[-3年目 少女が死に、ルナが生まれる話]
ここからルナちゃん視点に変わります。
今回、胸糞やらグロやら注意です
私はとある家に生まれ、名前も付けられ、愛を受けずに育てられた。その名前は今思い出しても吐き気がする。私が初めて暴行を受けたのは生後数ヶ月、家庭で育てる事になって数日後らしい。夜泣きが酷く、イライラした父に叩かれたという。その後幾度となく暴行を受けた。しかしうちの親は変な所で悪知恵が働く。傷は全て背中に受けた。服を着せれば見えないから、暴行を受け、気が弱く、相手の顔色ばかり伺うようになり、さらに嫌われた。
「なんでこんな子産んじゃったのかしら!」
母は言う。
「まったく、なんて気持ちの悪い」
父は言う。
「まったくもう。変な子だ!気味の悪い!」
祖母は言う。
「お前、ジロジロ見るなよな」
同級生はそう言い、叩いてくる。
「あなたはなんでそんなに問題ばかり起こすの!?」
先生は言う。
私が返す言葉は決まって一つだけだ。
「すいません」
「すいません」
「すいません」
「すいません」
「すいません」
「すいません」
「すいません」
「生きていて、すいません」
ある日私は本を読んだ。その本ではこんな事を言っていた。
「生まれてきてダメな命なんて無いんだよ。生きてて、良いんだよ。」
私は?私も、生きてて良いの?生まれてきてダメな命じゃないの?私の中に微かに光が灯る。その光はマッチの火より小さく、弱々しいが、私には大きな光に見えた。私はそこで欲張った。光を太陽にも負けないくらい強い光にしたくなった。それが私の失敗だった。
「なんなのよこの子、こんな本持ってきて…なんなの?私があなたの命を軽視しているとでも言いたいの!?ふざけないで!」
私は本を母に見せた。案の定だった。心の底では分かってた。本は焼かれ、私はまだ炎の残ってるそれを背中に押し当てられた。痛かった。背中が?いや、違う、私の中の光を消された心の痛みだ。軽視していない?嘘だ、軽視しているからこんな事が出来るんだ。やっぱり私は生まれてきちゃ、ダメな命だったんだ…。
やがて私は捨てられた。母は珍しく優しい顔で、ちょっと付いてきて、と言われた。求められる事が嬉しかった。着いたのは森の中。すると母は踵を返し、ちょっと忘れ物、ここで待ってなさい。そう言って母は駆け足で森を駆けていった。それ以降母が戻る事は無かった。そして私はとある男性に見つかり、保護してもらった。が、謎の病に侵され、私は生き絶えた。背中から病原体が入ってきたそうだ。あぁ、これで地獄でも何処でも行ける。男性は泣きながら縋り付いていた。救ってあげられなくてごめん、とか、愛を教えてあげられなくてごめん、とか…。私はその男性に触れた事は無かった。今になって思う。その男性、きっと幽霊だったんだ。私は最後の力を振り絞り、訊いた
「…愛って……なん…です…か…?」
あぁ、私はまた男性を困らせてしまう。最低だ。そんな最低な私は一つ、願ってしまった。愛を知りたい。愛してもらいたい、と。それが永遠に近い呪縛になるとも知らず…