[5日目 昼]
ログハウスの冷凍庫を開ける。そこには鶏胸肉様が鎮座しておられた。ドン!と。オーブンで解凍する。メニューはどうするか…子供受け…鶏胸肉…あれしかないだろう。
「ルナー、いるかー?」
「はーい!」
ルナが階段から降りてくる。相変わらず可愛らしい。
「なんでしょうか?」
「ルナのために作った自信作だ!食べて…くれるかな?」
ルナは頭に疑問符を浮かべる。
「私の…ため?」
「あぁ、そうだ」
「私なんかの…ため?」
「なんかは禁止。ルナのためだけに作ったんだ」
彼女はぼろぼろと涙をこぼす。幽霊から出る涙はすり抜ける事はないらしい。美しいラインを作り流れ落ちる。
「いびんでずが?…わだぢが、ごんばび、じあばぜで…?」
「あぁ、いいんだ。幸せになる権利は誰にでもある。それが幽霊でも」
「!!……あびがどう…あびがどうございばず…!」
あぁ、そうだ、幸せになっていいんだ。今まで辛い目にあったのだろう。苦しかったのだろう。寂しかったのだろう…。いいんだ幸せになっても。生まれてきてダメな命なんて、無いのだから。
ルナは俺に憑依する。涙は相変わらず流れっぱなしだ。…くそぅ、俺の顔面ぐちゃぐちゃじゃないか…ま、ルナが幸せなら、それでもいいか。
恐る恐るルナはそれを口に運ぶ。
「!!」
悶絶した。
「んー!んーー!」
凄く喜んでるのが分かる。それはそうだ。子供受け抜群のレシピ、唐揚げを作ったのだから。
「プハッ!ご主人様!ごんなおいぢいもの、だべたごとがあびまぜん!」
笑いながら、泣きながら喜びを伝えてくる。あぁ、喜んでくれて何よりだった。彼女は大皿いっぱいに盛られた唐揚げを食べ尽くした。憑依を解いた時のお腹の重さは尋常では無かった。
「とても美味しかったです!ありがとうございました!」
ニコッと笑うルナ。あぁ、やっぱり、可愛いんだよな…




