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13話 友達

「へーもう正式に軍に入ったんだ!」

「うん、一応これで一人前ってことになってるよ」

「でもすごいよ、今回が初陣だったの?」

「そうだよ、周りに手取り足取り教わって何とか」

「私は戦い何てできないな~」

「普通はそれがいいよ。僕は北部軍のみんなのために戦ってるけど戦う理由がなければ戦わないのが一番だよ」

「でもあこがれるな~まあお父様が許さないだろうけど、ただのキャラバンにこんなに護衛を付けるくらいだからね」

「お父さんはパルテのこと大事にしてるんだよ」

「それはそうあんだけどね~少し過保護というかなんというか」


 あれからパルテとすっかり話が弾んでしまっていた。

 日も昇っていないため正確にはわからないが2時間くらいたっただろうか。

 そろそろリールも心配し始めるだろうし戻らなきゃな~


ガシャッ


 僕たちが座っていた椅子の少し横にパルテ商会の護衛が金や銀がいっぱいに入った木箱を置いた。


「お嬢様、北部軍から代金の受け取りが完了しました」

「ありがとう、馬車に積んでくれる?」

「わかりました」


 パルテは僕と同じ年ながらもこのキャラバンの指揮を執っていた。


「やっぱり北部軍はお金に困ってないって本当ね」

「軍として当然のことだよ。これくらい買えないと18万人なんて養えないし」

「でも当然のことでもできない軍なんていくらでもいるよ。特に帝都の貴族の私兵なんて規律もなくて買った食料の代金も払わないことが多いよ。文句を言うと後ろ盾の大貴族が出てくるし、、、」

「それはひどいね、、、」


 やはり帝都の腐敗は結構進んでいるようだ。


 そう話しているとキャラバンの入り口に誰か来たようで騒がしくなっていた。


「誰かしら」

「行ってみよう」

「そうね」


 パルテと一緒にキャラバンと野営地を分ける入り口に行くと見慣れた面々がいた。


「あれは!フォーク家の令嬢と第一軍団の軍団長だわ!」


 パルテが驚いている。

 一応リールは北部名家の跡継ぎだしベルトンは帝国有数の実力を持つ1万人の指揮官だ。

 まあめったに会うことなんてないだろうし驚くのも無理はないか、、、

 ってゆうかこれ、あの二人ってことは僕迎えに来たんだよね、、、

 多分外部のキャラバンに護衛もつれず来たのばれたら怒られるだろうな~

 、、、逃げるか

 

「こんばんわリール様、ベルトン閣下」

「こんばんわ、すいませんね、こんな真夜中に」

「いえいえ、北部軍の幹部の方々に会えて光栄です。今回はどのようなご用件で?」

「実は皇女殿下を探していましてね」

「皇女様を?今回の総指揮官と聞いておりますがその皇女様が見つからないのですか?」

「ええ、ここら辺を散歩してくると言っていたのでここにいるかと思いまして」


 リールとパルテが話しているうちに抜け出そう。

 そっと、、、


「殿下!」

「あちゃ~、無理か~」


 後ろを向くとリールがムスッとした表情で立っていた。


「困ります。護衛もなしに野営地から出ないでください!」

「いや~でも~」

「でもじゃありません」

「、、、ごめんなさい」


 僕が起こられる中リールの後ろでベルトンがゲラゲラ笑っている。

 あいつ、、、あとで覚えてろよ、、

 

 そうした中パルテが


「皇女、、様、、?」


 そうだったパルテは僕をただの見習いだと思てるんだった。


「本当なの、、、いや、本当ですか?」

「そうだよ、改めて初めまして、僕はベルヘルツニア帝国第五皇女にして今回の北部軍最高指揮官、カーナ・フォン・ベルヘルツニア、よろしくね!」


 パルテが唖然とした様子で見てくる。


「、、、は!皇女様だと知らず、ご無礼を!」


 パルテが頭の中の混乱を収めて今までのラフな対応を謝罪してくる。


「いいって、そんな改まらなくても」

「いえ、そうはいきません。私はキャラバンを率いているとはいえただの平民の子です。それが皇女様にあのような態度を、、、申し訳ございませんでした!」

僕が皇女ってわかった瞬間こうなってしまった。

 なんだかせっかくできた友達が一瞬で遠くなってしまったようで悲しいな、、、


「賠償はいくらでもします!」


 賠償って、、、

 賠償より友達が欲しいんだけどな~


「じゃあこういうのはどう?」

「、、どんなことでも受け入れます」

「会うのは北部に来た時だけでいいから僕の友達になってよ」

「、、、え?」

 

 困惑した様子でパルテはこっちを見てくる。


「だめ?」

「あ、いえ!もちろんです!皇女様!」

「カーナでいいよ。そんなあらたまらないでよ」

「は、はいカーナ様」


「ん~まあ今はそれでいいか」


 様呼びになってしまっているが少しずつ直してもらうか


「じゃあ改めて、よろしくね!」

「はい!よろしくお願いいたします!」


 僕とパルテは固く握手をした。


 戦場での初陣を終えた後の帰路で僕は北部軍以外で初めての友達ができた。



ー-------------



「全軍団準備完了しました。いつでも出発できます」


 そう言うリールの後ろには高々と朝日が昇っていた。

 パルテと友達になってから一夜が明けた。

 パルテのキャラバンは僕たちより一足先に出発した。

 北部での取引を増やすそうだからまた会えるのも近いだろう。


「じゃあいこっか!凱旋だ!」


 野営地を畳んで18万の軍勢がゆっくりとヴェスター要塞への道を歩き出した。

読んで頂きありがとうございました!


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次話投稿は日曜日になりそうです。

遅くなりそうですいません

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