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入ってきたのは3人の女性たちだった。見覚えがあるその3人の姿を観察する。
美しい黒い髪をなびかせ穏やかな表情を浮かべているのがルイ、輝かしいブロンドの髪をツインテールにしていたずらっ子のような表情をしているのがクララ、そしてピンクブロンドの髪と誰もがとりこになるような潤んだ瞳、「主人公だ」小さく呟いて思い出す確かオート設定の名前は、、「「ソフィア」」誰かと私の声が重なる。
続いて部屋に入ってきたのは確か私たちのマネージャー的役割のアッシュだわ。「陛下突然申し訳ございません。どうしてもスノウ様に会いたいと、みんなが言うことを聞かなくて」と凄く慌てた様子のアッシュがおろおろしながら説明する。「気にしなくて良い。話はちょうど終わろうとしていた、スノウに会いたいというそなた達の気持ちは当然のことだ。隣の部屋が空いている、そこで話をすると良い」そう言って陛下は退室されていった。
とりあえず隣の部屋に移動した途端、後ろからいきなりクララが抱きついてくる。「うわっ」「スノウお姉様ああご無事で良かったわああん」と背中に抱きついたままのクララが泣き出すのをなだめながら、「本当に良かった、イベントの途中であなただけがいきなり蛮族に連れ去られた時は心臓が止まるかと思ったわ」頬を撫でてくるルイの方をむく。「迷惑をかけてごめんなさい。私がもっと早く防御魔法を使っていたらこんな事にはならなかったのに」「しょうがないよ!蛮族は魔力を封じる特別な道具を持っていてあの場にいたみんな魔法が使えなかったんだから!そのせいでお姉様がつっ連れ去られてしまってわあああん」と少し情緒不安定気味のクララに苦笑しながら、元のゲームの世界では主人公であったソフィアと向き合う。「良かった、無事に帰ってきてくれて」と微笑みながら私に告げる彼女に少し違和感を感じる。クララやルイから感じる私が無事で良かったという雰囲気を彼女から感じない。顔も無理やり笑っているかのようで少しこわばっているように感じられた。ゲームで主人公とスノウって仲が悪かったっけ、確か仲は良くはなかったけどゲームではスノウが一方的にライバルだと感じているだけで主人公は別にスノウに対して悪い感情は抱いてなかったはずだけど、、なぜだかトゲトゲしい雰囲気を彼女から感じる。「アッシュに聞いたのだけど、昨日レオン殿下があなたの家にいらっしゃったそうね、どのようなご用件だったのかしら?」ソフィアが私に会いに来た真の目的はこれか、つまりこれはもうレオン殿下ルートに物語が入ってしまっているってことなんだろうか。
そうなると大変だ、昨日私にあんな情熱的なセリフを言ってきた陛下もゲームの中では貴族の女性らしくないスノウの意識の高さと彼女のファンの嫌がらせでだんだんと主人公であるソフィアに心を傾けていくのだ。
あーこんなことなら多少いやでもレオンルートを最後までプレイしておくべきだった!主人公とレオンがハッピーエンドを迎えた場合のスノウがどうなってしまうのかわからないよ〜などと思いながら目の前のソフィアのことを忘れていた「答えられないような要件だったのかしら?」と少しの苛立ちを募らせてソフィアが聞いてくる、
「ごめんなさい、少し別の考え事をしていました。レオン殿下は私の体調を気遣ってくださり、今回の事件の謝罪に来てくださいました。特別なことはありませんでし「それは悲しいね」」たってあれ、この声は、「私のあんなに熱い思いを聞かせたのに君にとっては特別ではなかったんだね」「レオン殿下」「おかしいな、昨日はレオンと呼んでくれたのに」と悪魔のような微笑みを浮かべて私の後ろにレオンが立っていたー