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14話 凱旋

「来たぞ!姫様だ!」


 門の上に立つ兵が大きな声で僕たちの帰還を要塞中に伝える。


「ただいま~!」


 それに応えるように僕も大きな声で帰還を知らせる。


「おかえりなさいませ!」

「姫様!」


 方々から僕たちの帰還を喜ぶ声が聞こえる。

 そんな中大きく僕たちに開かれた門の中心に一人の老兵が立っていた。

 おじい様だ!


「おじい様!」


 僕は馬の速度を上げ近づいたあと飛び降りておじい様に飛びついた。


「ただいま!」

「おかえりなさいませ、ご無事で何よりです」


 おじい様は優しい声で言った。



ー-------------



「あらためて大勝おめでとうございます」


 僕たちがの勝利を祝っておじいさまが全軍団長を集めて食事の席を設けてくれた。

 軍団長と指令官レベルの人たちだけを集めたこじんまりとしていて、でも決して粗末ではない豪華な食事会だ。


「今回の戦闘での戦果は凄まじいものですな!」

「王国軍はまともな反撃能力を失ったでしょう」


 集まった軍団長たちがほめてくれる。


「ありがとう、でも僕だけの功績じゃないよ」


 そうだ、この功績は僕だけの功績ではない。

 北部軍の兵士一人一人の圧倒的な練度と信頼によって成し遂げられたものだ。


「はははっ!」


 おじい様が笑い出す。


「どうしたの?」

「殿下、あなたは自分自身を過小評価していますよ」

「どういうこと?」

「まさにそれです」

「もっとわからないよ?」


 おじい様は何を言っているんだろう?


「普通無能な指揮官ではいくら兵が強かろうとも勝利することはできませんよ。」

「それはそうだけどみんなが強くなかったら勝てないでしょ?」

「それはそうです。しかし優秀な指揮官でも自分の勝利を安々と自分だけのものではないと言える者はそうそう言えませんよ。そこが殿下の特別に優秀なところです」

「そうかなあ?」

「そうですとも」


 そういわれても自分が優秀だとは思えないものだ。

 でも褒められて嫌な気はしないしおじい様が言うのだから素直に受け入れておこう。


「じゃあそういうことにしておくよ。それよりこれからどうするの?」

「確かに今後のことを考えないとですな」


 そうだ、王国軍は主力完全にを失って反撃が不可能だ。

 攻撃して王国本土に攻め入るなら今が絶好のチャンスだ。


「王国は普通負けたら更に徴兵して防衛に入るはずですが今回は兵を多く失いすぎたので武器も防具も馬も不足して少なくともしばらくは再起不能でしょう」


 ベルトンが説明してくれる。


「なら1軍団防衛に残して19万の大軍で攻め入れば王国の東部全体を獲得するのも可能ですな」


 バークレーが言う。


「それはいい!」

「そうすれば我々に有利な条件で講和することも十分可能です」


 軍団長が賛同する。

 当然だ、王国はこの戦争に総動員している。

 徴兵せず職業軍人だけで戦っている僕たちは数は多くても一度の出兵で長く戦えない。

 代わりがいないからだ。

 王国へは徴兵すればいくらでも増やせるが北部兵は訓練に最低でも2年はかかる。

 それに装備も高価だ。

 だから北部軍は戦うごとに勝ち続けているが戦争全体に勝ててはいない。

 今王国は徴兵することもままならないほど傷ついている。

 またとないチャンスだ。

 でも、、、


「皆さん、」


 議論が白熱しているなか隣に座っていたリールが言った。


「どうされたのですか?リール殿」

「皆さん議論が過熱しているようですがこれは殿下の勝利です。どう使うかは殿下の判断を仰いでは?」


「そうでした。姫様、申し訳ありません」

「すいませんでした」


「いいよ。みんなありがとう、でも、、、」


 どうしよう、これは大きな決断だ。

 間違えばより多くの北部軍の家族が死ぬことになる。


「殿下、好きなようにお決めください。我々は殿下の道を切り開くのみです」


 リールが優しく言ってくれた。

 それで決心がついた。


「僕は追撃は避けるべきだと思う」


 そう言うと軍団長たちは驚いた様子だった。


「それはいったいなぜでしょうか?」


 ベルトンが聞いてくる。


「そもそもこの戦争は何故始まったのか覚えてる?」

「はい、帝都の連中が王国をわざと挑発して対峙する我々の力を削ごうとしたんですよね」


 そう、この戦争は帝都の貴族達のせいで始まった。

 帝都の貴族は北部を基本的に見下しているが一部その力にきずいている者もいる。

 北部も見下してはいないが帝都を嫌っている。

 そこで警戒した帝都の貴族たちが力を削ごうとして王国をけしかけた。

 そしてその戦争は帝都の貴族の予定どおり今まで続いている。


「そう、これは帝都の連中が起こした戦争。だからここで追撃して講和したとしても犠牲が少なければまたすぐに再戦することになる」

「確かに、、でもどうすれば」



「簡単だよ。いつ再戦しても一瞬で叩き潰せるレベルに強くなればいい」



 そういうと軍団長たちが驚愕した様子でこっちを見てきた。


「姫様、自画自賛ではありませんが我々北部軍は事実世界最強の軍隊です。それを更に強くするのですか?」


「そうだよ。しかも王国軍が完全再建して再侵攻してくるまでの2年でね」

読んでくれてありがとうございました!



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― 新着の感想 ―
[良い点] プロットが、面白い。このまま展開して欲しいなぁ。 [気になる点] 徴兵せず職業軍人だけで戦っている僕たちは数は多くても一度の出兵で長く戦えない。っとありますが、通常、職業軍人なら、長期滞在…
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