週間後だよ」

 

 僕は一週間後に念願の初陣を控えている。

 普通、11歳での初陣はありえないことだけど5歳の時から戦場で育ってきたからだれも止める人はいない。

 むしろ初陣の僕の指揮下に入りたい兵士で要塞がごった返している。


「それにしても愛されてますね~普通は初陣の指揮下なんて望んで入るものじゃないのに」

「まあね~でも逆に志願してくる人が多すぎて困ってるんだよね~」

「そういえばどれくらいいるんですか?」

「たしか合計18万人くらいかな~」

「18万!?それって北部軍の9割じゃないですか!」

「そうなんだよね、、、僕も何でこんな集まったのか不思議なんだよね」

「はは、たいへんそうですね、、お、見えてきましたよわが家が」


 そういわれ見てみると高さ10メートルの城壁に囲まれた巨大な要塞が見えてきた。

 帝国の北部を守る最大の要塞ヴェスター要塞、我が家だ。


「ん?あれって、、」


 ベルトンが見ている方向を見ると正門に初老の軍人が立っていた。


「げ!おじい様!」

「、、、じゃあ俺はこれで!」


 ベルトンがそそくさと裏門に逃げていった。


「ぼ、ぼくも、、、」

「お待ちください」

「ですよね~」

「何度言ったらわかるんですか!」


 この人はブラン・フォン・フォーク、この要塞があるフォーク領の領主であり前線指揮官だ。

 本当のおじい様は別にいるが6年も一緒にいて親同然の存在だからおじいさまと呼んでいる。


「殿下!何度言ったらわかるんですか?初陣もまだなのに偵察についていくなんて!初陣の前に死んだらどうするんですか!」

「アハハ、、、でも馬ですぐだし何とかなるって」

「なりません!」


 きっぱり言われてしまった、、、

 おそらくおじい様の言うことが正しい。

 でも少し過保護じゃない?


読んでくれてありがとうございました!



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