[5日目 最後の足掻き]
さて、最後の悪あがきだ。
湖へ向かう。釣り糸を垂らす。かかるかどうかは分からない。そもそもまだ、ここにいるかも正直分からない。でも、それは足掻かない理由にはならない。ルナも見守る中、静寂が走る。
会話が消え、約4時間後、時刻は午後4時半を回っていた。釣れるのは小さめの魚ばかり。
「…なぁ、ルナ?」
静寂に耐えかねて声をかけたその時だった。
ググッ
竿が重い!こんな頑丈な竿がしなる!紛れもなく、ここ5日間で最も強い当たりだった!
まずい!持ってかれる!!竿は頑丈だった、しかし自分の体はやわだった。足はズリズリと引き寄せられる。
「ご主人様!」
ルナは声を上げる。
「ルナ!………助けてくれ!」
分かってる、幽霊で、物が持てないことくらい。でも、行けると思った。積み重ねたものがそう言うのだから。
「…!!分かりました!」
彼女は満面の笑みに涙目という、矛盾した表情で向かってくる。そして、竿を掴む。…そう掴んだのだ。
「ルナ…!」
「やりました、ご主人様…!私、持てました!」
俄然やる気が湧いてくる。千載一遇のチャンス、逃す手はないだろう!ルナも見ている。そして手伝ってくれている、ここで負けるわけにはいかない!!
「んぬぬぬぬ…」
ルナが力を込めて踏ん張ってるのが分かる。
「ぐぬぬぬぬ…」
俺も力を込めて踏ん張る。
少しずつ、少しずつ上がってくるのが分かる。
「…ご主人様!」
ルナが湖の方を向いたまま声をかける。
「私、ご主人様と出会えて良かった!生まれてきて良かった!諦めなくて良かった!私は生きている時、求められる事なんて無かった!愛を知らなかった!誰かの役に立ちたかった!だから………もっと私を頼ってください!求めてください!そして、愛を…ください!!」
一気に力を込める。ちょっとやそっとじゃ、この糸も切れないだろう!というか、耐えてくれ!!
「うあぁぁぁ!」
「やああぁぁぁぁ!」
一気に天高く、それは打ち上がった。それはとても大きく、全長は7mは優に超える
流木だった。




