[4日目 深夜]
ルナ視点ですー
幽霊は基本寝ないのだ。食事も取らない。だから私はずっとご主人様の傍にいた。
数時間経ち、異変は起きた。
「あの男、弱ってる…」
「あいつのあの音が嫌い…」
「ここがあの男のハウスね…」
幽霊だ。数は6.7…いや、もっと増えるだろう。時刻は丑三つ時。幽霊が最も活発になる時間帯。
「憎い、憎い、憎い、憎い」
口々に憎いと呟いている。その姿はまさに未練を残した亡者そのもの。未練に取り憑かれた人々の姿だった。
私は大の字を作るようにご主人様を守る態勢を取る。
「あんた…誰よ…?」
「ご主人様に仕えてる者です。」
「あなた幽霊じゃない」
「えぇ、そうですが、それが何か?」
「おかしいわよ、あなた。気持ち悪いのよ」
「そうですか。言われ慣れました。」
「…そこをどいて?」
「嫌です」
「どきなさい」
「嫌です」
「どけと…言ってるでしょ!!」
「うぐぅっ!」
拳が飛ぶ。残念な事に幽霊の攻撃はすり抜けないらしい。仰向けに倒れ、でもまたすぐに起き上がる。
「私は…ご主人様に色々してもらいました。そして、これから愛をくれると約束してくださったのです…私はご主人様に、報いたい…せめて、ここでだけでもご主人様を守りたい…!」
「知らないわよ、あなたの事、なん…て!」
「かはっ…」
また拳が飛ぶ。意識も飛びそうになる。幽霊なのに情けない…。力を振り絞って、舌を噛んで痛いの我慢して、立ち上がる。
「…出てけ…」
「は?」
「ここから出て行け!私とご主人様の間を邪魔するな!出て行け!ここから出て行け!」
叫ぶ。きっとこれだけの声は今後一切出る事はないだろう。
「ここから…出て行け!」
「うるさい」
「…!」
一言発して、また拳が飛んでくる。私はその一撃をまともにくらう。うつ伏せで倒れる。あぁ、意識が離れていくのが分かる…まだ…まだ…行かないで…耐えて…私の身体…最後の力で首を上げる。そこには私のいた位置に男性が立っていた。
「よく頑張った、君はやはり強い子だ。憧夢夜…いや、ルナ」
私の記憶はそこで途切れる。あぁ、そうか。私、気絶したのか…。幽霊のまま死んだら…どうなるんだろう…。




