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その話を聞いて納得した。そうだ、スノウは最初は気乗りしなかったアイドル活動を続けていくうちに、歌う事の楽しさや普段触れ合わない階級の人々との触れ合いにやりがいを感じ、アイドルとしての道を極める事を決意したという設定だった。だからこそ自分のプロ意識についてこれないグループのメンバーに苛立ちを感じてもいた。
「そうでしたか、殿下のプロポーズを断るなんて私も大胆な事をしますね」とまるで他人事のように笑う。
「俺は諦めないよ」ん?諦めないってどういう事、「俺の妃にふさわしいのはスノウだけだ、プロポーズを断られてより強く確信した。民のことを真摯に思う気持ち、仕事に向き合う姿勢、全てが俺を惹きつけてやまない」
凄い口説き文句だわ、こんなの前世の私だったらころっと態度を変えてついていってしまいそう。
だけど私はもうスノウなんだ、そう思うとゲームのスノウがそうであったようにアイドルとしての仕事を極めたいという気持ちを無視できない。それに前世では両親の重荷でしかなかった私を必要としてくれる人がいる、働ける場所があることがとても嬉しかった。「しかしレオン殿下」「レオンと呼んでくれ」うっ「レオン殿「レオンだ」」、凄いっ有無を言わせない口調だ「わかりました。レオン、私の気持ちは変わりません。たとえあのような事件にあった後だとしても私はアイドルとしての仕事に誇りを持っています。アイドルとして誰か1人を愛することはできません」
そうきっぱりと告げレオンを見つめると、笑っている、、?なんで笑ってるんだ。
「それでこそ俺の選んだ人だ」ニヤリと笑ってこちらを見つめてくる。さっきまでの紳士的な態度はなんだったんだ!とそれでもイケメンなので、そんな恥ずかしいセリフでさえキマっている。
「君が100回断ったとしても俺は君だけを見つめ続けるよ、君を諦めるのは、月が永遠に沈まないぐらいありえない事だ」かっこいい〜〜〜凄いセリフだ、私の顔も若干赤くなっている気がする。
「よくそんなに気恥ずかしいことをスラスラと言えますね」顔を隠したくて窓の方を向こうとしたら、近づいてきたレオンに引き寄せられ顎に手を添えられた。「俺から顔を隠さないで。スノウがアイドルとしての仕事を全うしたと思えるまで俺は待つよ。その時に俺の手を取ってくれたらそれでいい。ただ君が他の男の元に行くことを許すことはできない、それだけは君がどんなに望んだって許さないよ。君は俺だけの人だ」凄い恥ずかしいセリフを乱射してくる神推しイケメンが目の前にいます。私のHPはもう限界です、前世では恋愛のれの字もない人生を歩んでいたのだから、こんないきなりラスボス級の人に口説かれて腰が砕ける寸前です。ただここで流されたくない。そんなのスノウじゃない。
「ふふ、レオンは本当にカッコいいわね」とその腕の中から離れる。「私はアイドルとして応援してくださる方に誠実でありたいの、レオンに恋をしたままステージにたつようでは誠実な態度とは言えない。なのであなたを特別扱いすることもしない。もちろん仕事としての範囲でファンの方とも交流します。そんな私でも良いというなら、待てるというなら、いつまでもお待ちになって」と微笑んで告げた。