[別れ]
尻餅をつく。2人揃って。いや、尻餅ではない、仰向けに転がった。
「……は」
「………はは」
「ハハハハハ!」
「アハハハハ!」
2人して沈黙の後大笑いする。
「流木って!流木って!!なんであんなに引き強いの!?」
「ご主人様!凄く硬そうなお魚ですね!ご主人様が見たヌシはこのお魚ですか!立派ですね!」
それはとても、とてもおかしく、面白かった。この瞬間が幸せだった。
後ろから、温かみのある声がした。確かに、その声は、ありがとう、この子の幸せそうな姿が見えた。これで成仏出来る、と言った。
「なぁ、ルナ」
ふと顔をルナの方に向ける。ルナは…消えかかっていた。
「え…?」
「お迎えが来たようです。私、とてもとても幸せでした。あなたに会えて良かった」
待って…
「沢山の愛を貰いました。沢山の感情を教えていただきました」
行かないで…
「辛い事、苦しい事、痛い事しか知らなかった私に、幸せを教えてくださいました」
いや…俺の目的はなんだった?
「私にとってあなたは光です」
この子を成仏させる事だろう?
「花火、綺麗でしたね」
今更何を言う。
「バーベキュー、楽しかったです」
当たり前のことだ。
「服、どれもこれも気に入っております」
なら何故…
「水切り、全然跳ねませんでしたね」
どうして…
「鬼ごっこ、少女を追いかけ回す、やましい男性にしか見えませんでした」
こんな感情を…
「釣り、私は見てるだけでしたが、とても楽しかったです」
ダメだ…ダメなんだ…
「雨の中、追いかけてきてくれたのは、実は嬉しかったです」
この子はこのまま成仏する…
「風邪引くのでちゃんと服は来てください…って私が言える義理ではないですか」
そうだ、それがこの子の幸せ…
「急に倒れたりしないでくださいね。心配する人はいるのですから」
そうだろう?そうなのだろう?
「…結局釣れたのはヌシではなく、木でしたが、私はとても、とても面白かったです」
やめろ、やめろ、自分を止めるんだ。
「では、私はもう、行きますね、とても楽しかっ
「ルナは本当にそれで幸せなのか?」
あぁ、俺はホントに…どうしようもない人間だ。




