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18話 第二戦


「目標敵大将!止まるな!恐れるな!我ら世界最大の軍隊であることを見せつけろ!!」


ザッザッザッ


 ずれがない同一の足音で4つの部隊が進んでいる。

 僕は高台からみんなに向かって士気が上がるように叫んでいる。

 僕たちが動き始めてから敵軍にも動きがあった。

 歩兵が進みだしてそれとほぼ同じ速度で騎兵も動き出したのだ。

 恐らく敵は歩兵がこちら側とぶつかる瞬間に騎兵を突撃させてこっちの陣形を乱したいのだろう。


「敵はまさにマニュアル通りの動きだね」

「ですね、まあ貴族のボンボンにしてはマシなところでしょうか?」

「だね、おじい様が言ってたけど前に陣形も組ませず3万を突撃させてきた人もいたみたいだからね」

「それはひどいですね」

「おっそろそろだね」


 同じ速度、歩調で進んでいる4つの部隊はもうすぐ敵とぶつかる。


「やっぱりですね」

「だね」


 予想どうりに敵は騎兵を突撃させてきた。

 騎兵とぶつかる寸前に中央から掛け声が聞こえてきた。

 真ん中の1万人の掛け声だ。


「北部に!姫様に!」

「北部に!姫様に!」

「北部に!姫様に!」

「北部に!姫様に!」

「北部に!姫様に!」


ガシャン!


 離れたここにも激しい金属音が聞こえてきた。

 大勢の騎兵と歩兵がぶつかったのだ、その衝撃はすさまじいだろう。

 ここから反対側の敵本陣も見えたがさっきのウザい敵将が勝ち誇ったような感じを醸し出していた。


「馬鹿だな~」


 ヒヒーン!


 ぶつかったところから馬の悲鳴が聞こえてきた。

 

 ザッザッザッ!


 ぶつかったときに発生した土煙が風で払われるとそこには何事もなかったかのように槍を構えながら変わらない速度で前進する黒い軍団が見えた。


「進め!姫様に敵将の首を献上せよ!」


 2つ目の部隊の一番前からそんな声が聞こえてきた。

 彼女はこの2年で新設され今回、第一軍団とともに出陣した第25軍団の軍団長、エレナだ。

 彼女の鎧には金色の線が入っていて一目見ただけでわかる。

 普通、軍団長は守られながら戦うのだが彼女はいわゆる猛将の類で一人で敵をなぎ倒しながら進んで行く。


「エレナさん張り切ってますね」


 リールが言った。


「ずっと要塞で一兵士としてくすぶっていたから軍団長になっての初陣は楽しいだろうね」

「すごいですね、1列400人いる戦列のほうが一人のエレナさんについて行くのが必死なくらいですよ」

「やっぱり彼女は優秀だね。一人で敵をなぎ倒しながらも後ろにいる自分の軍団を先導してる、、てゆうかベルトンは行かなくても大丈夫なの?」


 よくよく考えてみたら何でここに第一軍団を指揮するはずのベルトンがいるのだろう。


「俺は軍団長歴長いですからね、副将も優秀なので俺がいなくても十分勝てますよ」


 このおじさん、、、意外と優秀?


「戦闘の初撃は我々が防いで勝ちました。あとは歩兵です」

「了解、そのまま前進し続けて」


 僕がベルトンに前進継続の指示を出した後すぐにその指示が前線の部隊に伝達されこちら側の勢いは更に強まった。

 そうするとエレナを先頭にして敵が次々に倒されていった。


「王国も学習しないね~、、いや、毎回将が死んでるから学習も何もないか」

「まったくですね。そもそも兵個人の戦闘能力が違いすぎます。こちらの1人で王国兵20人は相手にできますからあちらに勝ち目などないというのに」

「数はほぼ同数、そのうえで地形も質もこちらが圧倒的に有利、あきらめて帰ることはできないのでしょうかね」


 リールとベルトンが王国の醜態に呆れていた。

 それもしょうがない。

 王国はこの戦争だけで莫大な戦費を投入させているようだけど戦果は一向に出せないままなのだから。


「そういえばあの下郎はどうしますか?」

「下郎?ああ、敵将のことね。まあ抵抗しないようなら捕虜、抵抗したらその場で殺して構わないよ」

「了解しました。捕虜にする場合は顎を砕いておきます」


 リールがめちゃくちゃ笑顔でそういってくる。

 何気に恐ろしいところあるな。


「じゃあ僕たちの仕事はない感じかな」

「そうですね。損害も今のところほぼないですし、放っておいてもエレナさんが本陣まで行くでしょう」



ー-------------



 あれから数十分が経過した。

 あれから予想通り戦況が敵に傾くことはなかった。

 エレナさんが今敵本陣に到達したところだ。

 エレナさんだけ先行して一人で敵本陣の兵を蹂躙しているのが見える。

 後ろから第25軍団の護衛隊が必死に追いかけているがまったく追いつけていない。


「エレナさんやっぱりすごいね」

「ええ、彼女は要塞にいて出陣することはあまりなかったのできずかれませんでしたが、まさかこんな逸材がいるなんて」


 リールが賞賛しているとは知らず本人は変わらず敵本陣を荒らしている。


「エレナさんが敵本陣の一番大きい天幕に入りました」

「じゃあ勝ちだね。エレナさんの姿が見え次第勝利宣言をして、後処理はエレナさんの帰還後始める」

「了解いたしました。捕虜の扱いは前回と同じでよろしいでしょうか?」

「うん、そうだね。同じでお願い」

「かしこまりました」



読んでくれてありがとうございました!



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