静かな反逆
静かなる目覚め
2067年 日本 元東京都、現シェルターNo.1付近にて……
「ついに見つけたぞぉぉぉぉ!星斗」
雨の中、星斗はあたりを仕切る、賊3人に襲われていた――
賊の盗んできたものを、更に彼が盗んでいるのがバレたからだ。
――やばいやばいやばい!捕まる!捕まったら殺される!もう走れないぃぃ!
彼には二つ特技がある。
一つは周り、半径10m程を立体的に完璧に把握出来ること
――あいつら全然疲れてないぃー。しかも一本道の路地裏なんかに逃げちゃったから巻きようがないぃぃ
死ぬのか、ここで死ぬのか?!俺!やだよぉぉぉぉぉ!
――あれさえ今出てくれたら!でろでろでろでろ!
そしてもう一つは――
「でたあぁぁぁぁぁ」
全身に薄くあるタトゥーが発光しだす……
『なにっっっ』
彼は完全に闇に溶け込んでしまった。
なぜ盗みが金にがめつい賊からできたのか、それには訳がある。
彼はタトゥーを入れた記憶がない。
ではなぜ体に模様があるか、それは――
彼が能力者だったからである。
彼の能力、「サイレンス」は影が薄くなる能力!
能力者だと自覚はしていないものの、危機を感じると本能で発動!
変色するカメレオンのように、素早い猫のように、周りに感知されなくなる!
「危なかったぜ……」
次にナイフを右手に構える彼の姿が見えた時には、賊は全員喉から血をドッバドッバ流して死んでいた。
彼は念入りに死体を確認し、死亡を確認すると、家に向かってトボトボ歩き出していった。
――しかし!真に恐ろしいのは賊が死んでいないことなどではない!
その様子を建物から見ていた女が1人!
「対象の能力発動を確認。どうしますか?」
彼女の声は緊張か、はたまた電話相手への恐怖心か、震えていた。
「……連れてこい。本部の俺の元へ、だ。わかったか?」
「ハ、ハイっ」
「1人でできるか?こちらから何人か送ろう。」
「いえ、あんな素人、私1人で充分です」
「ハッハッハ、それもそうか。悪かった悪かった。では、頑張れな!」
ガチャっ
「日も暮れたし、明日にしよーっと」
星斗の身に恐ろしい危機が迫っているとは、彼には知り用のないことだった。






