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プロローグ 追放

初作品です!

よろしくお願いします!

その時帝国は、かつてない繁栄を遂げていた。

 しかしそれと同時に腐敗や権力闘争が横行し、皇宮の権力争いはさらに加速した。


 ー---------------------------


 僕は帝国の第五皇女として生まれた。

 しかし、周りの関心はあまり引かなかった。

 それもそのはず、僕の父は皇帝だがお母様は北部の弱小貴族出身でただ北部と皇家の友好のために政略結婚しただけに過ぎないのだから。

 当然父の愛情など向くはずもなくお母様とも結婚という事実さえあればよかったため、父がお母様に会いに来るなどなかった。

 そしてその日が来た。


「カーナ・フォン・ベルヘルツニアに北部へ()に出ることを命ずる」


 義母である第一皇妃に言われる。

 なぜこうなってしまったのか、、、


1時間前


「お母さま、これおいしいです!」

「これはお父様が送ってくれたお菓子よ」

「おじいさまが?」

「そうよ」

 お母様は優しく答えた。

「そういえばこのお茶はどこ産かしら?」

「南部産です。珍しい品種の茶葉だそうです」

 執事が丁寧に回答する。


 父に冷遇され、権力もなかったお母様だったが皇宮から距離を置いて目立たぬように暮らしていたため僕たち親子はある程度平穏な日々が続いていた。

 その日は天気が良かったので帝都郊外の小さな屋敷の庭でピクニックをしていた。


「皇妃様、よろしいでしょうか?」


 お母様に屋敷の警備が真剣な顔で言う。

 お母様の警備は嫁ぐときについてきた 母の実家の兵士だ。

 北部の兵はとても屈強で忠誠心が強いことで有名だが、この警備は温厚でよく遊んでもらっている。


「・・・分かったわ」

「お母さまどこ行くの?」

「少し話してくるからちょっと待っててね」


 お母様が湖のほとりで兵と話している。


「もうきてしまったのね」


 気になって聞き耳を立てるが最初しか聞こえなかった。

 あきらめて次のお菓子に手をかけようとした時、お母様が小走りで戻って来て言った。


「カーナ、そろそろピクニックは終わりにして帰りましょう」

「なんで?まだ始めたばっかりだよ?」

「ごめんなさいね、また今度来ましょう」


 この時は何故帰ろうとするのか不思議だったがお菓子は家でも食べられるので渋々了承した。


「あなた達も急いで頂戴」


 お母様の一言で使用人達が慌ただしく動き出した。

 私は屋敷に入って外出用の服を着た。

 すると屋敷の玄関から激しい音がした。


 ドンドン!

 

 するとお母様が走って来て私を抱きかかえた。


「さあ行くわよ」

「お母さま、どうしていそいでるの?」

「大丈夫よ」


 お母様は答えなかった。


「皇妃様、裏口へ!」


 警備が言うとお母様は私を抱えたまま走り出した。

 何が起きているのか想像すらできなかった。


「全体!構え!突け!」


 誰かの掛け声が聞こえた。

 

 ガシャン!


 その瞬間爆音とともに玄関の扉がはじけ飛んだ。


「きゃあ!」

「そんな、、、こんな()()手段に出るなんて、、」

「お急ぎください!ここは我々が!」

「、、、頼んだわよ」


 母の走る速度は一層早くなった。


 僕たちが立ち去った数十秒後激しい金属音が聞こえた。


「こちらへ!」


 裏口から馬車に乗ろうとしたその瞬間。


()()()いただけるかな?」


 そこには赤の鎧を着た兵士が30人ほどいた。

 第一皇妃の兵だった。

 兵士からリーダーらしき男が出てきて()()に私たちを呼び止めた。

 よく見ると彼らの剣には血がべっとりとついていた。


「っ!なんてことを!彼らが誰の配下かわかってるの!」

「ええわかってますよ。皇妃様、そしてカーナ皇女殿下、直ちに第一皇妃様の屋敷へ()()()ください」

「くっ!遅かった」


 僕はつぶれそうな声で言った。


「お母、、さま、、」


 お母様も私と同じくつぶれそうな声で答えた


「カーナ、、、」


 僕たちはその赤い鎧の兵士たちが用意した馬車に乗った。



ー---------------------------



 そこからは今でもはっきりと覚えてる。


 私たちは帝都の第一皇妃の屋敷へ連れていかれた。


「久しぶりね、、、まったく、北部の弱小貴族の出のくせに小綺麗な服を着て、、見るたびに腹が立つ!」


 第一皇妃だ、ことあるごとに私たち親子に嫌がらせをしてくる人だ。


「、、、何のためにこんなことまでして私たちを連れてきたの」

「ああそうだった」


 第一皇妃が不気味な笑みを浮かべて言った。


「私家族思いだからあることを考えたの」


 いったい何を言っているんだ?


「どういう、、こと、、」

「私の子達は私に似て優秀だけどあなたの子はあなたに似てブサイクで低能だから教育をもっと充実させなきゃと思ってね。それで()に出したらいいと思ってね」

 

 え、何を、、、


「そんなことできるわけないでしょ!この子はまだ()歳なのよ!」


 お母様が怒っているのを見て初めて理解できた。

 この提案は事実上の命令で旅とは名ばかりの()()だった。


「だまれ!弱小貴族ごときが私に口答えするな!喚き散らすな!こっちは、慈悲で追放で済ませてやってるのに。これだから北部の猿は!」



 それからわずか1週間で私は旅立つこととなった。

 僕とはお母様はあまりの仕打ちに声が出なかった

 しかし唯一の救いがあった。

 追放先が北部になったことだ。

 お母様は第一皇妃に懇願した。

 せめて辺境の中でも血がつながっている北部にしてくれないかと

 第一皇妃は北部を知らず、ただの荒野しかない辺境だと見下していたため了承した。

 

 別れ際にお母様と最後の会話を交わした。


「ごめんなさい、、、こんなことになって、、」

「お母様、、、」


 お母様は泣き崩れていた。

 その顔を見て何かが吹っ切れた。

 そして勇気を振り絞り言った。第一皇妃に聞かれないように小さく、かつ決意に満ちた声で


「お母さま、戻ってきます。いつか力をつけ、仲間を作って戻ってきます。そしたら全てやっつけてお母さまを助けます!」


 お母様は僕と引き離されて第一皇妃の監視下で暮らすこととなっていた。


 お母様は恐らくこの時実現するなんて思ってなかったでしょう。

 でも私を勇気つけるために言ってくれた。


「待ってるわ」


 それから僕は第一皇妃の兵に連行され北部へと向かった。



ー---------------------------



 ー6年後ー



「全軍!止まれ!」


 数万の足音が寸分の狂いなく一斉に止まる。


「殿下、予備隊含め全軍展開完了です」


 隣にいる若い騎士が言う。


「報告!王国軍右翼が突撃陣形に移行!」


 伝達兵がはっきりとした声で報告してきた。


「了解、全軍団長に通達!全軍亀甲陣形に移行!全進準備!」

「始まりますね」

「ええ、さあ勝ちに行きましょう!」


 丘から見下ろした平原は雪が降っていたが白い部分はごく一部だった。




 なぜならその平原は見渡す限り十数万のわが軍勢で埋め尽くされているのだから。

読んでくれてありがとうございました!



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